1998年10月26日 千葉公園体育館  冬木軍(後半戦)



セミファイナル 黒田哲広 VS 邪道

 タックル合戦は黒田の勝ち。黒田、いきなりラリアット。場外に逃れた邪道を 追って、場外戦になる。ステージ上で長距離走ラリアット(ニーアタック?)。
 リングに戻ると、地味な腕の取り合いの攻防。黒田がアームホイップを見せ ると、邪道はモンキーフリップ。黒田、ショルダーアームブリーカー2発。ま た場外へもつれた際に、双方ともイスを手に取って、リングの中でイスチャン バラ。邪道が勝つと、黒田はラリアットで突っ込んだが、邪道にイスでカバー される。黒田の痛めた腕を鉄柱に持っていき、脇固め、ジャンピングアームブ リーカーなどで、徹底的に腕狙いの邪道。さらにコブラクラッチ。これは渋い! ブレインバスターからチキンウイングフェースロック。ラリアットプロレスに 走っている黒田にも、邪道のこの辺の奥深さを見習ってもらいたいところ。
 黒田はラリアットを放っておいて、突進してきた邪道にレッグシザーズ。顔 面をコーナーマットに打ち付けた邪道にジャーマン、かわず落とし、コーナー 上での争いにも勝って、トップロープへのスタンガン。しかし、不用意に突っ 込んだところを邪道のカウンターのラリアットが待っていた。邪道も勢い余っ て場外へ飛び出し、フォールのタイミングが遅れた。1、2…。3カウントぎ りぎりで跳ね返した黒田。
 さらにラリアットを狙う邪道に黒田は飛びつき十字固め。さらにラリアット。 しかし、倒れなかった邪道は逆にラリアット。黒田も倒れない。さらにラリア ットを1回ずつ受け合うラリアット合戦。最後は互いにラリアットを避け合っ てから、黒田が回転ラリアットに行ったところ、これも避けた邪道がラリアッ ト。3カウントが入る。
 惜しかった、と言いたいところだが、全然惜しくない。レスラーとしての総 合力で黒田はまだまだ邪道の足下にも及ばないと言うのが今日見た感想である。 この剛直なプロレスが黒田の魅力であることはわかっているが、邪道のような 何でもできるバックグラウンドがあって、あえてラリアット中心に試合を組み 立てているのと、これしかできないのとではやはり違うのだ。
 試合内容も今一つ重かった。ラリアットの連発で大味になってしまったのも 否めないところ。同じラリアットプロレスであっても、6月の後楽園で見せた 田中との名勝負には遠く及ばない。深読みするなら、黒田と田中の間には共通 の意識があったが、今回の黒田と邪道では通じるものがなかったと言うことか。 今日の2人から本当の熱さは伝わってこなかった。また次回。今回ももちろん 及第点ではあるし、次にもっと熱くなれればいい。

コブラクラッチ苦戦する黒田フィニッシュ(ヒロケンさん撮影)


メインイベント ハヤブサ、池田大輔 VS 冬木弘道、金村ゆきひろ
                           <FMW認定ブラスナックルタッグ選手権>

チャンピオンチーム負傷した肩を狙う前哨戦

 ハヤブサのファイヤーバードスプラッシュで肋骨にヒビの入った冬木。2日 前の川越もそこを攻められまくったようで、完治には程遠い。今日もTシャツ の下に分厚く包帯を巻いているのだろう。ハヤブサ組にとっては絶好のチャン ス。もっとも池田も肩に大きなテーピングをし、ハヤブサも膝を痛めたようで、 万全ではない。金村のバンテージもまだ取れず、けが人だらけのタイトルマッ チである。
 金村と池田でスタート。金村は池田をロープに詰めて、ビンタ。倒した池田 の背中にサッカーボールキックを入れてゆく。どすっと重い音。対する池田は キック乱打。金村、早くもダウン。しかし、金村は池田の左腕を脇固めにとり、 腕にギロチンを落とす。替わった冬木も池田の腕攻めへ。池田はキックで窮地 を脱し、ハヤブサにつなぐ。
 ロープワークからハヤブサは冬木の頭上を飛び越えようとするが、脇腹の痛 い冬木が屈み切れず、接触して転倒。そこを狙い、冬木は奇声を上げて、頭突 きを打ち込んでゆく。金村が出て、自分の体を浴びせるアバラッシュのような ブレインバスター。そして、スリーパーホールド。ハヤブサは相手のアゴに自 分の頭を押しつけて尻餅をつくチンクラッシャーで脱出し、池田にタッチ。
 冬木組のダブルタックルが池田を吹っ飛ばす。池田は冬木の痛いところにキ ック、ハヤブサも冬木の腹めがけてドロップキック。これで冬木が早くも戦闘 不能状態に。ハヤブサ組、孤立した金村にサンドイッチニールキックを見舞お うとするが、屈んで避けられる。金村、ハヤブサを場外へ放り出し、机上に設 置。そして、コーナーから飛ばんとするが、池田に阻止され、その間に息を吹 き返したハヤブサに逆に場外の机に寝かされる。ハヤブサの場外へのスワンダ イブエルボードロップ! 2人の体重で机がへし折れた。池田は折れた板で金 村に人間モグラ叩き。金村、流血だ。しかし、ロンリーバトルを強いられなが ら、試合のテンションを下げずにがんばっている金村。このやられっぷりの良 さ、金村の良さがよく出ていると思う。また、孤立した相手に手を緩めなかっ たハヤブサと池田もさすが。池田、パイルドライバーを放ち、頭部へのハイキ ック。
 ハヤブサに替わり、金村にスワンダイブ式旋回エルボー。体が綺麗に平行に 回る。三角締めを金村に決めると、池田も空いている金村の足にアキレス腱固 め。ハヤブサ、久々のムーンサルトフォール。ダイビングニー。池田はキック で金村を倒しておいて、バックドロップ。ハヤブサがツームストンパイルドラ イバー。もはや金村、轟沈間近である。

サンドイッチニールキックをよけられた瞬間ハヤブサの雄叫びパワーボム。最後の力を振り絞り・・

 が、そこでノータッチで入ってきた冬木、ハヤブサのバックを取って、投げ っ放しジャーマン。ハヤブサの体が頭からマットに突き刺さって1回転。冬木 が押さえた池田の足にイスを置いて、そこへ金村がダイブ。金村、突進してき たハヤブサを肩に抱え上げて、回転式ブロックバスター。冬木がハヤブサに狙 いを絞って、頭突き乱打、ブレインバスター、パワーボム、金村もバク山。冬 木のラリアット、パワーボム、またラリアット。仕上げは冬木スペシャルでが っちり固め、ハヤブサ、絶体絶命のピンチだ。しかし、池田がイスでカット。 コーナーから飛んだ金村もハヤブサはドロップキックで迎撃! 小さな会場が 大歓声である。金村は投げっ放しジャーマンをしかけるも、ハヤブサは空中で 回転して着地。逆に投げっ放しドラゴンスープレックス2連発。決めはファル コンアロー!
 完全に決まったタイミングだったが、冬木がフォールをカット。ならばと、 ハヤブサは金村にフィッシャーマンバスター、ファイヤーバードスプラッシュ、 これにも場内は割れんばかりの騒ぎ。しかし、これもカットされて、冬木の裏 拳と金村の水面蹴りが合体したトータルイリュミネーションで逆転。さらにス ーパーパワーボム。しかし、池田が間に合い、場外へ転げ落ちた冬木にハヤブ サが矢のような対角線トペコンを突き刺す。その間に池田が大ちゃんボンバー …。1発目は避けられたが、すかさずもう1発を入れて、金村を3カウントフ ォール。ベルト奪取だ!
 このカードが組まれるのは3回目であり、俺はそのすべてを見たわけだが、 これは文句なしのベストマッチ。ディレクTVで放映された9・8後楽園のメ インをはるかに上回っていた。だからこそのマットバンバンな人たちの熱さ。 泣いている女性が数人。タッグマッチでこれほど良い試合を見たのは久しぶり である。
 池田がマイクアピール。「俺がもっとFMWを面白くしてやるぜー!」
 ハヤブサが締める。「後楽園の6人タッグも勝つ。冬木、横浜文体までにケ ガを治してこい。(客に)今日は本当にありがとうございました」
 これってFMWじゃなくて、冬木軍だったはずだが。(^_^;ま、いいんだよ な。同じことだから。
 コーナー四方からトンボを斬り、場外へ飛び降りるハヤブサ。突然、がくっ となって、かがみ込んでしまう。膝、大丈夫か? 感動したけど、ちょっと心 配であった。

ハヤブサ、危うし!これはエグい! 金村の頭が…一仕事やった後


 メインだけで満足の興行。やはりこの体育館は愛しい場所である。千葉なん て近いから、地方興行っていう感覚はなかったのだが、来てみたら内容的には 充分に地方の匂いがあった。薄暗い照明とピュアな客。東北で見た温かい興行 そのままのもの。公園に猿の檻がなくなったことだけが唯一残念だ。(^_^;真っ 暗な公園を突っ切って、ヒロケンさん、潮崎_春樹さんと帰る。夜はけっこう 冷える。千葉駅の線路際に並ぶ屋台の列。
 近頃、プロレスから気持が引いていたのだけど、こういう試合を見てしまう と、また行きたくなる。ここ数年はこの繰り返し。もうプロレスはいいやと思 いながら、見に行くと、すごい試合がある。で、また引き込まれてしまう。先 日、WARファンのHIROさんと飲んだ時に、HIROさんが「もうそろそ ろプロレスファンは引退。一番最後がFMWでいいかな」と仰られていたが、 自分もそんな気持。まだもうちょっと、って言いながら別れを引き延ばしてい る。できれば一番最後に見る興行が今日のように温かくて、夢に富んだもので あってほしいと思う。
 家に着いたのは0時前。ぼけっとしてから、泥のように眠る。


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