FBATL Journal (01) 6/27大仁田厚主催興行後楽園大会観戦記

1999年6月27日 後楽園ホール  大仁田厚主催興行


●当日券を買うために後楽園1階のチケット販売所に並ぶと,すぐに今日の客層が FMWとはまったく違うことに気づく。女性客が目立つFMWに比べて,圧倒的に 男ばかり。FMWの客というのは,けっこう身なりがきちんとした男の子とか, モード系入った女の子とか,(プロレスファンとしては)おしゃれな部類の人が多 いように感じるのだが,今日の大仁田興行に来た連中はなんかくす んでいるような感じ。FMWの会場の知った顔も全然見ないし,本当にFMWと大 仁田は別物になったんだなということを,こんなことから感じてしまった次第。
●席種は特リン7000円,リングサイド5000円,立ち見3000円,子供が5 00円。高えー。子供500円ってのは,すごく良いと思うけどね。将来のために 種を蒔いておくというか。これもルーサーのためだと思って,5000円を買った ら,南側の一番後ろ。そして,入場する段になって,ルーサー,ハニバル,リーの 3人が来日していないことを知る。ざけんじゃねえ!  ルーサー&ハニバルは飛 行機のエンジントラブル,リーは顎の骨折が理由だとか。本当に彼らを呼んでいた のだろうか? 認定証明書(ビザ)の申請が出ているかどうか調べれば,すぐにわ かること。調べたとしても,ここには書きませんけど。そう言えば,先日も絶対的 エースが引退したばかりの某 団体が大物の来日を発表しておいて,当日になってドタキャンしたんだっけ。この 手は使えるぞ! UNWにロックが来日とか,DDTで高木三四郎VSストーン コールド実現!とか煽っておいて,当日になって飛行機トラブルとか急病とか言っ ておけば,それで済むんだもの。ともかく,大仁田に怒っても,男には人生に1、 2度ウソをつかなきゃならん時があるんじゃ!とか言われそうなので,泣き寝入り することにした。
●場内は文句なしの超満員札止め。バルコや南側通路にも人が溢れている。しかし、 妙に空気が散漫というか。全日なんかはファンの間に「俺達は全日が好きだ!」み たいな共通意識というか連帯感みたいなものがあって、それが部外者には息苦しい くらいの内輪ベクトルな熱気を醸し出している。それに比べると、今日の興行はパ ッチワークなんだよね。コアな大仁田フリークに、大仁田の話題性に引かれてきた 野次馬、天龍ファンにDDTのファン。連帯感なんて生まれようがない。常にざわ ざわと落ち着きのない会場で、試合が始まった。ちなみにリングアナは山田さん、 レフェリーは石倉康晴と、こちらも懐かしいFMWの面々でした。


第0試合 サバイバル飛田 VS パンディータ VS ピンチヒッター・ジョー

●ジョーと言えば、ジプシーかボートピープルだが、このジョーは背中に「代打」と書かれたマスクマン。 パンディータの裏切りであっという間に消える。試合中、音楽が鳴り響くと、突然ヴァーゴンのような動き になったパンディータ。座り込み、鉄柱に抱きつく。飛田はパイルドライバーからパンディータをフォール。 怪獣ではないが、パンダにも勝った。

トイレのパコパコを持参寝転がるパンダを挑発する飛田


第1試合 栗栖正伸 VS 高井憲吾

●ルーサー&ハニバルもリーもいなけりゃ、栗栖に期待するしかない。ちょっと老けたかな。多少優し目の イス攻撃とストンピング。全日VSジャパンの6対6マッチで冬木を叩きつけたダブルアームスープレック スも出た。けれど、かつて秋吉昭二(邪道)を試合中失神に追い込んだ鬼気迫る怖さがもう伝わってこない。 それでも、いじめられっ子顔の高井憲吾をなんなく料理。個人的には、今日一番燃え上がった試合か。KO された高井とDDTの面々に何か語りかけていた栗栖。こんな優しさ、FMWに上がっていた頃には見られ なかったものだ。丸くなったのか、肩の力が抜けたか。今なお栗栖の試合は面白かったです。

少し優し目のイス攻撃ダブルアームは栗栖の定番技


第2試合

RIEシャーク土屋
ツッパリ・マッククラッシャー前泊
キラー岩見 VS ミスモンゴル
小泉恵美コンバット豊田

●これは試合じゃなくて、クラス会だね。小泉はすごくスレンダーになっていて、色っぽかったかな。FMWに帰 ってきてくれないだろうか。試合内容は遊び中心、ちょっと 長すぎた。客のほとんどがもううんざりという感じだったんじゃないか。旗揚げしてから2、3年の頃 のFMW女子は確かにレベルがめちゃくちゃ低かった。しかし、いつも真剣そのもの、彼女たちなりの全力 で試合を戦っていたはずだ。これをFMW女子というなら、自分たちの過去に頭を下げなさい。
●土屋、前泊はいろんな団体で試合を見るけど、何がやりたいのか、よくわからないな。やる気のなさを 味にしているんだろうけど、試合が面白くないんだから、全然仕方ない。ま、懐かしい顔ぶれを見て、元 気そうで良かったというのが、この試合でしょうか。

鍋野が乱入衰えを見せないドロップキック記念撮影


第4試合 大仁田厚、ニセ大仁田、サンボ浅子 VS 青柳政司、上田勝次、シューター1

●リーがいなくて、興味半減。ニセ大仁田は予想通り国プロの森谷だった。大仁田って昔、上田とのシング ルマッチでKO寸前に追い込まれてるんだよね。というか、実際は、もうほぼKO、ファイティングポーズ を取ることもでき ない状態で、なんとかレフェリーに救ってもらったような。今日はそれ以来の大仁田と上田の絡みなんだが、 相変わらず大仁田は上田のパンチに為す術もない。上田も衰えがアリアリ、痛々しいくらい。大仁田は遊び モードで、後はまかせたとばかり、ニセ大仁田に。上田のパンチになぜか流血して、やられるばかりの森谷 に、大仁田が「こいつ、弱すぎる!」と茶々。
●森谷はKO負けするも、「ニセモノにはニセモノの意地があるんじゃあ」とマイク。青柳は試合後もじ っと大仁田を睨みつけていたが、その背中が「なんとか大仁田との抗争に持ち込めないだろうか」と語って いるような気がしたのは思い過ごしだろうか。しかし、大仁田の「どこから来たのかわからないシューター、青柳、上田。10 年ぶりにお前らとやって、楽しかったよ」とのマイクで握手。青柳の背中が無念そうでした。

パンチは苦手な大仁田ここからFMWが始まったのだ


第5試合 高木三四郎、エキサイティング吉田 VS シューター2、折原昌夫

●ルーサー&ハニバル、いないし。何が哀しくて、1日に2回も高木を見なくてはならないのか。今さら、 折原でもないし、ずっとセコンドのスーザンを見ていました。折原はあろうことか、スーザンに唾をかけ、 蹴りを入れようとする。気丈にも折原を挑発するスーザン。ここがこの試合の頂点だったでしょう(笑)。
●今のFMWよろしくステージ上で高木がシューターをジャーマン葬。これが相当効いたらしく、シュー ターはしばらく立ち上がれない。高木はルーサー&ハニバルとの決着を叫んでいたが、さて。できれば、 DDTに呼んでもらいたいですね。

折原は序盤でいきなりスパイダーから、
ムーンサルト、みちドラへ
完全に試合を握った折原&シューターもう何も言えません。体全部が芸術品


メインイベント
大仁田厚天龍源一郎
奥村茂雄中牧昭二
サンボ浅子 VS 矢口壱狼
菊沢光信小野浩

<ノーロープ有刺鉄線ダブルヘル・ストリートファイト・トルネードタッグデスマッチ>

天龍はネクタイも締めていたがんばれ! HP作ってる場合じゃないぞ

●試合内容については,最初からあまり期待していなかった。大仁田と天龍って言 えば,94年にタッグ,シングルで素晴らしい名勝負を戦い,プロレス大賞まで 持っていってしまった組み合わせ。どっちにしろ,あの時以上のものが作れるはず もない。
●天龍側のXはポーゴだろうなと思っていたのだが,これがなんと小野浩。95年 のIWAジャパン川崎大会で引退したあの男である。一方の大仁田側のXは菊沢光 信。発表された途端,大仁田ファンからブーイングが起こる。ちょっとかわいそ う。確かに,「X」と振るほどの選手じゃないかもしれないが。個人的には,佐々 木嘉則以外なら,別に誰でも良い。
●WAR横浜文体でも感じたことだが,復帰してからの大仁田は相手の技をあまり 受けたがらない。もともと大仁田は「受け」の選手で,相手の攻めを耐えて耐え抜 いてから怒濤の反撃をすることによって,名勝負の数々を作り上げてきたのだが。 ボロボロになってこそ,最後の泣きが生きていた。今はちょっとシビアな展開にな ると,すぐに場外に逃れて,適当にかき回して,お仕事しちゃうでしょ。これじゃ 熱くなんてなれるわけがない。
●なぜかポーゴが試合中に現れて、何もせずに帰っていった。これはなんなのだ?  もしかして、ポーゴ自身も「X」とは自分のことだと勘違いしてやってきたんだろうか。 そうだとしたら、ポーゴらしいおマヌケさで、憎めないですね。今度、国際プロレスで、 中牧とデスマッチだそうですが。かつて大仁田と球場興行を軒並み満員にした男が、 ちょっと寂しいな。
●もう見るべきものはないなと思って,ぼけっと眺めていたのだが,突然こっちの ハートをぎゅっとわし掴みの選手が現れた。菊沢光信。前から好感を持っていた選 手で,昼のDDTでもセンス良いマイクを披露していたのだが,夜の大仁田興行で も,何の前触れもなく彼が主役に躍り出てしまった。天龍の肩まで背が届かないく らい小さな菊沢が,天龍の岩のような体にチョップを打ち込んでゆく。天龍は微動 だにせず,菊沢を有刺鉄線ボードにたたき落としてしまう。なんとか上がってきた菊沢を 中牧らは有刺鉄線でがんじがらめにし、さらに有刺鉄線での喉元クローズライン。 それでも折れない菊沢。大仁田の指示で、有刺鉄線を体に巻き付けたまま、矢口ら に体当たり。
●FMWだったら、ここで菊沢への大コールだろうが、今日の大仁田目当ての散漫 な観客達には、そういったプロレス心がない。菊沢の頑張りを会場一体で押すよう な雰囲気がなかったのは、少々残念だった。菊沢が後楽園のメインで主役になるな んて痛快なこともあまりないからだ。ここで本当に光らなきゃいけないのは、プロ レス界の明日を生きていく奥村であり、菊沢のはず。圧倒的劣勢にあった大仁田軍 だが、この菊沢の頑張りもあって、大仁田がTFPBで復帰戦の小野を料理。
●1人で「愛だー」と叫んで帰ってゆく矢口を後目に、試合後の大仁田はマイクで 「菊沢を応援してやってくれ。こいつも小さな邪道じゃ」。菊沢も実は邪道だった ということは今日初めて知ったが(笑)、ここまで振るんだから、よほど菊沢を気 に入ったのだろう。というか、言うこと聞く人なら誰でもいいのかと言いたく もなるが。ともかく菊沢にはこのチャンスを逃さないでもらいたい。DDTの常連 レスラーとして存在し続けるのも悪くはないが、頭の回転が速い菊沢は、あるいは より大きなベースに乗れる可能性だってないとは言えないのだから。

天龍のパワーボムが大仁田にフィニッシュのTFPB


●いつまでも予告編で、話が前に進まない大仁田VS天龍。客が入っているから、別 に良いのかな。でも、これは昔大仁田がいた場所を再現して、今の観客に見せている だけだ。大仁田がリアルタイムの時間を生きるのは新日マットの上だけなのだろうか。
●ここでも新しい物語を作れ。奥村や矢口と、本当の意味で絡み、新たな戦いを生み 出してほしい。今日はルーサー&ハニバルとリー目当てで来ただけ、いつも同じものの再 生産はもう見たくない。今日、菊沢がニューヒーローになったのなら、次回、それが よりディープに発展するような展開を期待したいところだ。大仁田1人の発表会なら、 とっくの昔にお腹いっぱいになった。それが大仁田主催興行だと言われたら、ここは 俺にはもう用のない場所ってことなんだろうね。
●最後に。もうFMWを名乗るのはよせ。のれん代、もらったんだろう。荒井社長も 佐々木嘉則も現れなかったんだし。だいたいにおいて、ファンが違うんだよ。ほとん どのFMWファンはもうここには来ない。大仁田厚は大仁田厚の名前だけで大きすぎる くらいなんだしさ。


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