1999年10月19日 後楽園ホール  アルシオン


客の入りはかなりきつい。北側、南側はガラ開 き、チケットも当日はダンピング販売。後楽園がこれでどうするのだ? イン ディー、女子は軒並みこんな感じなので、もはや打つ手なしといったところが 団体側の正直な感想かもしれないが。FMW、闘龍門、GAEAのようにこの ご時世でも健闘しているところもあるわけで。ラスカチョ参戦も、アルシオン としては手をこまねいてはいられなかったということか。
●試合前にタッグリーグ戦の入場式があった。挨拶は浜田とAKINOから。


第1試合 マリー・アパッチェ VS プリンセサ・スヘイ

旗揚げした頃は必要ないなんて言われていたル チャドーラだが、ずっとレベルが上がり、アルシオンらしさという意味でも、 なくてはならないものに。頭から危険な角度で落とす技が多いのが少々気にな るが。この日を最後に帰国するスヘイをマリーが腕ひしぎで攻め立て、スヘイ のトペコン、シャープシューターの反撃にあったものの、吊り天井、STF、 アルゼンチンバックブリーカー、やたらエグいライガーボムと優位に試合を進 め、最後はみちドラで3カウント。アルシオンの中で下積みをあげてきたマリ ーが貫禄の勝利。

スヘイだって飛ぶメキシコと言えば、吊り天井


第2試合 浜田文子、AKINO VS キャンディー奥津、リンダ・スター

負傷していた奥津だが、元気そう。試合開始早々 浜田の手を踏みつけ、「このガキャ」と威勢のいい声が響く。奥津を見ている と、そのナチュラルな自信過剰ぶりに、ついつい好感を持ってしまう。浜田と AKINOは2人同時のトペを突き刺し、リンダもロープを使ったメキシカン ストレッチで存在感を見せる。奥津のセコンドに付いた藤田愛はリング下から ガンガンに奥津を応援。今年デビューしたとは思えない態度のでかさです。
●奥津のジャーマンがAKINO、浜田を投げ捨て、浜田の美しい 空中殺法が芸術点を稼ぐ。浜田とリンダが空中殺法をかわし合う展開の中、一 瞬のラ・アヤキータがリンダを捕らえて、浜田組の勝ち。飛び技とスープレッ クスが飛び交う現代的なプロレスもアルシオンの一面でしょうかね。

この2人がタッグのトップ浜田がいかに空中戦ファイターとして
優れているか見てもらいたい
これも見事な空爆弾


第3試合 吉田万里子、二上美紀子 VS 矢樹広弓、チャパリータASARI

とにかくASARI全然ダメ。と言っては気の毒 か。この3人の中に突然放り込まれるのはちょっときつすぎる。吉田と二上はアルシオ ンのみならず日本のプロレス界の関節技の第一人者。ヴォルグ・ハンのように トリッキーなそのムーヴは見ていて飽きることがない。矢樹も小柄ながら、吉 田とアルシオンスタイルでさんざんやり合ってきたスゴイ人。そん な中にお邪魔したネオレのホープは何もやらせてもらえなかったのだ。だいた い、動きが違いすぎる。飛び技にかけてはシャープなASARIもねちっこい 攻防の中ではモタモタするばかり。完全に遊ばれ、ポイと捨てられたようで、 試合後半はただエプロンを暖める役割に専念していたようだ。
●最後の方で一応飛んだりしたASARI。スピニングトーホールドのような 体勢に来た二上を首固めで丸め込んで、ピンフォール勝ち。がっくり。ASA RI、星だけもらっても、これでは …。二上、仕事し過ぎ。結果はともかく、第2試合のスタイルと比べ、まさに アルシオンって試合でした。

いつもクールな吉田さん駅弁固めもマスターしていたとは(笑)ASARI、見ちゃおれん


セミファイナル 大向美智子、府川唯未 VS アジャ・コング、玉田凛栄

試合前から意識し合う大向とアジャ。しかし、立 ち上がりは府川が攻められる展開に。アジャの重い打撃技を浴びまく ってしまう府川。しかしながら、グタッとせずに反撃の機会を窺ってゆくあた り、本当に強くなったなと。アジャの腕に絡んで腕ひしぎを狙い、膝十字を決 めてロープエスケープも奪う(しかし、ポイントにはならん)。大向はまだ本 調子でないのか、アジャの巨体に裏投げを決めたりしたものの、あまり出番ナ シ。途中から府川と玉田のシングルのような展開になり、玉田の必殺ドラゴンス ープレックスも決まったものの、最後は府川が精彩を欠く玉田から腕ひしぎで 取った。今日も嬉しそうな、唯未たん。とりあえずタッグリーグ公式戦、1点 奪取だね。

試合前から揉めるかわいそうすぎるアジャに裏投げを決める


メインイベント アジャ・コング VS 下田美馬、三田恵津子

金属の仕切り板で殴るアジャの強さがよく表現されていた。

当初からアルシオンのファンの拒絶反応を受け たラスカチョであるが。ついに後楽園でストリートファイトを行うに当たって、 会場には一種の諦めにも似た空気が漂っていた。思いのほか会場は静か、アル シオン側のアジャも熱狂的な声援を受けることはない。これはアルシオンスタ イルに幻想を持つファンにとって、もはやアジャもアルシオンの異物のように 受け取られているということではないのかな。凄惨な試合のわりに、最後まで 会場が一体となることはなく、むしろ客が引いていた印象が強い。熱心なラス カチョファンの声援の方が散発的に目立っていたようだ。
●ここ試合の受け取り方は人によってかなり異なるだろうが。個人的には最高 に面白い試合だった。本当に1VS2のま まで試合開始。ところが、アジャが強い強い。場外ではイスや鉄製の仕切りを 持ち出して、女子プロとは思えないハードヒット。下田がマット上にイスを並 べ、そこへ2人がかりでアジャを落とそうとするも、三田が振りきられ、下田 を雪崩式ブレーンバスターで投げ捨てるアジャ。下田はマジな痛がり方。さら にアジャは、三田、下田と順番にパワーボムで叩きつけ、孤立した下田に垂直 落下式ブレーンバスタ3発、とどめの裏拳、三田がカットに入らなければ、決 まっていただろう。下田は流血、三田をもイスでぶちのめし、このままアジャ が勝ってしまいそうに思えたほどだった。
●しかし、下田が赤い毒霧をアジャの顔に吹き付けると、ここで形勢逆転。後 はひたすらイスプロレスである。延々と続くイス攻撃。しかし、ズタボロにな りながら、それを耐えるアジャの姿に、自分としては初めてレスラーとしての 魅力を感じることができた。三田のデスバレーボム2発。下田の踵落とし。我 慢しきれなくなった浜田が飛び込み、そのままレフェリーストップでラスカチ ョの勝利。
●試合後のラスカチョはダウンしたアジャに赤いスプレーを吹きつける暴挙。 見かねたアルシオン勢が三田を袋叩きに。「どっちがハンディキャップだよ」 と一緒に観戦していたK氏のツッコミが入る。なおもマイクでアジるラスカチ ョに切れた男性客が下田に殴りかかったものの、客 席から起こったのは笑い。意外と醒めているのね、アルシオンのファ ンって。浜田とAKINOがラスカチョに迫り、横浜でのタッグ対決へと続い ていく流れのようだ。怒りまくる浜田がイスを場外へ投げると、お客さんの頭を 直撃。やるねえ。しかし、がっかりしたのはAKINOのマイク。エース が処刑されたこの時に、その営業的発言はないだろう。アジャ劇団か、お前ら。 アルシオンの試合はとても好きなんだけど、試合後の演劇はいつも情けなくな ります。営業のことなどハナから頭になく、ただ自分は最高なんだと連呼する 黒田を見習ってほしい(ダメです)。

ラスカチョはとにかくイス。それでいい試合後のもめ事


ついにアルシオンで行われたストリートファイ ト。アルシオンのファンがラスカチョ路線に反発する理由として、旗揚げ当初 の理想である関節技とルチャの融合というテーマが置き去りにされているとい うことなのだろうが。自分としては、プロレスにおけるスローガンなど念仏だ と思っており、初めから信用していなかったので、ラスカチョ登場にも違和感 はない。何よりも今日の寂しい入りを考えると、アルシオンは動かずにい られないだろう。今日の観客の実数はおそらく1300人程度。ディスカウン トチケットでの入場者も多いことを考えれば、何か手を打たなければならない ところに来ていることは確か。
●いよいよアルシオン色の強い浜田とAKINOがラスカチョと当たるよう。 未だ全女系の匂いが強いアジャよりも対抗戦の色彩が強く出る試合になると思 われ、刺激的ではないか。浜田もイスを手にするのか。それとも、あくまで彼 女本来の綺麗なプロレスで当たっていくのだろうか。ここらで一度汚れてみる のも、レスラーの経験として悪いことではない。あと、試合後の乱闘にも一切 参加せず、姿さえ見せなかった吉田。こういうツッパリ方、ズルいと思うけど、 やはり気になるね。


天気読み  WRESTLE


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