1998年11月23日 両国国技館  バトラーツ


サウスポー
 はっきり言おう。14日の白石とこの両国大会を続けて観戦し、バトラー ツは自分の中で一番苦手な団体になった。もはやクサす言葉しか浮かんでこ ないので、バトに心酔している方は読まないのが賢明であろう。試合がどう こうというより、あくまで俺の個人的なデリカシーの問題。故に余計この溝 は埋めがたいのだが。
 内輪ウケのタッグのネーミングや捻りを入れたつもりのグッズ、そういっ たことのすべてにわたしゃバトラーツ側のプロレスファンに対する甘えと阿 りを感じてしまうのだ。宮内美穂(ブ○)もモハメド米(まずいに決まって る)もガッチリ(糖尿病で死んでしまえ)も三菱電気掃除機(すぐに壊れる ゾ)もバトラーツに関するものはすべて俺の気に障る。本人たちだけがツボ はまってるとか思ってるだけで、こっちはちっとも面白くねえんだよ。バト ラーツファンもヤダな。最初からできあがっちゃっててさ。紙プロ、読んで 喜んでるんだろね。ここまで感性的に合わないんだったら、バトラなんて見 ない方がいい。ま、今回みたいに自分の好きな選手が出なきゃ行くことはな いんで、これが最後のバトラ観戦だろう。

 両国に着いたのは開演1時間前と言うところ。人でごった返している。ダ フ屋の反応を見ても、今日は実券出ているなという感じ。3千円のチケット が売り切れているので5千円を買うために並んでいると、どっかのお兄ちゃ んが話しかけてくる。15000円の招待券を持っているんだけど買ってく れません? バトラには6千円以上出せない、そうはっきり言うと、いいよ という返事。
「変な人と一緒に見たくなかったんで、あなたなら大丈夫だと思って、失礼 ですけど話しかけたんですよ」
 それは目が高い。この先の人生、苦労することでしょう。彼に6千円払う。
 席に行って驚いた。マス席の2列目、むちゃくちゃリングに近い。しかも、 パンフとバトTシャツが付いてきたりする(いらないけど)。これで6千円 は悪くないよねえ。会場は満員。主催者発表で、入場者数8888人だそう だ。こういうセンスがもうどうしようもなく嫌い。しかし、このカードでよ くこれだけ入ったもんだと思う。この時代に、どうして? アレクが勝った から? そりゃ単純だぜ。石川勇規が大好きなんていう悪趣味な人間がそれ ほどたくさんいるとも思えない。あるいは、みんな紙プロ好きなのかな。俺 は関係ないや。
 結局、ウォリアーズが来たから両国行くってのが、人間として一番まっと うな回答であろう。俺もウォリアーズ、ハヤブサ、大矢、トンパチって揃っ たから、来たわけであるし。これで石川勇規さえ出なければ…。あ、もうい いか。(^_^;ま、個人的な好き嫌いと言うことで勘弁してください。ちなみ にチケット売ってくれた彼はプロレスなんて全然興味がなくて、会社で招待 券もらったから、来ただけという話。それでも、ウォリアーズ、SASUK E、ハヤブサのことはちゃんと知っていた。


第1試合 土方隆史、瀬野優 VS マッハ純次、望月成晃

 モチがスワンダイブ回転キックで土方を料理。特に感想なし。


第2試合 TAKAみちのく、ショー・フナキ VS 藤田穣、日高郁人

 藤田組の2人同時トペがいきなり飛び出した。ショーの顔を張って、逃げま わる藤田。さらに寝かせたショーの顔を2人同時に蹴り上げるなど、ケンカ売 っていく。
 ショー、日高にパワーボムを決める。TAKAもバックドロップ2発。合体 パワーボム。藤田組は関節技で反撃に出、合体スウィングDDTも決めた。し かし、あわてるうちに同士討ちとなり、TAKAが宇宙人プランチャで舞った 後、私も次の試合に備えてトイレ行ったりして…、帰ってきたら、ショーが ショーンキャプチャーで貫禄のフォール勝ち。試合後、突っかかっていった藤 田にTAKAもみちドラを見舞う。残念ながら、試合にはあまりインパ クトが感じられなかった。

女性人気高しKAIENTAI定番のみちドラ


第3試合 ハヤブサ VS レイ・ブカネロ

両国は人生戦以来オーソドックスに組み合うロープでフェイント

 ハヤブサ VS タルサンボーイ、見たかったのに。でも、タルサンボーイ の代わりに来たブカネロも実に仕事のできる人である。20日の文体では、F MWのルチャ担当・フライングキッド市原を倒し、そのしっかりとしたテクニ コを披露してくれた。聞いたところによると、あのピラタ・モルガンの甥だと いうじゃないか。三沢タイガーとの対戦でことごとくフォールを跳ね返してし まい、すっかり三沢を困らせて、やむなくタイガースープレックス’94まで 使う羽目にさせたモルガン。同じ海賊ファッションということもあり、このカ ード、あの三沢タイガー VS モルガンのリメイクってとこか。このカード が俺の心のメインイベントであるのは言うまでもない。
 ジミヘンの「紫の煙」で入場したモルガン。文体とテーマ曲が違うのはなぜ だ? ハヤブサと握手を交わす。頑張れよといった感じのブカネロコールが起 きると、ハヤブサは両手で「抑えて、抑えて」のポーズ。腕の取り合い、ルチャ独 特のムーヴ。ハヤブサはフロントフェースロックに固めるが、ブカネロは場外 へ。走ったハヤブサ、ブカネロが逃げたのを見て、ロープ2段目からバック転 を見せる。
 最初に飛んだのはブカネロ。ミサイルキックから場外のハヤブサにプランチ ャを見舞い、続けてトペコンへ。なかなかできる。リング内でジャックナイフ、 ダイビングボディプレス、そして市原も苦しめたリバース4の字固め。しかし、 突進したところをハヤブサのフランケンシュタイナーで捕らえられ、場外へエ スケープ。すぐさまハヤブサがケブラーダで舞った。リングに戻して、トペ・ アトミコ、ラ・ブファドーラ、フィッシャーマンバスター。
「ハヤブサ、ファイヤーバード見せてくれればいいよ」
 誰かが飛ばしたヤジにハヤブサはそっちを向いて「よし、やるぞ」 という合図。ブカネロを寝かせてコーナーに上ると、起きあがったブカネロに デッドリードライヴで投げられてしまう。ここでブカネロが放った捻りの入っ たアトミコは見事。やはり良いルチャドールである。
 ハヤブサはハイキックでブカネロを止めて、タイガードライバー。これを2 カウントで返したブカネロだったが、掌打を食らってダウン。会場の空気が高 まる中、ファイヤーバードスプラッシュで舞ったハヤブサがそのままピンフォ ールで勝利。コーナーから一回だけバック転して観客に見得を切った。
 ルチャというのは呑気な国メキシコの産物、じっくりした攻防の許されるこ の国のマットでは、非常に変則的なリズムの選手がいる。それでいて、相手を 自分のペースに引き込むのが上手だったりして、ビデオ早送りのような日本の ジュニア選手にとってルチャドール相手はしばしばやりづらい。今日のハヤブ サも多少やりづらそうな様子だったが、そこはセンスの良いハヤブサのこと、 もともとルチャをレイ・ミステリオの元で基礎から学んでいたこともあって、 きちんとまとまった日本的なルチャを作り上げてみせた。この日の大会では、 唯一バトの選手が出ない試合であり、興行の添え物の域を出ていなかったが、 私個人はこの試合終了で早くも気が抜け、あとは惰性での観戦モードとなる。

ブカネロだって飛ぶタイガードライバーフィニッシュ


第4試合 折原昌夫、小野武士 VS ビクター・クルーガー、カール・グレコ

 ベイダーのテーマ曲「Eyes of the world」が流れる。浅草キッドとともに ベイダーの覆面をかぶって入場のビクター。寒い仕掛けだねえ。
 折原はビクターにツバを吐き掛ける。その根性、たいしたもんだねえ。さら に急所を蹴り上げ、睾丸を突く。ここまでくると、ほとんど無謀というか。代 わった小野はカールの顔を蹴り上げていくが、カールもフロントスープレック スで小野を投げつける。小野、ヒールホールドでカールを苦しめる。
 折原がフットスタンプをカールの腹に落とし、さらにみちドラ一発。コーナ ーにもたれ掛かったカールに二人順番の串刺し攻撃が決まる。折原が持ち上げ たカールに小野がスワンダイブニードロップをぶち当て、さらにコブラツイス ト。カール、ピンチである。
 しかし、ビクターに代わると、リング上の流れは強引に変えられてしまう。 ビクターは小野にパンチ乱れ打ち、コーナーに詰めてのスプラッシュ。小野が ビクターに雪崩式フランケンシュタイナーを決める場面などもあったものの、 折原が捕まり、コーナーでビクターの串刺しラリアットを喰らう。二人がかり のブレインバスターでビクターを投げようとするも、逆に2人まとめて投げら れてしまうTM。最後はビクターボム。やはり強かった格闘巨人である。

こいつら、何者だいつもながら顔がすごい


第5試合 田中稔 VS 星川尚浩

 激しい試合をやっていたようですが、カメラのフィルムを変えたり、いろい ろごちゃごちゃやっていたので、ちゃんと見ていません。最後は星川が雪崩式 フロントスープレックスからノーザンライトスープレックスで勝利を収めまし た。


第6試合 大矢剛功 VS 石川勇規<準決勝戦>

 大矢のセコンドにはハヤブサ。そりゃ熱くなるよ。個人として出たトーナメ ントであっても、こうなるとFMWの名前が彼らの背後に見える。シチュエーション からして大矢の勝利はないだろうとわかっていたけれど。それでも、応援せず にはいられないんである。
 沸き上がる猪木コール。バカね。2人は力の入ったグラウンドを展開。石川 がコブラツイストを見せれば、大矢はリバースインディアンデスロック。猪木 2世決定戦か、これは。大矢の4の字固め、石川のアキレス腱固め、関節技で は石川が優勢だが、そこは今まで培った戦いの数で大矢が巻き返す。ローキッ クで石川を踊らせ、延髄斬り。バックの取り合いに勝った石川は卍固め。これ はクリアーされたが、バックドロップ。さらに延髄斬りに行くも、大矢 がよけて、逆に延髄斬り、そして卍固めだ。2人の猪木を見ているようである。
 大矢、バックドロップ! 勝機だ。もう1発のところ、石川は投げられる最 中にロープを蹴って、相手のバランスを崩す。石川のチキンウイングアームロ ックをクリアーした大矢は大攻勢。スリーパー、4の字固め、ダイビングニー、 延髄斬り。ところが、突進したところをいなされて、いんちき猪木の情念固め。 大矢、これでギブアップ。
 負けはしたものの、完全な大矢の試合。今日のベストマッチ。大変満足でした。

セコンドにハヤブサと姉崎こっちが本物伝家の宝刀、爆発!


第7試合 SASUKE VS ボブ・バックランド<準決勝戦>

 煙草を吸い、缶ビールを片手に入場のSASUKE。缶を頭に叩きつけるサ ンドマンムーヴも見せる。ところが、ボブを襲うと、いきなりトペコンヒーロ。 もちろん組み合ってしまえば、ボブが圧倒的有利。腕を決められ、顔を踏みつ けられる。
 SASUKEは猪木張りのアリキック、コブラツイスト、それでいて急所蹴 りも見せる。サスケ・ザ・グレートも介入し、レフェリーの目を引きつけ、悪 いことをして、試合の流れを引き戻すSASUKE。しかし、ボブの高角度ア トミックドロップを2連発でくらう。ならばとキーロック。これはもうアレを 期待するしかない。
 3度目でやっと成功、ボブはキーロックをかけたままのS ASUKEを高々と持ち上げ、コーナーに置いた。しかし、そこからSASU KEはミサイルキックで飛ぶ。場外に逃れたボブに向かって、サスケスペシャ ル敢行。みちドラで寝かせて、2回転ムーンサルトアトミコ。これはすごい!  ここまでがんばったSASUKEだが、不意を突いて決まったボブのチキンウ イングフェースロックでタップ。大方の予想通り、ボブが決勝戦にコマを進め たのだ。

トペコンああ、ケツが…名場面のリメイク


第8試合 池田大輔 VS 臼田勝美

 ハヤブサが池田のセコンドに付いた。試合序盤から臼田が池田をキックや裏 拳で押しまくる。ダウンを重ねる池田。面白くなってきたあたりで、俺は激し い腹痛に襲われ、トイレに駆け込むことに。便器にしゃがみ込みながら、「池 田選手の勝利!」というアナウンスを聞いた。


セミファイナル ザ・ロード・ウォリアーズ VS アレクサンダー大塚、モハメド・ヨネ

 プロレスがまだ人気あった頃。プロレス中継が土曜夕方や金曜8時に見れた あの80年代。ウォリアーズは初代タイガーマスクや長州力や超獣コンビなど と並んで、あの時代の象徴なんである。革命的だった。冬木言うところの「ビ ールタイム」のまったくないプロレス。同じ秒殺でもパンクラスの百倍は動い ているだろう。彼らのスタイルを他のレスラーがやっていたら、俺は見たくも ない。あんなタメも抑揚もないプロレス、味も素っ気もない。だけど、ウォリ アーズはやっていいんだよ。なぜなら、彼らだけがウォリアーズだから。もち ろん、大好きだ! 俺のウォリアーズ!
 アレクはくさい生歌で登場してきたけど、そんなことは俺には関係ない。 Tony Iommiのディーモニッシュなギターが会場に響く。疾走してくる2つの巨大な影。 でかい、分厚い、かっこいい! これがウォリアーズ。ホーク&アニマル!  殺れ! そんなタコハゲ、10秒で殺せ!
 リング上はセピア色の舞台。それはすべてウォリアーズのためのもの。ホー クはモハ、アレクを順番にリフトアップ。アニマルがパワースラム。アレクが ジャイア ントスイングに挑戦したものの、体重の違いで持ち上げることもならず、鉄柱 越えトペコンも、特にダメージも与えられなかった、アニマルが肩車で担 ぎ上げたアレクにホークがダイビングラリアットを打ち込み、アレクは1回転。 これで3カウント。ウォリアーズ、完勝。
 奴らはあの頃の興奮をそのまま運んできた。アメリカンバイオレンス(死語) の象徴だったザ・ロード・ウォリアーズ。当時、U時代の幕開けだったことも あって「筋肉のお化け」なんて不当なことを言われたりもした。今、振り返っ てみれば、「真剣勝負」を謳い文句に、その実体は楽チンなプロレスをやって いただけのUWFの選手よりも、遥かにウォリアーズは本物だったのである。 今も変わらぬ素晴らしいコンディション、片やとても格闘家と思えない体にな ってしまったUWFの某カリスマと比べることこそ歴史の検証か。でも、ひと つだけ文句言っておく。ファスに勝ったアレクがウォリアーズに簡単に負け て、やはりプロレスはすごい!って流れは姑息な気がするなあ。

かっこいい!ボディリフトフィニッシュ


メインイベント 石川勇規 VS ボブ・バックランド<決勝戦>

 これが辛かった。ウォリアーズの後で石川勇規だぜ。ボブは元気で、いきな りダックウォークを見せる。最初はグラウンドの攻防。石川がアキレス腱固め、 腕ひしぎで攻めれば、ボブはコブラツイスト、さらにダブルアームスープレッ クスの掛け合いへ。石川のリバースインディアンデスロック、鎌固め。組み合 った体勢から背筋で起き上がる懐かしいアレ。ボブがバックドロップからフル ネルソンに行くと、石川はスリーパーでボブの動きを止める。逆さ押さえ込み で焦らせ、バックドロップ2発。
 勇規クン、自分も持ち上げてほしかったんだろう。ボブがSASUKE戦でも うやっちゃったキーロックの攻防をもう一度繰り返す2人。お前ら、自己満足や ってんだろう? 見たくねえよ。マスコミに持ち上げられて、その気だろうけど さ。所詮あんた、ニセモノ。完全に気持が醒めて、この興行の後味すべてが悪い ものになった。そんなうちに石川がいんちき卍でボブをタップさせる。
 ウォリアーズ見れたし、ハヤブサも出たし、大矢さんもがんばったので、つま らない興行というわけではなかったが、肝心のバトラーツ勢が光っていなかった ので、評価していいものか。とりあえず、もうバトラーツはいいや。今日はバト にシンパシーを抱く数人がまっすぐ帰ったので、新宿の居酒屋ではバト貶しまく り。でも、きっと週プロは絶賛するんだろうな。

(国技館でフィルムを買おうとしたら、SA100しか売っていなかった。や むを得ずそれを買って撮影。案の定、細かいデティールが弱い。すぐに流れる し。せっかく前に座ったのに、全然良い写真が撮れなかったのだ。)  


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