1999年2月18日 後楽園ホール アルシオン


 アルシオンは旗揚げ前、大向をLLPWから引き抜いた時から注目していた 団体である。引き抜きってもの自体がプロレス界独特の楽しいもので、SWS が天龍を引き 抜いたり、FMWがポーゴや松永を引き抜いたりするたびに、俺は快哉を叫ん で喜んでいたものであるが。このアルシオンによるLLPWからの大向、二上 の引き抜きにはそれ以上の意味があった。すでにアルシオンには府川由美が全 女から移籍しており、府川、大向の女子プロ2大美女がひとつの団体に集まっ てしまうという事実である。このアルシオンこそ、夢にまで見た(いや、本当 は見てないけど)美女プロレスを実現してくれるという思い。その期待は日々 現実のものとなっているようだ。吉田がこんなに魅力的ということもそれまで 気づかなかったし、浜田、藤田といったビジュアルな新人の入団で、アルシオ ンは確実に夢の美女プロレスとなりつつあるところ。ただ、アルシオンに惹か れるのは単に選手が美しいというそれだけではないはず。旗揚げ1周年を迎え たこの興行に、アルシオンは何かという答を見つけに3度目の観戦をした。


第1試合 アジャ・コング VS 門恵美子

 本日デビュー戦の門。いきなりアジャの背後を襲い、ジャーマンで奇襲をか けた。倒れたアジャにドロップキックを束ね打ちしてゆく。アジャをボディス ラムで投げようと踏ん張るが、これは持ち上がらず。アジャの強烈なラリアッ トを受けるも、2カウントで返し、スモールパッケージホールドで揺さぶって から、アジャの巨体を水車落としで投げきってみせた。最 後はアジャのダイビングボディプレスから垂直落下式ブレーンバスターで2分 少々でピン負け。しかし、善戦か?
 アルシオンでのアジャの選手としての使い道はもうこういう試合しかないよ うな気がする。若手の壁というか。アジャ本人もそれをわかっているからこそ、 他団体にフリーとして参戦し始めたのではないか。アジャがプロデュースした 世界に彼女自身の居場所がなかったことはアジャ本人が意図したことだったの だろうか。

おじさん顔ですアジャを投げきった水車落とし


第2試合 マリー・アパッチェ VS ファビー・アパッチェ VS ラ・ギャラクティカ2000(巴戦)

<1>ラ・ギャラクティカ2000−ファビー・アパッチェ
 ファビーはいつもあっという間に負けちゃう人なんで、ファビーファンとし てはしっかり集中して見なきゃいけません。で、今日もメキシカンストレッチ に巻き込まれて、軽く負けました。初登場のギャラクティカ、ほのかに漂うダ メ外人テイストが魅力。というか、この人にかつての強豪ラ・ギャラクティカ の名前を与えるのは無謀じゃないかというほどに強引です。いくら世紀末だか らって、2000って付ければいいもんでもないしょ。

<2>マリー・アパッチェ−ラ・ギャラクティカ2000
 なんか、これもあっという間。マリーがライガーボムから、みちドラでギャ ラさんをピン。

<3>マリー・アパッチェ−ファビー・アパッチェ
 会場の雰囲気なんてまるで意に介さず、常に黙々と自分たちの世界を展開す ることがこの姉妹の強み。置き去りにされた観客はすでにひとつの世界を作り 上げてしまった2人に言葉もありません。さすがプロという感じです。
 雪崩式前方回転エビ固めなんてすごい技も見せ、さらに雪崩式フランケンシ ュタイナーを仕掛けたファビーですが、マリーに踏ん張られ、雪崩式ライガー ボムに切り替えされて、ピン。まだまだ妹に負けるわけにはいきません。マリ ーが2人勝ち抜きで優勝となった。

ほのかなダメ外人テイストやはりファビーのお尻は大きすぎる
と思います
マリーのライガーボム


第3試合 二上美紀子 VS レジー・ベネット

 すごく痩せたレジーに驚いた。今まではどう言い訳しても○ブに違いなかっ たが、今ならグラマーという言葉に置き換えても、通用するくらい。ダイナマ イトバディね。なかなか美しいです。
 いきなりレジーの胴締めスリーパーにやばそうな二上。かろうじてロープに 逃れると、レジーはさらにドロップキックから信じられないトペ! 場外パワ ーボムで二上を叩きつけ、パワーは衰えていないところを証明せんとする。レ ジーがリング内でもパワーボムに行こうとするところを二上は腕ひしぎに切り 返したものの、レジーに逆片エビ固め、STFと密着戦に出られて、苦戦は否 めない。
 突進してきたレジーに二上は浴びせ蹴りを叩き込み、いまいちのミステリオ ・ラナ。レジーののど輪もホイップして切り返す。レジーはまたもスリーパー ホールド。二上はバックドロップで巨体を投げ捨てるが、レジーの掌打を受け て、ダウン。さらにラリアット、パワーボム。もはやレジーの勝利は確実かと 観客が思い始める頃、レジーのボディプレスをかわした二上がグランドコブラ に取ると、レジーがギブアップ。二上の逆転勝利となった。

痩せましたね。セクシーと呼ぶのも
ぎりぎり許せます
パワーボム。二上の表情もなんか良いです


第4試合 玉田凛映 VS 府川唯未

 骨折中の府川。奇襲をかけた玉田は府川の足を踏みつけ「お前、そんな足で 出来るのか」とマイク。府川は玉田を場外に放り出し、「足なんかなくったっ て、やってやる」と返事。
 しかし、ジャーマンから腕ひしぎで精いっぱいの反撃を見せた他はやられる ままの府川。ドラゴンスクリューの連発にレフェリーストップ。玉田に「この 試合はそんな足でやるほど安っぽいものじゃないだろ!」となじられ、府川は 「次の後楽園で玉田とやらせてください」とアピール。3分ほどの痛々しい試 合でした。

府川の数少ない攻めた場面回される一秒前ちょっと悲惨ですね。
次回を期待します


第5試合 浜田文子 VS 秋野美佳

 プロレスって半分以上は体だと思う。ゴールドバークみたいな体をしていれ ば、立っているだけでもうプロレスっていうか。WCWの、技も動きも少ない プロレス(もちろんLWOあたりを除く)を支えているのは、レスラーの体の 説得力である。体の大きな筋肉マンばかり集めてね。その意味、浜田の体はま ったく素晴らしい。これぞ女子プロレスラー。ブルーに光るコスチュームから はち切れそうな均整の取れた体。広い肩の上の筋肉の盛り上がりにも彼女のス ター性がある。不思議なオーラが会場を包む。
 ところが浜田、試合開始直後のロープ渡りは足を踏み外し、秋野のトペコン を強引によけて(よけんなよ)放ったラ・ケブラーダもこけて頭から場外に落 ちる、さんざんな立ち上がり。しまいにはトペコンの恨みとばかり、秋野にト ペ・アトミコをかわされてしまう。
 ここで踏みとどまるには、綺麗な技よりも魂の一発、なんと浜田は振りかぶ って大仁田厚ばりの頭突きを秋野に叩き込む。これに客席は驚きのどよめき。 浜田がもう一発を入れようとしたところ、秋野は脇固めに返し、ミステリオ・ ラナを披露。浜田は美しいラ・ブファドーラ、ニールキックとついに本領を発 揮、最後は飛びついてのラ・アヤキータで試合を決めた。試合内容は今ひとつ。

この見事な背中はどうだ秋野はグラウンドで押す勝ってほっとした表情


 休み時間前にJWPのヤマモが登場。場内はなぜか歓迎ムード。「ヤマモー!」 などと声をかけるよくわからない人も。福岡晶引退の企画として、ひーちゃん’ S復活をアルシオンに要請しているとか。で、ここに出てきて堂々と言っちゃ うってことは実現するんだろうな。ひーちゃん’Sとかその辺は全然わからな いのだが、個人的には、まあ、うん、そうなのかという感じ。


セミファイナル キャンディー奥津 VS 大向美智子

牽制し合う両者大向のスリーパー

 奥津のコスチュームは何だ。昔のクラブのナイトショーというか、いんちき カウガールというか、安っぽい金髪と厚化粧と相まって、「向こうのポルノ女 優」とか言いたい放題だったここら辺の人。違う方向にビジュアル入っている ぞ。一方の大向は今日も黒い下着姿。大人の魅力よね。
 安易に組み合わず、距離を取って牽制し合う両者。大向の重いキックが数発 入るが、動じない奥津。いきなり大向をパワーボムで叩きつける。それに対し、 大向は高山張りの前蹴りを長い足で放っていく。DDTからコーナーに登った 奥津をロープを蹴って墜落させた大向。
 奥津は雪崩式のブレーンバスターからムーンサルトプレスを3連発。なんと か返した大向。奥津はロコモーションジャーマンを放つも、すぐに大向も豪快 なタイガースープレックスで返す。ローリングソバットからディスティニーハ ンマー、顔面蹴りと畳み掛けると、奥津はダウン。これで余裕こいて、コーナ ーに登り、足を組んで休憩していた大向。奥津はすくっと立ち上がると、一気 にコーナーを駆け上がり、雪崩式フランケンシュタイナーへ。これ1発でピン。 悪い試合じゃなかったが、このフィニッシュはあっさりし過ぎていた。

奥津のロコモ・ジャーマン豪快な大向のタイガー


メインイベント 吉田万里子 VS 矢樹広弓 <クイーン・オブ・アルシオン・タイトルマッチ>

吉田は意外に表情があります矢樹も苦しそう

 ただのおチビさんに見えた矢樹。それが実にうまいわ。吉田もグラウンドでは相 当いける選手ながら、どんなポジションからでも一気に腕ひしぎを狙ってくる 矢樹に押され気味である。かくして試合は女子とは思えぬシリアスなグラウン ド中心の展開となった。これが面白かったのだ。月並みな表現がら、息をもつ かせぬ試合というか。ぴんと張りつめた空気が会場に満ちる。吉田の胴締めド ラゴンスリーパーで締め上げられて、苦しそうな矢樹。
 矢樹が場外の吉田にプランチャで飛ぶ。グラウンドからいきなり空中殺法が 飛び出すアルシオンのスタイルは最初は奇異に思えるが、慣れると不自然とは 感じない。矢樹の腕ひしぎががっちり入って、吉田大ピンチ! きわめて危う いところでロープにエスケープ。さらに腕ひしぎに来た矢樹を吉田が持ち上げ てしまうシーンもあり、最後はグラウンドでもつれる中、吉田が変形のスリー パーに取って、矢樹がギブアップ。矢樹は試合が終わってからもしばらく苦し そうだった。
「皆さん、あがってきてください」と吉田が呼びかけて、アルシオン全員がリ ング上に集結。矢樹だけがリング下からそれを見つめている。いきなり毒づく 吉田。
「おい大向、玉田、府川。お前らこのリングで生き残っていけるのか?」
 奥津も大向らをいじる。「いつまでもお前らみたいにちんたらしてられない んだよ。私は秋野と文子と本当のアルシオンを作る」
 いじられる立場になったナチュラルツインビーwithT(?)は大向がエキサ イト、大向・府川・玉田 VS 奥津・浜田・秋野となりそうな流れだ。アジ ャがリング外からマイクを握って、どんどん自己主張しろというようなことを 喋るが、あんたが出てくると白けるのでやめてくれ。で、さっそく門がマイク を握り、次回の後楽園で矢樹と戦いたいと主張。矢樹は大笑い。ま、格でガチ ガチだった昔の全日なんかと比べると、いいことなんでしょうね、こういうの は。

空中殺法も出たアルシのエースはやはりこの女


 なぜか客出しは俺の大嫌いな尾崎豊。考えたの、誰? 最悪のセンス。
 ま、そんなことはたいしたことじゃない。女子プロには基本的に興味のなか った私だが、今日は勢い余って本日発売の写真集(¥2000円)までビジュ アル広報の手から買ってしまったのだ。ちなみにビジュアル広報は昔は大嫌い な選手だったんだけど(土屋、前泊との一件が理由)、一人の女性として見る と、スタイルが良いね。ピチピチのジーパンが挑発的っていうか。単に、足が 太いという言い方もあるけどさ。そんなことはどうでもいいとして、うん、ア ルシオンがよくわかったよ。
 アルシオンとは箱庭なんだな。俺の大好きな箱庭の世界。閉じた空間に気持 の良いものがきちんと並べられている感じ。アルシオンの選手が他団体と比べ て強いとは思わない。けれど、そういうことはどうだっていいって言うか。他 団体の感覚で見ると時々妙に思える試合の流れも、この世界の論理では、これ で成立しているんだろう。だから、他団体とあまり絡んでほしくない。どこの 団体に行っても同じ選手が出ているような、インディー化した女子マットとは 一線を引いてほしい。「アルシオン」というブランドを大切にしてほしいよね。 何もないところから、これだけ独特なものを作り上げたんだから。
 とりあえず、次は3月の後楽園。藤田愛のデビュー戦が楽しみである。


天気読み  WRESTLE

[PR]看護師の好条件求人なら:転職活動不安ですか?なんでも相談OK!