1999年2月27日 後楽園ホール  FMW


 いまいちのカードだと思っていたのだけど、特別リングサイドは完売。やむ を得ず、4000円の指定席を買う。場内はほぼ札止め状態か。俺の席は南側 のずっと後の方。でも、たまにはこういう場所もいいかも。後に来ると、一見 さんらしいお客さんが多い。
 今日のハードロックマニアは市原。ぎりぎりに来た俺はほとんど聞けなかっ た。今日も定刻通り試合開始である。


第1試合 佐々木葦則 VS 土方隆司

 いきなり突っかかっていった土方。生半可なキックを仕掛けていくが、元の 体力が違う。裏アキレス腱固めや脇固めも決めてにならず、佐々木の高角度の ど輪落とし一発で3カウント。試合時間は2分ちょっとである。試合後も諦め 悪くかかっていった土方だが、腰投げで軽く放られて、己の無力さに気づいた 様子。佐々木、ブレイク近し。

関節技に活路を見いだそうとする土方だが佐々木の豪快無比なのど輪で決まり


第2試合 山崎直彦 VS スーパー・レザー

 今日はダメファンから赤いテープが飛んだ山崎。しかし、山崎の技はわずか に水平チョップだけ。後は場外でレザーにイスで殴られ、イスへのスライディ ングレッグシザーズ、スラッシュバスター、トゥームストンパイルドライバー でピン負け。応援してるぞ、山崎。

果敢に攻めた山崎だが場外でカッチーン!


第3試合 リッキー・フジ、フライングキッド市原 VS 折原昌夫、小野武志

 いきなりマイクを取ったリッキー。「折原。また、つまらねえ反則するんじ ゃねえぞ」ロックンロールコールが起きるも、最初からトンパチの合体攻撃に 飲み込まれるリッキー。代わった市原がルチャ殺法で巻き返してゆく。小野に ステップオーバー・トーホールド。折原にもサマーソルトドロップ。リッキー も折原の急所蹴りをかわすと、折原、小野にたて続けに急所蹴り。しかし、こ んなに生き生きとした市原の姿も珍しい。トンパチはこのクラスにとって、良 い相手かも。
 折原、小野の連続フットスタンプに苦しむも、市原は折原にラリアット、小 野に浴びせ蹴り。リッキーはディスカスパンチから、折原にDDT、カミカゼ を見舞う。市原は小野にミサイルキック、ラ・マヒストラル、ムーンサルトプ レス、ラ・ケブラーダ。フェニックス軍が押せ押せである。リッキーの垂直落 下式ブレンバスターから2人同時のカミカゼ。リッキーは折原にローリングス トーン。しかし、カミカゼに担ぎ上げたところを小野のイス攻撃で止められてし まう。
 何とガムテープを持ち出して、リッキーをコーナーに接着したTM。孤立し た市原を折原が雪崩式みちドラ2でピン。しかし、いい仕事だったぞ、リッキ ー&市原。

市原のケブラーダ。いまいち弧は小さいガムテープでリッキーを封じるフィニッシュ


第4試合 冬木弘道 VS 外道

 マイクを取って、ディレクティービー放送席の邪道に呼びかけた外道。
「連絡取れねえから、さっぱりわからねえよ。一回話しようぜ。いろんな奴が 出てきて、TNRも大変なんだよ」
 それに対して、邪道は「I don't know this guy.」。AKIRAネタ? 邪 道さん、俺ら新日なんて見てないから、そんなこと振られたってわからないよ。 外道は気持を切り替え、冬木に奇襲のドロップキックからパンチ連打。ラリア ットをよけて、延髄斬り。さらにプランチャに行くも、珍しく失敗。エプロン に自分の体を打ち付けてしまう。
 冬木はラリアット2発から、冬木スペシャル。ところが、ここで雁之助、保 坂、レザーが乱入。試合はNCに。保坂のトンファーで殴られた冬木は額から 流血。雁之助ががなる。
「冬木さんよお、その左肩で俺に勝てるのかな。札幌なあ、テメエの首とベル ト2本、俺がもらうぞ。いいか、こら」
 もはや立つこともできず、横に転がってリングを降りた冬木だった。

普通に試合は始まったが・・冬木をいたぶる雁之助達


第5試合 中川浩二、金村ゆきひろ、邪道 VS 池田大輔、モハメド・ヨネ、臼田勝美

 TNRの入場に大歓声が起こる。バトラーツのいんちきどもにプロレスを教 えてやれ! 金村はコール時も土俵入りのポーズでこれぞFMWを見せつけて ゆく。そして、あくまでクールな中川。
 先発は非道と池田。これがなんと非道が池田を圧倒してしまう。頭突き連発 で自ら流血の非道。非道の重いキックに歓声が沸き、逆に池田が反撃すると、 客席からはブーイング。金村に代わると、ドラゴンスクリュー、膝十字などで 弱点の左足を攻め立ててゆくバト軍。そこを狙われては、金村は立つのも苦し げな様子。非道が重い蹴りをモハの顔面に打ち込み、金村を救出。すごく光っ ているぞ、非道。
 場外でセコンドの山崎と土方が揉める中、金村がイスでモハをめった打ち。 いいぞ! 客席は大喜び。1人冷静なのは中川。しかし、頼もしい。モハにマ ンハッタンドロップからラリアット。非道はモハの顔を蹴りまくる。モハをロ ープに固定し、金村のダイビングギロチンを呼び込む。非道と池田のラリアッ ト合戦は互角。金村と非道の合体パイルドライバーが臼田に。この臼田って奴、 ダメだ。体も小さく、リングの使い方もわかってない。
 最後は一瞬の虚を突かれた非道が臼田の脇固めにギブアップ。大矢、黒田、 山崎、土方、小野も入ってきて、FMWとバトラーツで大乱闘になる。なかな か帰らないバトラーツの連中。モハがマイク。「FMWファンの皆さーん。眼 を覚ましてくださーい。俺達がバトラーツじゃ。上がってこい。ハゲ」大矢と 山崎が突っかかるが、多勢に無勢。形勢不利な2人。再びTNRが上がる。金 村が土方にヒューマントーチ。非道がマイクを握る。「おいおいおい。ここに バトラーツのファンはいないと思うけど、バトラーツのファンの皆さん、眼を 覚ましてくださーい」本当に眼を覚ませよ、バトファン。バトラーツってのは 紙プロや週プロに持ち上げられて、イメージだけで上がってきた実体のないプ ロレス。全日やFMWなど他団体でようやくプロレスの基礎を学んでいる人た ち。
 大矢のバックドロップも土方に決まり、少し溜飲が降りた。それにしても、 非道かっこいいぞ。お前にもFMWを感じたよ、初めて。これからも対バトラ ーツの前面に立って、活躍してほしい。まず臼田勝美にプロレスってものを教 えてやってくれ。

光っていた非道。ケンカでは強い!バトラーツは関節技だけイスで天誅!


セミファイナル ハヤブサ、大矢剛功 VS ミスター雁之助、保坂秀樹

何の齟齬も見られないように思えた2人だが首を攻められる大矢の見事なジャーマン

 タッグチームとしてきわめて普通にコーナーに並び立っていたハヤブサと大 矢であるが…。大矢と保坂でスタート。大矢がフェースロック。保坂はパンチ などのラフで抵抗。ハヤブサに代わると、ロープワークからドロップキック。 バック転も見せるも、首が痛そうなハヤブサ。博多のダメージは思った以上に 大きいものらしい。
 大矢と雁之助はトーナメント決勝戦の組み合わせ。やはりグラウンドでは、 大矢か。保坂にリストを攻められるも、腹へキックを入れて、ハヤブサにタッ チ。美しい回転ボディプレスを決めるも、雁之助に首を狙われて攻められっ放 しになってしまう。スウィンギングネックブリーカー連発の雁之助。保坂もロ ープを使った首折りから、頸動脈クロー。キックからスクリューキックを保坂 に見舞って、ハヤブサは大矢にスイッチ。大矢のダイブニー、DDT、卍固め が保坂を襲う。ハヤブサも雁之助にフランケンシュタイナーからラ・ケブラー ダ。トペ・アトミコからブファドーラの流れ。フィッシャーマンバスター。
 大矢が雁之助にグランドコブラから延髄斬り、ジャーマン。ハヤブサがファ イヤーバード・スプラッシュに行こうとするが、保坂が阻止。保坂のビルディ ングボム2発に雁之助の涅槃でハヤブサはピンチ。大矢に助けられて、ハヤブ サがタイガードライバーからファイヤーバードスプラッシュ。しかし、これも 保坂がカットする。大矢の指示でコーナーから飛んだハヤブサ。しかし、突然、 大矢がハヤブサにバックドロップ!
 すぐさま雁之助がリバースファイヤーサンダーでハヤブサをピン。なおもハ ヤブサを蹂躙する大矢、雁之助、保坂。そこへ飛び込んできた黄色い男の姿。 冬木だ! 棒で雁之助をめった打ちに。雁之助軍団を追い払う。
「ハヤブサ、このままじゃFMWはダメになるぞ。俺達2人で力を合わせて、 あいつらを潰すぞ。ハヤブサ、やるぞ!」
 ハヤブサに握手を求める冬木。ためらった後、握り返す。そして抱き合う。客席 は大きな拍手。
  「冬木さん。ありがとうございます。俺、冬木さんのおかげでこれからも人を 信じていけます。タッグリーグ、よろしくお願いします」
 超強力チーム、ここに結成だ! ハヤブサが冬木に勝ってから組んでほしか ったけど、これはこれで良しとする。

大矢の裏切りの瞬間リバースファイヤーサンダーでピンボロボロのハヤブサに手を差し伸べたのは・・・


メインイベント 田中将斗 VS 黒田哲広

田中のイス攻撃からスタート激しいグラウンド

 イスを持って入場の田中。それを見た黒田もイスを手に。イスチャンバラか らスタート。打ち勝った田中がイス攻撃を見舞うも、黒田は怯まずラリアット。 いきなりテンションが高い。早くも流血した黒田。タックル合戦から気迫充分 のスピーディーなグラウンドへ。
 腕ひしぎを狙う田中。黒田は痛がりながら、ロープへエスケープ。黒田は田 中の膝へドロップキックを入れると、鉄柱で足攻撃。さらにリング中央で4の 字固めを決めながら、張り合う。田中も逆4の字にひっくり返してゆく。なお も膝を蹴られた田中だが、三角飛びラリアットからエルボー・スイシーダ。こ こから場外の攻防となる。

4の字固めのせめぎ合い黒田のロコモーションジャーマン

「4、3、2、1、0!」
 客のスタートコールで南側通路をダッシュしてのラリアット。ところが階段 で田中のドロップキックを受けると、黒田は階段落ちだ。リングに戻って、田 中のイスアタックからスウィングDDT、弾丸エルボー、ラリアット、ミサイ ルキック。黒田はレッグシザーズで返し、かわず落とし、哲ちゃんカッター、 ラリアットを決める。弾丸トルネード、ショットガンと攻め込んだ田中だが、 雪崩式ブレーンバスターを狙った田中を黒田は回転エビ固めの要領で背後に回 り、パワーボムに切り返す。ラリアット、ロコモーションジャーマン2回から ドラゴンスープレクス。田中がバックドロップを決めると、すくっと立ってし まう黒田。黒田の投げッ放しジャーマンに、これも即立ち上がる田中。ここは 意地の張り合いか。分厚い体を正面からぶつけ合いながらも、決して崩れない その姿はサイボーグ同士の壊し合いのようである。

田中の急降下バックドロップ両者ダウン

 ラリアットでもう一歩の黒田。観客席の怒号が会場を包む。田中はハイジャック式パワーボムを初披露で ある。2発目のショットガンから、弾丸エルボー。これでも決まらない。ダイ ヤモンドダストに来た田中を黒田はファイヤーサンダーのような技に切り返す。 カウント2。田中は不意を突いたローリングエルボーからダイヤモンドダスト。 これで3カウント!
「黒田。お前と試合すると体がきついよ。でもな、俺はそんな試合が好きなん だよ。黒田、もう一度言う。タッグリーグまで時間がねえ。俺とお前と組んで ここ変えてみないか? 黒田、よく聞け。アジアのベルトだって挑戦できねえ ことないぞ。アジアのベルトだって取れるぞ。今しかねえぞ、今!」
 帰ろうとする黒田を佐々木が体を張って引き留める。大黒田コール。さらに 田中は呼びかける。
「黒田、よく考えろ。そこにいる佐々木のためにもなるんだぞ。俺とお前が組 んだら、そいつにもチャンス広がるんだぞ。どうなんや」
 リングに戻った黒田。ついに田中と握手。タッグ結成である。佐々木、偉い ぞ! 黒田もマイクで叫ぶ。
「絶対、リーグ戦は優勝するぞ!」
 最高の出来の試合でした。

これがフィニッシュついに手を結んだ2人


 とにかく面白かった。まわりの連中も「面白かったー」と幾度もつぶやいて いる。どれほどの出来だったのか、わかってもらえるだろう。ハヤブサの体調 が優れなかったのが残念だが、冬木との合体というのは、まさに大きな波。田 中vs黒田は年に数回のハードバウトであったし、FMWとバトラーツの抗争 もきわめて刺激的だった。客席の盛り上がりも申し分なく、非常に良い気持で 会場を後にすることができた。
 で、良い気持になりすぎて、朝まで酒。その後、サウナ。ダメ。


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