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1999年5月29日 伊勢原食品市場  FMW


 個人的なことで、気持の晴れない日々が続く。迷っていたものの、1人で車を走らせて伊勢原 へ。着いたのは3時頃。姉崎がいたので、駐車場について訊くと、市場のは使 えないとのこと。伊勢原駅前の市営駐車場に車を停めて、会場へ歩く。途中で、 大阪からやってきたネグロさんにばったり。ジャイ子さん、ドラミさんも一緒。 4時過ぎには知った顔ばかりが会場入り口に立ち並んでいた。花changさんとナ オコさんが立ち話をしている。オバケさんがやってくる。ヒロケンさん、テブ クロさん、大角比呂詩を見に来た池Jさん、裏日本から遠征組のDANGAN さんも来る。いつのまにかプロレス会場が自分にとって、ひとつの住処みたい な場所になっていた。
 レスラーを目指して歩き始めた彼女も、ついに巡業に参加。もうひとり女子 練習生がいる。こちらの方も顔立ち、体格共になかなかではないか。池Jさん が「SP”入”WF」とか、ネグロさんが「最高」とか、テブクロさんが「金 星↓」とかいったプラカードを書いているのを見ながら、試合開始を待つ。
 席は偶然、花changさんの隣。平岩リングアナがカード発表が行い、セミとメ インの試合を入れ替えるとのこと。これは金村、非道組の強い要望によって、 今日のセミの試合が会場全体が戦場になる「ストリートファイト・エニウェア フォール・ラダーデスマッチ」に変更になったことを受けた措置ということだ。 ま、たまにはハヤブサがメインじゃないのも許していいかねえ。


第1試合 佐々木嘉則 VS 南条隼人

 ずいぶん横に大きくなった南条。あのペラペラの体が大嫌いだったので、幾 分マシになった。レスラーらしくなったというか。腹が出ているのは仕方ない だろう。体重を増やす段階では、どんなに鍛えても、腹はまず最初に出てくる ものである。しかし、久しぶりに見ると、改めて小さいねえ。佐々木と比べる と、子供のようである。
 体重で優る佐々木がタックルで吹き飛ばし、ボディスラム、ギロチンドロッ プ、串刺しラリアット、スプラッシュ。南条もラ・マヒストラルで抵抗するも のの、佐々木のアームボンバーでダウン。佐々木はやるぞと見得を切ってから、 2発目のアームボンバーに行くも、腕ひしぎ逆十字に切り替えされる。南条の アラビアンプレス。南条はさらにコーナーからウルトラ・ウラカン・ラナを狙 ったところ、回りきれず失敗。すかさず腕ひしぎで佐々木からギブアップを奪 ったものの、ダメダメ。合格点はちょっと出せません。

体格差はあったが久々に見たアラビアンプレス


第2試合 リッキー・フジ  VS フライングキッド市原

 なんのことはないと思われそうないつものシングルマッチ。ところが、これ が大変な盛り上がりだったのだ。
 試合開始早々、声援の多さで勝負する2人。自ら手を叩き、お客さんもそれ に応えたために、出だしから良いムード。グラウンドで勝負は始まり、リッキ ーが客席で休憩するシーンなども交えて、大技の展開へ。リッキーのシャープ シューターを堪えた市原はケブラーダ、2段目からのムーンサルトと飛び技で 勝負。リッキーのカミカゼも回転エビ固めに切り返す。市原の3段目からのム ーンサルトを自爆させたリッキーはタイガードライバー、カミカゼ。市原もラ ・マヒストラル、スクールボーイ、ローリングクラッチと固め技3連発で抵抗 を見せ、客席を大いに盛り上げたものの、最後はリッキーがラリアットからロ ーリングストーンで、市原をピン。
 リストラ候補No.1などと言われている市原だが、とても仕事のできる選手 だぞ。まあ、本当に市原がリストラというのはないと思うけど。南条を入れて おいて、市原を切るというのは考えられないこと。みんな、試合中の市原に 「アミーゴ!」と声をかけてみよう。市原の良さがわからないうちは、まだま だ子供っていうことさ(笑)。

グラウンドも力が入ってましたカミカゼを回転エビで切り返す


第3試合 保坂秀樹  VS 大角比呂詩

 今日はこの試合のために来たようなもの。SPWFとの初の交流戦である。 「新宿鮫」「あなたしかいない」といったボードに迎えられて入場した大角は 細いけど、でかいね。グローブをはめ、ボクシングスタイルでやるようだ。昔 のFMWみたい。
 シャドーを決めながら迫ってゆく大角に対し、保坂は寝っ転がる。猪木VS アリの興奮が甦る。見たことないけどさ。大角のパンチが数発決まるも、保坂 は超強烈なヘッドロック。今日の保坂は真剣味が違う! 保坂1人の肩にプロ レス界の威信がかかっていることを保坂本人も自覚したのだろう。と言いなが ら、嬉しそうに笑ってるよ、保坂。タックル合戦では保坂が圧勝。アームホイ ップで、大角を軽々と投げる。悔しそうな大角。腕を固められて、ピンチの大 角だが、保坂の顔にパンチを入れて、脱出。
 ここから大角は大攻勢。パンチの乱れ打ち。さらにフライングパンチで保坂 はダウン。客席はやはり圧倒的に保坂への声援が多い。保坂はエプロンに出た 大角をブレーンバスターに捕らえる。しかし、コーナーに上った保坂を雪崩式 フランケンシュタイナーに切って落とした大角。ボクサーの大技に会場は大き くどよめいた。さらにムーンサルトプレスに行くも、これはよけられた。
 大角のパンチを受けた保坂だが、ラリアットを返し、最後はパワーボム。 引き上げる大角にも大きな拍手が起きた。大変、面白い試合でした。

これが大角だ立て! 立つんだ大角!大角の雪崩式フランケン


第4試合 中川浩二、邪道、外道 VS ジ・アルマゲドン

 まずは派手な場外乱闘でお客さんを充分暖める。邪道にトラックへ叩きつけ られる1号。ぶつけられるたびに泳ぐ体がとてもステキ。リング内では、外道 が徹底的に攻められる。レザーの椅子を使ったスライディングレッグシザーズ、 1号のパイルドライバー、アルマゲドンのダブルエルボードロップ、ダブル頭 突き。1号のスプラッシュをかわして、外道は邪道にタッチ。
 しかし、邪道も1号のマンハッタンドロップ、ラリアットを受け、いきなり 劣勢。邪外合体のダブルブレーンバスターで2号の巨体を持ち上げ、邪道が2 号を押さえに入ると、そこへボディプレスで飛んだ1号。しかし、邪道がよけ たので、ボディプレスは同士討ちに。さらに1号が邪道を狙ったラリアットも、 2号へ誤爆。すかさずスクールボーイで邪道が2号を丸め込んで、3カウント。
 敗れて立ち尽くす2号。すげえ。頭から湯気が上がってるよ。デブでなくて はできない芸当です。

トラックの前で、場外乱闘腰をくねらせてのパイル。かなりヤダ1号のラリアットが2号に


セミファイナル ハヤブサ、大矢剛功 VS 冬木弘道、ミスター雁之助

 ハヤブサ人気が凄い。入場口に人だかりができる。私と花changさんはハヤブ サに紙テープを投げようと待っていたのだが、いきなり乱闘が始まって、投げ ることができず。仕方ない。後楽園でね。
 一通りのグラウンドムーヴの後、冬木が大矢の股間を蹴り上げると、雁之助 も大矢の急所への頭突き。急所攻撃禁止ルールは何のためだったんでしょうか。 ハヤブサのダイビングギロチンが雁之 助の首を刈り、さらにアスファルトの上でラ・ケブラーダ。会場がどおーと沸 きあがる。そのままハヤブサと雁之助は場外で乱闘を続け、伊藤豪の場外カウ ントが響く。両者リングアウトの気配が高くなり、観客が騒ぎ始めたところ、 19カウントで走ってリングに滑り込むハヤブサと雁之助。またどっと湧く。
 ハヤブサのタイガースープレックス、フィッシャーマンバスター、大矢のス ウィンギングネックブリーカー、バックドロップ、卍固め、延髄斬り、ダイビ ングニーと大技をたてつづけに食らい、ピンチの雁之助。冬木がハヤブサ、大 矢にそれぞれラリアットを打ち込んで、形勢逆転に成功した。冬木のパワーボ ム、ラリアット、冬木スペシャルでハヤブサは追い込まれる。
 大矢が雁之助にかわず落としを決め、雁之助の逆さ押さえ込みもワキ固めで 返す。大矢のニーが自爆に終わると、冬木がハヤブサにラリアット。コーナー のハヤブサに雁之助と冬木が順番で串刺しラリアットを決め、スーパーパワー ボム。冬木のフィッシャーマンバスター、雁之助の拝みパワーボム、ファイヤ ーサンダーでピンチを迎えたハヤブサだが、ここは一発すさまじい音の掌打。 うぉー、と歓声が上がる中、大矢がバックドロップで投げ捨てた雁之助にハヤ ブサのファイヤーバードスプラッシュが決まり、これは冬木のカットが入った ものの、場外の雁之助にハヤブサは矢のようなトペコン。アスファルトの上で トペコンやっちゃうとは…。凄すぎ。怖すぎ。これで頭を打った雁之助はふら ふら。ハヤブサも心配そうな表情を見せる。なんとかエプロンに上がった雁之 助だが、なおもハヤブサの攻撃を受けると、足をロープに絡ませて、宙づり。 伊藤豪のカウントは続き、そのままリングアウト負けに。納得しない冬木が伊 藤豪を突き飛ばす。
 伊藤豪のマイク。「冬木さんの決めた通り、厳正なレフェリングを行いまし た。雁之助選手が20カウント内でリングに戻れなかったので、ハヤブサ、大 矢組の勝ちとします」
 ハヤブサも景気良いマイク。「冬木。お前の決めたルールで俺達が勝ったぞ。 お楽しみはこれからだ!」

2人の試合はいつでも見応え充分地方でも飛びまくったハヤブサ冬木のラリアットにピンチ


メインイベント 田中将斗、黒田哲広 VS 金村ゆきひろ、非道

 場外乱闘や、梯子での攻撃が続き、メモなど取れる状況ではない。こういっ たデスマッチで大切なのが、選手と観客のテンションなわけだが、悪くなかっ たと思う。やっている選手は大変だろうが、場内は常にどよめきに包まれ、一 気にフィニッシュに向かって、突き進んでいった様子。
 非道が2発も出したムーンサルトプレスのかたちの悪さなど、もうちょっと なんとかしてもらいたいというところだが、こういう試合形式でなら、非道も そこそこ見ることができる。金村にしろ、非道にしろ、W★INGでのデビュ ー時から、こういうことばかりやってきた人たちである。一方、田中はこの試 合形式でも、1枚も2枚も上というところを見せた。乱戦の中でも、説得力あ る技を美しく決めてみせる。黒田のダイビングエルボーと連弾で見せた田中の ダイビングボディプレスのダイナミックさはグラジエーターのそれと互角の迫 力があった。梯子の上に寝かせられたまま客席の中に放り込まれたり、終盤で は梯子の上に背中から落とされたり、試合後もかなり苦しそうな様子だった田 中だが、やはりこの中では、他の3人とはちょっとレベルが違う。
 しかし、おいしいところを持っていったのは黒田。非道を垂直落下式の技 (名前不詳)で仕留めると、ネグロさんが書いた「最高」のボードを抱え て、客席にアピール。「冬木。FMWはお前の物じゃない。FMWを応援する ファンの物だ!」おいしいところ、取りすぎ。熱狂した観客に取り囲まれ、嬉 しそうに帰っていきました。

黒田の隠れた定番技。梯子アタックECWなイスアタック炸裂これがフィニッシュ。非道の首が横に曲がってます。
これはいいんでしょうか?


 面白かった! これはちょっと早すぎる夏祭りですよ。焼き鳥、おでん、ラ ーメンの屋台もある屋外での興行。ひんやりした風の中、選手は場外で派手に 暴れまくる。何よりも、かつてのFMWらしいFMWが帰ってきたというか。 こういう興行を見ると、今までのレスリング至上主義+団体対抗戦が逆にFM Wを狭いところに押し込めていたような気がします。
 横浜文体でのリセットの意味はあったと言うことでしょう。やはり、WCW、 WWFに対して、ECWがその存在感を打ち出していくことができるのは、違 うことをやっているからこそで。ECW自体がもともとFMWをマネしたもの なのに、本家FMWの方が本来持っていた自由な空気を忘れてはいけません。 今日はすごく開放的なプロレスを見ました。
 後楽園では地方とは全然違ったことをやってくるだろう。それが成功するか 否かが今後のポイントか。今のFMWを支持します。ハヤブサは調子良かった し、リングアウトながら雁之助に土がついた。メインは久しぶりのラダーマッ チだったし、黒田は「最高」だし。大角比呂詩まで見れて、とってもお得な興 行だったと思う。良くないのは、893とヤンキーが目についたこと。どうし て地方に行くと、こういうのがやたら多いんでしょうか。東京都下のベッドタ ウンでは、あまり目にしない嫌な人種です。


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