1998年11月20日 横浜文化体育館  FMW


セミファイナル 大仁田厚 VS ミスター・ポーゴ

 ついにFMWでの最後の試合を迎えた大仁田厚。その相手は永遠のライバル、 ミスター・ポーゴである。大仁田 VS ポーゴはかつて大会場を 軒並みフルハウスにして、FMWに繁栄をもたらしたドル箱カードなのだ。ダ メ勝負数え歌と言われるほど、この組み合わせに凡戦が多いこともまた事実な のだが、この試合に観客はそれ相応の敬意を払ってもらいたいというのも私の 気持である。と、思うも虚しく、もはや伝説的な「夢の架け橋」での 大凡戦を越える、素晴らしいダメ試合を今日の2人はやってくれたのだ。
「Wild Thing」が流れる。会場で聞くと、いつでも涙腺が緩む。その気持は今 でも変わらない。1人の客が大仁田に掴みかかろうとして、山崎にどつかれる。 新日マットが汚されることを恐れて、ドーム前に大仁田を刺殺せんと図った新 日ファンだろうか?(^_^; 大仁田がいきなりマイク。「おい、黙ってよく聞け よ、おら。今日は荒井が許したけどな、このリングに姿なんか見せるなよ。中 牧、ポーゴ、お前ら、今度二度とこのFMWに来ようとしたら、殺すぞ!」そ りゃあんたのことだろ。(かっこばく)
 大仁田が皮ジャンを投げつけて、いきなり場外乱闘。大仁田がポーゴに机を 投げつける。机上パイルを仕掛けるが、机が揺れて、すごく危なっかしい。た まらず、テッドがさりげなく手で押さえていたりする。ところが、大仁田がポ イントを外してポーゴの頭は机に落ちず、大仁田の股に挟まれたままマットへ 真っ逆さま。これは危険すぎ!
 幸い、アクシデントにはならず。鎌で大仁田の腕を切り裂くポーゴ。矢ガモ 攻撃で我々をノスタルジーへ誘う。大仁田は手放し頭突き連打。セピア色の世界ね。 ポーゴはラリアットで大仁田をダウンさせ、イスをリング内に投げ入れる。し かし、のんびりやっていて、間が持たない。なんとかしようと機転を効かせた 中牧が乱入して松葉杖で大仁田を一撃すると、佐々木が中牧を張り飛ばす。体 格差で圧倒され、すごすご帰っていく中牧。この佐々木と中牧の絡みがこの試 合で一番面白かったポイントなのであるが。(^_^;
 ポーゴはイスへのパイルドライバー、イスへのフェースクラッシャー、そし て、定番ビッグファイヤーの準備にかかるのであるが、これがまどろっこしい。 手つきが危なっかしくて、こっちがハラハラする。中牧は帰っちゃったし、リ ングサイドにいる中山に「手伝ってやってくれ」と言いたくなるくらい。それ でも、ようやく放ったビッグファイヤーをイスで防御した大仁田はイス攻撃か ら、イス上へのフェースクラッシャー2発。松葉杖での攻撃から、さらにイス へのフェースクラッシャーであっさり3カウント。こっちが「え?」って感じ。
 ひでえ試合。予想していた通り、なかなか帰らない大仁田。「ポーゴ、中牧、 俺はな、このリング降りて新日本行くんじゃあ。お前らも小鹿のリング、ちゃ んとしてから来いや。わかったかあ! おい、今日新日本から発表があった。 1・4東京ドームに来い、皆さん。俺はお前らの胸いっぱいの気持を乗せて、 東京ドームに乗り込んでやる」これは沸いた。俺らも絶叫する。涙ぐむ佐々木。保坂、吾作、佐 々木とマットバンバン。(最近、黒田はいつも加わらない。大仁田とZERO の交わりを1人二階席から黙って見ていたりする。何で?)ここでやめてくれ れば、まだ良かったんだよ。一度離したマイクをまた握る。大仁田さん、今日 は生中継あるし、押しているんですから、その話はまた今度の機会にしましょ う! 案の定、じれてくる客。「帰れよ」というヤジが会場に飛び交う。それ を聞いた大仁田は客席に飛び込み、辻説法。もう見てられん。いろいろ思い出 はあっても、このオッサン、やはりFMWにいちゃいかんのだ。
 かくなる上は、新日で「試合内容」なんてものを越えたプロレスを俺達に見 せてくれ。人間その存在自体で語られるようなプロレス。今さら、あんたに期 待するもんがあるとしたら、それしかないんだぜ。

これも懐かしい感じビッグファイヤーをイスで防御ヤジったファンに説教する大仁田


メインイベント ハヤブサ VS 冬木弘道<FMW認定2冠選手権>

ニューコスチュームケブラーダから反撃開始

 花火が鳴って、先に入場の冬木。一方、スモークの中にオーバーコスチュー ムを着て立ち尽くすハヤブサ。残念ながら、スモークのためにどんな形のオー バーコスチュームをつけているかよくわからず。一瞬のうちにオーバーコスチ ュームを脱ぎ捨てると、新調したコスチュームが姿を現し、そのカッコ良さに シビれてしまう。銀色を基調にしながら、パンタロンには炎の赤が入って、燃 え上がるようだ。それだけで、この男を応援していて良かったと思ってしまう 俺。
 ゴングが鳴ると、両者握手。客席が沸いた。最初の5分間はグラウンドムー ヴ。ハヤブサが冬木の左腕を絞れば、冬木はハヤブサの左足を攻める。ハヤブ サが先に動き、串刺しニーアタックから、スワンダイブエルボー。しかし、ケ ブラーダに行くところをかわされ、場外で冬木のフィッシャーマンバスター、 イス攻撃を受ける。リングに戻り、冬木の大技攻勢。フィッシャーマンバスタ ー、ノーザンライトスープレックス、雪崩式リバースブレーンバスター(これ にはびっくり)、早くもパワーボムからラリアット、冬木スペシャルで極めに かかる。
 しかし、コーナーに突進した冬木をショルダースルーで場外に投げ捨てたハ ヤブサはケブラーダを見舞い、ミサイルキックから腕ひしぎを決める。完全に 入ってしまったのに、ギブアップしない冬木。(^_^;ハヤブサはすさまじい回転のニ ールキックを浴びせてから、フィッシャーマンバスター、ファイヤーバードス プラッシュ。冬木にバックを取られても、なんと急所蹴りを打ち込み、回転式 で入った三角締めで冬木の動きを止めた。
 コーナーに上ったハヤブサを捕らえ、冬木は10何年ぶりに公開というキン 肉バスター。続くラリアットを掌打でかわしたハヤブサは、ここであまりにも 美しい旋回式スワンダイブプランチャを初公開である。冬木をトップロープに固定したダイ ビングギロチンはかわされたものの、冬木のダイブをドロップキックで迎撃、 腹にぐさりと刺した。ハヤブサの投げっぱなしジャーマン、タイガードライ バー。意表を突いた冬木のサムソンクラッチにひやっとしたハヤブサだが、 ドラゴンスープレックス(冬木の体重でやや崩れる)で投げ、気を抜いた瞬 間に飛んできたのは冬木のラリアット。両者ダウン。冷えていた会場が熱くなってゆく。

エルボーアタック新技! 旋回式スワンダイブプランチャ

 冬木の雪崩式パワーボムでしばし倒れ込んだ両者。ハヤブサコールが起きる。 冬木のブレーンバスターをガウジングで切り返したハヤブサがタイガースープ レックスを決め、超技フェニックススプラッシュ! が、よけられた! ここ で勝負あったと思わず感じてしまう。冬木のラリアット。ハヤブサ の起死回生の掌打もよけられて、冬木のスタンガンからラリアット、パワーボ ム。最後もラリアット! 俺達のため息をよそに3カウントが入る。
 冬木がマイクを手に毒づく。「おーい、みんな。よーく聞けよ。俺がニュー チャンピオンの冬木弘道だ。この俺がチャンピオンになったらな、この古ぼけ た大仁田の血がたっぷりついたベルトはなくして、新しい一本のベルトを作る からな。ハヤブサ、したがってお前はリターンマッチの権利はないよ。これか らは新しいFMW(聞き取れず)・・俺のこのベルトほしい奴はみんなかかっ てこい」
 ハヤブサも言い返す。「1本にでも、何にでもするがいい。必ずお前のとこ ろまで上り詰めて、そして、お前からベルトを取り返す」
 月並みな表現ながら、素晴らしい試合だった。FMWなりの解釈のストロン グスタイルとでも言うべきものが、確実に根付いてきているようである。ハヤ ブサ自身からも敗戦の悔しさとは別に良い試合をした満足感が伝わってきた。 本当にハヤブサと冬木は手が合う相手のようだ。しかし、次回戦うときは試合 内容と共にハヤブサは結果も出さなければならない。12月から始まるトーナ メントでの再起を期待したい。一日も早い冬木越え。これが多くのFMWファ ンの願いなのだから。
 一方、冬木に関しては、かつて全日からSWSに在籍していた頃、ファンか らヤジを浴びせられるために試合をしていたような頃が印象に強い。実力を持 ちながら過小評価されてきた彼にこうした晴れ舞台が与えられたことは本当に 良いことだと思う。レスラーたるもの、どこかで報われ、救済される場が必要 なのだ。今の冬木のレスラーとしてのグレードはかつてのライバルの三沢や川 田に今もいささかも劣ってはいないということ、ここで行われたタイトル マッチが全日の三冠戦や新日のIWGP戦と等価に語られなければならないも のであったことを述べておきたいと思う。

冬木はカミカゼアッサムボムヘこの体重をタイガーで投げる


 結論を書く。今回のビッグマッチは観戦前に期待していたレベルには到 底及ばなかった。期待していたレベル―それは前回の横浜文体のもの。前回は 大変なボリュウムを盛り込んだ長時間の大会だったのにも関わらず、あまりに も面白くて時間を感じなかった。今回は見ている最中から退屈してしまい、よ うやくプロレス観戦らしい熱さを覚えたのがメインからである。試合が一概に 駄目だったとも言えない。タイトにまとまった試合が多かったと思う。にもか かわらず、会場の空気は重く、(メイン以外)心に響くものが感じられないの だ。見ているうちにお尻が痛くなり、妙に疲れる感じ。ちょうどSWSの旗揚 げ戦の時のようだ。
 観客動員は試合開始直後はアリーナ中列あたりに空席が目立ったものの、時 間の経過と供に埋まっていき、最終的にはほぼ満員。前回の入りを上回り、合 格点を出した。プロレス興行は「終わり良ければ…」、内容に関してもメイン でハヤブサと冬木というレスリングセンスの卓越した2人による名勝負を提供 し、一応の面目を保ったというところ。やはり前回の横浜文体のような興行パ ックとしての素晴らしさはFMWほどの団体にとっても、計算して作れるもの ではないようだ。個人的にハヤブサファンの筆者にとっては、ハヤブサの敗戦 でがくっとなってしまったものの、今回の興行のより本当の問題は、前回の文 体のレベルにまで品質のグレードを高められなかったということにある。プ ロレス興行は水物、その日の様々な要因によって、すべてが変わっていく。故 に、「○○が原因」などと簡単に興行を分析することができるわけもないのは 百も承知である。しかし、「プロレスとは何か?」という答を追求する姿勢を 団体側が失ってはならないのもまた当然のこと。次回の文体ではもっとすごい、 もっと面白いものが見たい。1人の消費者として、そう述べておく。
 試合終了後は谷保のカラオケボックスで朝まで鍋&ファイプロ大会。6人で 同時にやると、確かに面白いね。私が操るハヤブサはヘッドハンターAや松永 光弘に軽く負けました。

(今回、写真撮影に失敗したため、ここに掲載した写真はすべてオバケさんか らいただいたものです。なんとも美しい写真ばかり。腕と機材の違いがよくわ かりますね。)


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