1998年11月1日 南千住駅前広場  IWAジャパン


 南千住。来たことあったかな。1回だけずっと昔電車の乗り換えに使ったこ とがあるかも。早く着きすぎてあたりを歩いたのだが。これは素晴らしい。な んか時代に取り残されたような街だ。都市計画なんて言葉とは無縁のカクカク 曲がりくねった細い道。くすんだ色の商店。街自体が和んでいるじゃないか。 おっと、向こうから歩いてくるのはMAYAお姉さん。
 会場がまたなんとも。ただの原っぱだもの。あたりは真っ暗。背後には建設 中のマンションとコンビナートの黒い影。会場だけで自分のツボにはまる。○ フ屋から1000円で買った優待券を持って1500円の立ち見で入る。狭 いスペースに2列、3列のぎゅうぎゅう詰め。どうして、ここまで立ち見客を 迫害するか。スペースなんていくらでもあるのに。


第1試合 三上恭平、山下義也、木藤裕次 VS ファントム船越、西野勇喜、アジアン・クーガー

 当初、木藤、三上 VS 山下、クーガーというカードが組まれていたのだ が、クーガーが素人みたいのを2人連れてきて、こいつらと組みたいとマイク アピール。何も聞いていなかった山下が怒る。しかし、それが認められてしま い、カード変更。クーガーの連れはジーパン、Tシャツ姿なので、素人と思っ ていたのだが、後で聞いたら、ファントム船越と西野勇喜だったらしい。見た ことある選手だけど、わからなかった。3人でチーム・クーガーだそうだ。
 試合はクーガー組が圧倒。得意のギロチンドロップが冴える。最後は西野が ジャイアントバックブリーカーのような体勢で固定した木藤めがけてクーガー がロープを飛び越えてのギロチンドロップを見舞い(写真)、3カウント。な かなか、皆さん、よく動いた試合でした。
 立ち見の過酷な状態に耐えきれなくなった数人の客が2000円プラスして 中へ動いてくれる。かなり楽になった。


第2試合 元川恵美 VS 西堀幸恵

 IWAでただ一人のメジャー、元川。一方、相変わらずドインディーの西堀。 それは単なる知名度の差ではない。この試合を見て、2人の間に横たわる大き な隔たりに気づいて愕然としてしまった。
 元川が西堀よりはるかに優っているもの―それはお尻の大きさ。
 元川のお尻は大きい。元川の試合を見ると、知らず知らずのうちにお尻に目 が行ってしまう。「私はここよ」と常に自己主張しているような見事なお尻で ある。こっちに背を向けて締め技など使われると、もうお尻しか見えない。
 それに対して西堀のお尻のなんと貧弱なことか。西堀にもお尻があったのだ という事実に気づき、意識して探すようにしないと西堀のお尻はどこにあるか わからないくらいだ。まるで変態のようだが、何を言うか。「優れたスポーツ 選手は皆お尻が良い」という言葉にもあるように、元川と西堀のお尻の差はそ のまま2人の技量の差であると私は判断する。
 ま、そんなことは良いとして(かっこばく)、楽しい試合だった。西堀が元 川をキャメルクラッチに決めて、変な顔を作って見せてくれる。「ふさけんじ ゃねえー」元川もやり返す。西堀も以前見た時よりかなり洗練されてきた印象。 スウィングDDTで元川を振り回し、前に川越で見た時は2回立て続けに失敗 したコルバタも見事な浮遊感で決める。しかし、元川の余裕を崩すには至らな い。ウラカン・ラナを狙って飛びついた西堀をパワーボムで叩きつけ、そのま まジャックナイフへ。これで元川の勝ち。
 なお、この試合途中で「1000円プラスで4列目だよ」と言ってきたので、 俺も中に移動。

フラダンス変な顔見たいかー吊り天井


第3試合 トルトゥガー、新岩大樹 VS 矢口壱琅、エキサイティング吉田

 モルツを掲げて入場の矢口組。「やぐち〜」と雅央女の声がかかる。試合は まあお遊び系。カメが矢口を道連れにロープ渡りを披露。客から「バック、バ ック」と声がかかると、応えてあげるカメ。「ダッシュ、ダッシュ」本当にロ ープ上を走り出したカメ。足を踏み外し、股間をロープに打つ。お約束ね。
 矢口がラリアットから新岩を押さえ込み、矢口組の一方的な勝利。これは試 合後のマイク。
「今日はどこかの団体が新日や全日の助けを借りて、どっかで大会やってるけ ど、そんなのはインディの未来が何も見てこないんだ。インディはインディ同 士力を合わせてやっていこう。これぞインディだっちゅうの」  荒い息づかいをする矢口。「お前らインディファンがいる限り、俺は絶対に インディを潰さん!」1人でマットバンバン。「1、2、3、愛じゃー(Iジ ャ)」これは素晴らしい。これを言いたいがための大仁田のマネなのね。秀逸。

愛じゃーカメの背面アタック


 休み時間。倶知安さんやよしさんを発見して挨拶。tennさん、和田ぴょ んさんは初対面である。売店では元川とMAYAのサイン会があった。


第4試合 江川英知 VS SHINOBI

 江川の方がレスラーらしい体つきで強そうに見える。けれど、ラ・マヒスト ラルでSHINOBIが勝利。特に何もナシ。


第5試合 フレディ VS 松田慶三

 相変わらずぱっとしない松田。だんだん、三宅綾に似てきた気がするのは俺 の気のせいか? フレディはけっこう小さい。本当に外人かな? 動作はそれ っぽいが。
 何とも締まらない動きでどたどたしたプロレスを続ける2人。フレディが攻 めると下品な笑い声をあげ、逆にやられてるときは笛を吹いて檄を入れるMA YA。マネージャーが絡まなきゃ見れたもんじゃない。一般的にメジャー系フ ァンが思っているほどインディーはダメではないが、この試合はメジャー系フ ァンがインディーに持つイメージをそのまま具現化したような試合。でも、な んか懐かしいね。ドサ回りの匂い。これはこれでアリなんだろうな。
 最後は松田が飛びつき十字固めでフレディを丸め込む。結局、MAYAの笛と 笑い声しか印象にない。

 


第6試合 TAKERU、月岡明則、佐藤竜騎士 VS 折原昌夫、小野武士、マッハ純二

 トンパチマシンガンズを見に来た。奴らの試合を見ると、すっとする。今日 も街のチンピラのような毒を振りまき、入場してくる2人+1。黒い不良マス クつけてる折原、小野と単なる風邪引き用マスクのマッハ。いきなりウケる。 マッハの背中には「トンパチ」の文字が。
 トンパチマシンガンズも決して体は大きくない。しかし、大勢のインディ系 レスラーが登場した今日の大会にあって、もっともレスラーらしい存在感、プ ロレスのあるべき非日常の空気を振りまいていたのがこの2人であろう。徹底 した暴力。相手の顔を蹴りつけ、急所を蹴り上げる。IWA側の温厚そうな3 人はひとたまりもなかった。見終わった後の印象はあっという間の虐殺ショー である。
 月岡という選手、見た目に似合わず身が軽い。場外でイスに埋もれさせたマ ッハにラ・ケブラーダを見舞い、カンクーントルネードも折原相手に炸裂。惜 しむらくはヒットポイントがずれる。IWA側が合体パイルドライバーなどで 折原を追い込む場面もあったものの、トンパチの合体鉄柱急所打ちからマッハ の師譲りのランニングエルボー。トンパチ2人がかりのパワーボム、折原が肩 に担いだ佐藤に小野が上からのミサイルキックをぶち込み、最後は折原の雪崩 式パイルドライバー。もはや佐藤はぴくりとも動かなかった。完勝。
 今日も素晴らしかったTM。インディマットを片っ端から強姦してほしいも のだ。


第7試合 山田圭介、奥村茂雄 VS 平野勝美、福田雅一

 インディの宝、奥村と福田。素質は折り紙付き。華に欠けるというような声 もあるものの、大舞台を踏んでいけば、雰囲気は自然に身に付いてくるだろう。 逆に言えば、彼ら2人の問題はその余りある才能を生かす舞台に恵まれていな いということ。福田は新日でライガーと戦っているし、奥村など全日ドームに も上がっているのに、その後がない。弱小インディのあり方はそれはそれでか まわないが、このクラスの選手が光を浴びずに埋もれているのを見るのは、何 とも忍びない。
 今までこの2人が絡んだことがあるのかどうかは知らないが、意識し合って いる様子。しかし、この団体のエースは山田である。外様2人に大きな顔をさ せておけないと、いつも通りの思いっきりの良い攻撃を自分よりはるかにでか い福田に打ち込んでゆく。凄まじく重い音のチョップで福田の胸板がすぐに赤 くなる。山田、相変わらずハードヒッターだよな。
 と、俺は肯定的に山田を捉えたのだが、試合後の飲み会ではみんな山田クソ ミソだった。「俺、山田の悪口ならいくらでも思いつきますよ」Kさんが言う。 俺はIジャは一見さんみたいなもの。彼らはIジャ常連。俺ってそんなプロレ ス見る目ないのか。いや、これはおそらく俺は一見さんの気楽さで「がんばっ てんじゃない」、彼らは常連として「お前がしっかりしなくてどうする」、そ ういう立場の差による問題と思いたい。そういうことにしといて。
 ま、福田と山田ではものが違うという感じはしたかな、やはり。ちなみに圧 倒的にダメなのは平野。動きが一人着いていっていない。けれど、勝ったのも その平野。ラリアットから山田をピンフォール。今日はカブキが抜けて初めて の大会。言ってみれば、新生Iジャの旗揚げ戦に相当するものなのだが、旗揚 げ戦でエースが負けるというのはもはや一種の宿命みたいなもんか? 新日旗 揚げにおける猪木に始まって、ありとあらゆるエースが旗揚げ戦で負け続けて いる。衝撃をファンに与えてダッシュしようというのはわかるが、山田じゃ負 けても何もショックがないぞ(かっこばく)。ファンにショックを与えるのな ら、山田は目の前の強豪、福田や奥村に勝ってみればいい。ファンの気持を引 けるようなドインディーなりの好カードを組んでみてほしい。今のインディ、 吹けば飛ぶようなクソ団体(伊藤豪風)が互いのプライドだけは一人前に守ろ うとする。傷つくのが怖い奴が言葉だけで一生懸命を訴え続けている。それじ ゃ着いてこないよ、客は。FMWを旗揚げした頃の大仁田に見習うものがある とすれば、泥にまみれるってことなんじゃないか? 山田よ、どんどん負けろ。 中途半端に勝つくらいなら。勝ち星なんてみんな他人にくれてやれ。目指すは 100連敗だ。いまさら誰も君の強さになど期待してはいない。要はもっとも っと裸になれってことだ。弱小には弱小の、ストリッパーにはストリッパーの 魂がある。それを晒してナンボのプロレスだろう。

インディの宝と言うべき2人ツープラトン


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