1998年10月24日 後楽園ホール  全日本プロレス


 今日のカードはなあ・・と思いながら、FMW川越大会へ出かけようとする と、今日はメールをチェックしていなかったことを思い出す。パソコンを 起こしてみると、おっ、来ているわ。シンさんからのメール。今日の全日後楽 園、チケットあるから行かないかとのこと。行く! 久しぶりに全日の現在を チェックしたかったし。FMWの地方興行ってチケット高いしね。
 行き先を切り替えて家を出ようとすると、今度は電話が鳴った。ハヤブサフ ァンの某主婦からである。これから川越へ出かけるとのこと。俺が今日は全日 に行くと告げると、彼女は大きな声で「なんであなたが全日に行くのよ!」。 それって、そんなに変か?
 来てみて、驚いた。超満員札止め。この何気ないカードで、後楽園のチケッ トが完売してしまうのだ。人気あるんだねえ。入る前にチャンピオンでチケッ トチェックしたけど、入る団体入らない団体がいよいよはっきりしてきたよう である。新日には大きく水を開けられているというのはよく聞くところだけど、 こうやって現場を見ると、全日王国まだまだ健在だ。後楽園ホールに入ると、 あの頃と変わりない全日特有の温かい空気が中に満ちていた。


第1試合 丸藤正道 VS 橋誠

 いかにも良さそうな丸藤。巻き投げも綺麗。美しいドロップキックを橋に見 舞い、ロープ上にすくっと立って、トンボを切ってみせる。こりゃ将来の大器。 タッパもそこそこ、三沢タイガーやハヤブサのような空中殺法ファイターに育 つことでしょう。
 若手らしい地味な攻防の中にも天性の華を織り込みつつ試合は進む。丸藤の 相手の背中から回転式で入る腕ひしぎ逆十字、さらには固めたまま回るローリ ング腕ひしぎ逆十字(ローリングキーロックのような感じ)にはびっくり。最 後は丸藤がスクールボーイ、橋がスモールパッケージを見せたところで、時間 切れ引き分け。

 


第2試合 森嶋猛 VS ジャイアント・キマラ

 森嶋はでかい。キマラの足を取って攻め、脇固め、腕折り、キマラのタック ルをかわしてのスクールボーイなどで果敢に攻める。キマラ、ジャンピングネ ックブリーカーで反撃。
 森嶋はショルダーアタック、ラリアットを繰り出すも、キマラは倒れない。 ならばと、ミサイルキック。しかし、キマラのトップロープへのスタンガンで 動きを止められ、ギロチンドロップを喰らう。スモールパッケージなど繰り出 し、抵抗した森嶋だが、最後はキマラのドロップキック、サマーソルトドロッ プ、フライングボディプレスでピン負け。ま、普通の試合。


第3試合 小川良成 VS 浅子覚

 浅子と比べると、小川が大きく見える。三沢のパートナーとしてブレイク中 の小川、タッパがそこそこあるだけに線の細さがもったいない。若い頃の腕の 故障のために大きくなれなかったそうだが、横があれば、もっと早く上に来て いただろう。
 浅子が鉄柱を使った足折りやインディアンデスロックで小川の足を攻める。 むかついた小川、鉄柱に相手の足を挟んだ急所攻撃。浅子は軽業師。コルバタ、 ラ・マヒストラル、ミサイルキック、フランケンシュタイナー、水面蹴りと全 日らしからぬ華やかな技で攻めたものの、ニークラッシャーに行くところを延 髄斬りで切り替えされ、小川がDDT、バックドロップ、タイガードライバー で浅子をピン。あっさり終わりました。


第4試合 ジャイアント馬場、ラッシャー木村、百田光男 VS 淵正信、永源遙、菊地毅

 とにかく、これだけはダメ。全日の常連さん達の暖かさに頼って成り立って いる、演芸としてほとんど最低のもの。最近出たター山の本に「インディーは 沸点の低い客に頼っている」とかなんとか書かれていたが、それは馬場の試合 の話ではないか? 俺がまだ全日を見ていた5年くらい前の頃から面白くなか ったこれを延々と続けてこられたのはいったい何なんだ? 「俺はわかってい るよ」という常連客に甘やかされてきた、ただその結果であるとしか思えない のだが。マスコミも全日という人気の高い容器に入っていれば、何であっても 誉める。逆にインディーはとりあえず批判しておく。こういう業界の体質はな んとかならんかな? もちろん、インディーを必要以上に持ち上げても、いか んのだろうけど。
 この試合を見て面白いと感じる人がいてもかまわないが、俺にとっては金を 払う価値のないものだったということです、はい。

 


第5試合 田上明、井上雅央 VS スタン・ハンセン、マウナケア・モスマン

 びっくりするほど腹の出た井上。もちろん動きもとろい。田上も特にインパ クトはなく、最後はダブルタックルで田上が場外に出された隙に、モスマンが 井上をハワイアンクラッシャーで押さえ込んでいた。ラリアット、見れんの〜 ? 関係ないが、ハンセンってアザラシに似ている。

田上のおっさんくさい背中あうっ、あうっ


第6試合 秋山準、志賀健太郎、金丸義信 VS 川田利明、本田多聞、泉田純

 最初は泉田と金丸。逃げ回って組み合わない金丸。お客さんの笑いが大きく なる。第6試合でまだお笑いやるわけね。
 川田が出てくると、途端に雰囲気が変わる(嫌な上司のようなやつだ)。川 田が志賀をしごく。起きあがりこぼしチョップを20発くらい打ち 込み、志賀の胸板は真っ赤。最後の方は立てなくなったのを無理に引きずり起 こして、叩きつけていった。泉田も志賀にボディスラム8連発。さらに川田が スリーパーで締め上げ、サッカーボールキックを叩き込んでゆく。こいつがや られていると、良い気分。しかし、死にそうな志賀、ドラゴンスクリューで川 田を振り回し、やっと秋山にタッチ。
 秋山、ダイビングエルボー、ラリアットを川田へ。替わった本田が秋山にノ ーザンライトスープレックス。志賀、金丸が敵2人に同時フライングボディア タックを決めてから、コーナーに詰めた本田めがけて3人で串刺し3連打。さらに志 賀、金丸で同時フライングボディプレス。志賀が本田にスウィングDDTを見 舞おうとするも、1回振り払われて失敗に終わった後、2度目のトライで成功。 本田から替わった泉田がパワースラムを披露。しかし、川田、秋山が出てこな いと、途端に試合がぬるくなるのはなんとかならないか?
 泉田がラリアット連発で金丸からピン。泉田は口の中を切ったよう。むかつ いたみたいで、試合後も金丸の背中にストンピングを入れていた。スポーツラ イクで素晴らしい。


セミファイナル 高山善廣、垣原賢人、ゲーリー・オブライト
               VS ジョニー・エース、ウルフ・ホークフィールド、ジョニー・スミス

 いきなり垣原がスミスを蹴りまくる。外人は蹴りが嫌いということだが、は たして外人3人がかりで袋叩きにされる。ウルフがキャメルクラッチに垣原を 捕らえると、高山がキックでカット。場外に引きずり出された垣原をエースが ブレインバスターで叩きつけるが、垣原はSTOで窮地から脱出した。オブラ イトにタッチ。
 オブライト、ウルフのショルダーアタックを喰らうも、パワースラムでウル フを振り回し、高山と2人がかりのブレインバスター。高山はローキック2発 からバックドロップ。ウルフ、ショルダーアタックで反撃。スミスへ。スミス、 高山にバックドロップ。高山は豪快なドロップキックを替わって出てきたエー スに見舞ってゆく。
 恐ろしく動きの悪いオブライト、エースに腕ひしぎ逆十字を決める。腕が伸 びきっているのに、平気そうなエース。すごい。お前がVTに出ろよ(皮肉)。 オブライトはなおも投げ捨てジャーマン、パワーボムを決めるが、エースクラッシャー で切り替えされ、エースはかたちの崩れたコブラクラッチスープレックス、ネ ックチャンスリーと畳みかけて、ピン。オブライト、もはや、ただのダメ外人 みたい。


メインイベント 小橋健太、新崎人生 VS 三沢光晴、大森隆男

 後で知ったのだが、次の武道館で三沢が小橋の三冠王座に挑戦するとのこと。 つまり、この試合は前哨戦なのだ。(全然知らないで見ていた。)個人的には、 人生がFMWに上がらなくなってからしばらくたつので、リアルタイムの人生 を確認したかった。三沢体制になってから、急に格を上げた人生。堂々のメイ ンイベントである。
 小橋と三沢でスタート。三沢のエルボーと小橋の袈裟切りチョップが激しく 交差する。小橋が超滞空ブレインバスターで三沢を投げつけ、フェースロック で締め上げる。小橋から人生へタッチ。人生は三沢にリバーススプラッシュ、 ドロップキック。相変わらず技が美しい。全日の中でも、人生の持つ華、メリ ハリある動きは一歩抜きん出ているようだ。替わって出てきた大森をヘッドシ ザーズで動きを止め、定番拝み渡り。リング半周。
 再び、小橋と三沢の局面。三沢はカウンターのフライングボディアタック、 セントーン、スピンキック。使う技は俺がコンスタントに見ていた4、5年前 と特に変わっていない。人生と大森の局面。人生が大森にフロントスープ レックス、ストラングルホールド。先程からやられっ放しの大森は小橋にニー ルキックを見舞うが、きちんと当たっていない。
 三沢が小橋にフライングラリアット、コーナー上からのダイビングネックブ リーカー、小橋はDDTで返す。人生が三沢に拝みダイビングショルダーアタ ック、拝みパワーボム、曼陀羅捻り。三沢はいきなりタイガードライバーを軽 々と決めるが、人生は月面で決めるような無重力状態の「輪廻」。
 大森が出てくると、ヤジがすさまじい。後で倶知安さんから聞いたところに よると、菊地が目に余る客を注意にしに行ったようだ。で、肝心の大森は小橋 をドロップキック、ジャーマン、ミサイルキック、ダイビングニードロップと 攻めたものの、小橋のラリアットでKOされてしまう。まったく動けず、横た わる大森。やむなく三沢が大森を自軍コーナーへ引きずって、ようやくタッチ をした。大森、エプロンでも寝たままである。
 三沢が小橋をタイガースープレックス85で投げようとすると、人生がミサ イルキックでカット。すかさず小橋、逆に三沢をタイガースープレックス85 で投げる。小橋、パワーボムはヘッドシザーズで返されたものの、ラリアット 2発。よたよたとカットに入った大森は人生に蹴散らされ、その間に小橋は三 沢をアルゼンチンバクブリーカーの体制で持ち上げ、何をするかと思えば、そ のまま三沢を頭から叩きつけた。これが新技RDK(リバース・デスバレー・ コバシ)! このあまりにも危険な一発で三沢はダウン。ゆっくり3カウント が入る。
 今日は小橋が勝ったものの、パートナーの差が出たという感じ。ともかく、 メインは面白かったと思う。人生が充分に生きていたし、三沢と小橋も迫力十 分、大森も聞いていた噂通りだった。三沢体制になったことで、ようやく他団 体の選手ものびのび活躍できるリングになってきたのだろう。2冠王である間 はムリだろうが、いずれもう1度ハヤブサにも全日に登場してもらいたいとこ ろだし、黒田やアレク、田中稔あたりのインディーのスターが、このリングの 選手達と戦うところが見たい。


 試合後は庄屋で倶知安さん、YASUさん、ヒロケンさんと酒。英語で速報 を打つ倶知安さん。そこまでやるかって感じ。すごい。
 久しぶりに全日を見ての、全体的な感想。

・「一点の曇りもない明るさ」という感じ。現在のFMWのミョーな明るさに も辟易しているダーク好みの俺には今一つ口に合わない。しかしながら、いつ でも客のボルテージを上げられる1流の選手を揃えているのはさすが。
・思ったほどハードヒットではない。当たってないパンチやドロップキックを 他団体と同じように見かけた。やはり天龍だけは別物だったのだろう。
・選手の力量の差が大きく開いている。小橋、三沢、川田、秋山はすごいが、 ダメな選手はこれでもか!てくらいダメ。大森は非道レベル。オブライトはど こかのダメ外人ランキングに投票したくなった。ジョニー・エースも相当なも ん。
・ファンが優しすぎでは? 昔は全日ファンももう少し辛辣なところがあったように思う。
・マンネリを事としていた全日も急激に変わろうとしてるのは肌で感じられた。

 倶知安さんの言葉。「全日っていうのはうんとダメな時もないけど、うんと良い時もないんですよ」
 この安定感が魅力なんだろう。今のところ、まだ馬場ワールドだね。これが 三沢色が強くなっていくに連れて、どう変わっていくか。全日はこれからも新 日の後を追いながら、マット界のもう一つの極として動いていくのだろう。
 所沢方面に電話すると、いきなり驚かれてしまう。「なんであんたがそこに いるんだ」そんな。みんな、俺が全日を見てはいけないと言うのか。川越ではハヤブサが冬木 をフォールしたことを知る。雁之助も来たらしい。俺のいないときに限って。 たいして酔っぱらわずに帰る。

(今日の画像はすべてヒロケンさんからいただいたものです。ありがとうございます。)


HOME