1999年3月14日 横浜文化体育館  WAR


 関内駅から会場まで何人ものダッフィーが立つ。一番後でいいや、とにかく 安いのと思っていたが、リングサイドあるよとしつこいお兄ちゃん。6千円と 吹っ掛けてきた。どうせ売れてないんでしょ、今日は4千円が精一杯だよと最 初から相手の足下を見た言葉で4500円まで下げさせて買う。買ってから、 騙されたことに気づく。「リングサイド17列」って一番後やんけ! 文体の ひな壇なしの一番後なんて見えるわけがない。
 予想されたことながら、中はガラガラ。ネグロさんを見つけて、一緒に5列 目に座る。チケットが何列目だろうと、結局同じことか。しかし、大仁田が出 て、この入りではかなり寂しいね。この顔合わせがかつて両国や川崎球場を満 員にしたのだが。池Jさんも来て、3人で並んで観戦。


第1試合 ニーハオ VS 諸橋晴也

 両方とも初めて見る選手。ぼーと見る。特に感想なし。


第2試合 アジアン・クーガー VS 佐々木貴

 なんだかんだ飛ぶ選手が出てくると楽しみ。まして、今日のクーガーは俺達 がいる北側ばかりに何度も飛んできた。圧巻だったのは場外でイスの下敷きに した佐々木めがけてのトペ・アトミコ。危険すぎるよ。見ていて、本当に怖い。 その後のプランチャも俺の前の席を吹っ飛ばして、突っ込んできた。7色のギ ロチンドロップなど、相手の顔がもげてしまいそうなエグさでしたわ。クーガ ーのおかげで見ていて楽しかった。
 佐々木はこの前も大仁田興行で見たけど、えらくマジメそうな人。今日もあ まり印象に残りませんでした。最後はクーガーが佐々木のミサイルキックをド ロップキックで撃墜してから、ジャーマンで決めた。

恐るべきトペ・アトミコ7色のギロチン


第3試合 奥村茂雄  VS 二瓶一将

 二瓶組長の試合を生で見るのは初めて。会場では姿を何度か見ているんだけ ど、試合となると、これまで経験なし。けっこう強いという話だったのだが。
 思ったよりお笑い系の人なのね。これは出所が同じ奥村が相手ということも あってリラックスしていたのか。「これが本当の893キックだ!」などと、 放送禁止用語を飛ばしながら奮闘し、場外に落ちた奥村を二瓶組の面々が袋叩 きにするJd’さながらの場面もあったが、奥村のムーンサルトプレスから卍 固めで、ギブアップ。「俺だって天龍と戦いたかったんだ」と試合後の奥村の マイク。奥村の体の厚み、近くで見ると改めて、くすぶっているのが勿体ない と思う。

プロレスの基本、チンロックサッカーボールキック


第4試合 菊地淳、遠藤紗矢 VS 高井憲吾、タニー・マウス(アナザーバージョン)

 今やWARのオハコとなったミッスクドマッチ。で、菊地は早くもその要員 として認知された感じか。本当に良いキャラだよね、菊地。大きな体と憎めな い顔つき。トーナメントでの和田部とのタッグはまったく絶品だった。
 しかし、この試合でアナザーバージョンはナシだろう。和みで売る試合で女 子プロが表情を隠してはダメだ。高井もいまいち芸がなく、期待したほどには 盛り上がらなかったか。良かったところ―遠藤がコーナーに控える菊地に「ダ ブルー!」。菊地は「えー」。遠藤「早くダブルー!!」。最後は菊地がパワ ーボムで高井をピンフォール。

タニーのマウントを取った菊地遠藤が菊地を救出


第5試合 折原昌夫 VS 石井智宏

 個人的に好きな折原だけど、最近はあまりにもお仕事じゃないか? 海野レ フェリーが石井にぶつかってダメージを受けた隙に、みちドラを決めた時には 勝ったと思ったのだが。再び突進する石井相手に海野レフェリーを盾に取って 反則負け。どこでもそこそこ人気者の折原にまるで声援が飛ばず、「折原!」 とか叫んでたのは俺1人。今日のお客さんっていったい何なんだろ?
 石井は高田伸彦を縦に縮めたような選手。期待の選手だが、タッパはかなり 小さい。気迫が出るのが良いところか。次回、決着戦だそうだが、折原はこの クラスにはまだまだ負けていられないだろう。

石井は小さいが、幅があるジュニアの定番技ですなスパイダージャーマン炸裂!


セミファイナル 望月成晃 VS 安良岡裕二

 ゴングの小佐野氏が選手権宣言。なんか安良岡というのも、上積みのない選 手だ。いつまでたっても同じような位置。キャリアはあっても、それに伴う安 定感が感じられないというか。
 蹴り合うも空手家の望月に勝てるわけもなく、途中コーナーポストからプラ ンチャで舞う展開などもあったが、一方的な望月ペースは変わらない。WAR スペシャルも決め手にならず、コーナー上で捕らえられて、望月の雪崩式脇固 めを食らう。しかし、この2人三角飛びが多いね。安良岡はジャーマン、タイ ガースープレックスで勝負を賭けたものの、望月のドラゴンスープレックスで 叩きつけられ、後はただ望月の大技を2カウントで返し続けるだけ。最後は望 月の三角飛びキックから捻りを加えたブレーンバスターでピンフォール負け。 望月がベルト初防衛。
 それほど客も沸かず、あまり面白くありませんでした。

華麗に飛んだ安良岡だが雪崩式脇固め今のヤスは何をやっても中途半端な感


メインイベント 大仁田厚、荒谷信孝 VS 天龍源一郎、中牧昭二

かなりしつこく場外戦を続けた大仁田天龍ももっと厳しく攻めて良かったと思う天龍の眼前で中牧をいたぶる

 大仁田の入場してくる花道に人垣ができる。これほど熱狂的に迎えられるの はいつ以来か。機嫌良さそうな大仁田。良い仕事先を見つけたなと思う。コー ルが終わると、いきなり大仁田が中牧に飛びかかり、場外乱闘へ。大仁田は場 外で天龍を引きずり回し、イスで殴ると、天龍は額から流血。リングに戻って、 早くも天龍にTFPB。中牧が出てくると、天龍が来いとばかりに中牧をコー ナーへ押し戻す大仁田。これには中牧が怒りの表情で、大仁田になおもかかっ ていくが、大仁田は相手にしようとしない。ちょっとかわいそう。
 天龍チョップの乱打に崩れ落ちた大仁田。しかし、幾度も得意の場外乱闘に 雪崩れ込んでは、ペースを取り戻す。「それじゃ、ターザン後藤以下だぞ!」 Sさんのヤジ。場外で中牧に机パイルドライバー。天龍の目の前で中牧を痛め つけるが、中牧に羽交い締めにされると、天龍は容赦ない蹴りを大仁田の額に 入れる。大仁田は天龍にヘッドロックに取られたところをバックドロップで投 げ捨てる。代わった荒谷も天龍のイス攻撃を膝に受けてから、防戦一方に。天 龍の顔面蹴り、ダイビングエルボー、パワーボム。一発一発が重い。大仁田の 檄が荒谷の背中に飛ぶ。「荒谷、持ち上げろ!」大仁田の指示で2人がかりの パワーボムを天龍に。しかし、大仁田が中牧に捕まると、天龍はムーンサルト 狙いの荒谷をコーナーポストからパワーボムで投げ捨て、ラリアットからピン フォール。
「大仁田。4月10日の後の身の振り方を考えておけよ。俺と死ぬまでつきあ うか。俺はお前と組んでやったっていいんだ」
 天龍はマイクをうつ伏せの大仁田の頭に投げつける。大仁田も天龍が帰った 後に、荒谷を介抱しながらマイク。「ここはWAR(ワー)のリングだけど、 一言言わせてもらいます。新日が終わったら、次は天龍。お前じゃ!」
 そこそこの内容だったけど、なんというか、横浜文体でやる試合じゃないね。 今のWARにとって、文体は年に1、2度のビッグマッチ以外の何ものでもな い。そこで予告編みたいな試合をやってどうするか。WARらしい重さのある 試合を堪能させてもらったが、消化不良な感も否めない。この素材をどうして もっとおいしく料理できないのだろう。WARに来てしばしば感じることは、 興行をプロデュースする側のセンスのなさである。
 レスラーとして、すっかり衰えながら名前ばかりが肥大してしまった大仁田 厚を使うことの難しさは理解するが、もっと他にやりようがあったはず。かつ て天龍と大仁田のタッグマッチで両国をフルハウスにし、プロレス大賞まで持 っていってしまったWARだけに、何とも勿体ない。天龍と大仁田は「ビジネ スを越えて険悪な仲」という一般ファンのイメージを、下手に中和させずに興 行にブチ込むような刺激がほしかった。今やFMWが捨ててしまった「ハレン チ」を追求できる団体はWARに他ならないだろうと考えているのだが。ハレ ンチとは、権威と人々に了解されているものが揺らぐからこそハレンチ。故に、 最初から権威のないドインディーにはインチキはできても、ハレンチはできな い。天龍という絶対的な権威のいるWARだからこそ、できるハレンチがある はずだ。天龍と女子レスラーが絡むとか、短絡的なことよりも。もっともっと 頭を捻っていい。

出た! これだよ!馬場、猪木を倒したパワーポム思ったよりチームワークが良かった大仁田組。
しかし、荒谷が大仁田の下に入ってどうするの?


 ネグロさんはつまらなかったと言うが、自分はそこそこだったような。試合 内容よりも気になったのがWARの匂いみたいなものが非常に希薄だったこと。 平井も北原も一宮も出ない。WARがすでに団体としての体を成していないこ とが感じられてしまった。WARは旗揚げ戦も見に行ったし、横アリでの新日 との開戦でも熱狂した。実に寂しい今の現実である。
 メインは天龍も今の大仁田が相手ではやりにくそうだった。しかしながら、 大仁田の参戦は低迷を続けてきたWARにようやく差した光明のはず。かつて のように大仁田さえいればどこの会場でも満員とはいかないだろうが、とにか く地味だったWARに話題が増えるのは間違いない。大仁田は今日もいつも通 りの楽楽プロレスモードだったが、これは仕方ないだろう。今の大仁田は新日 ドームを主戦場とするスター。WARにおけるスタンスはアメプロの来日人気 外人みたいなものである。本気で相手と絡もうという気など始めからサラサラ ないだろう。大仁田はこれからも入場シーンと定番ムーヴのいくつかだけでや っていくだろうし、それはすでに名と地位を築いてしまった大仁田にとって正 しい選択でもある。これから名をあげていこうというドインディーの選手が天 龍と絡む時とは根本的に違うはずだ。すでに過去の選手となった感のあるター ザン後藤とも。
 大仁田はそれで良いとして。問題は、大仁田で呼んだ客にWARが何を見せ ていくかということ。今日はそのプラスアルファが何も見られなかった。これ では次に繋がらないだろう。荒谷よ、大仁田に励まされている場合ではないと 思うのだが。


天気読み


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