1998年10月6日 後楽園ホール  FMW


 客の入りはいまいち。北側に空きあり。もっとも、これで入っていないと言 えるFMWは今のプロレス界の状況からすれば、マシな方なのでは。確かに、 一部の苦しい団体の後楽園大会など見てしまうとね。
 パンフ、新しくなった。欲しいけど、ガマン。


第1試合 保坂秀樹 VS モハメド・ヨネ<This is HOSAKA>

 最初からバチバチムード。額をつき合わし、ガンをつけ合う両者。試合はモ ハの蹴りから入る。まったくガードできない保坂。相手の腋に頭を差し込んで のノーザンライトスープレックスで反撃するも、気迫や戦う姿勢においてモハ の方がレスラーとしてなっているようだ。保坂、さらにDDTなどを見せるも、 相手がキャリアで劣る格下のモハならば、大技を並べるより、もっと原始的な 部分で相手をぶちのめすような気迫を見たいもの。もしくはグラウンドの攻防 で圧倒するとかね。我々がそのレスラーに強さを感じるのは、派手な技より、 本来の地力が覗く一瞬である。
 それでも、モハのエグい攻めで火がついたか、やや感情的になったように寝 たままもみ合う両者。モハのキックに押されていた保坂だが、相手の蹴り足を 取ってドラゴンスクリュー。これで逆転。鉄柱を使っての足殺しやローキック、 アキレス腱固め、膝十字固めでモハの機動力を殺す。ラリアットやバックドロ ップでの反撃を受けたものの、カウンターでのフランケンシュタイナー。後は みちドラ、ジャーマンからビルディングボム2発。保坂の試合にしては、まあ まあってとこだろう。

ヨネのキックフィニッシュ


第2試合 吾作 VS スーパー・レザー

 「吾作」になったのね。FMW育ちの若手達がみなキャラクターを確立し、 人気レスラーになった今、逆のベクトルでキャラクターを確立してしまった吾 作。とは言うものの、彼が少しずつ進歩してきたのは皆が認めるところ。なん とか無難に試合を流せるようになったし、以前よりは技に迫力が出てきたよう だ。本人の努力次第で保坂あたりに追いつくのも近い。
 一方のレザーは何を思ったか以前のマスクで登場。久しぶりにチェーンソー も抱え、逆に新鮮か。地方などでは捨てがたいキャラクターかもね。実際にお 客さん、喜んでいるし。かき回しモードとストロングモードで使い分けていけ ばいいんではないかな。
 吾作、場外でレザーにイスで生き埋めにされて、その上にスプラッシュを喰 らう。さらにお客さんの傘でめった打ち。吾作もリング上で傘を奪い、反撃。 サンドカッターも見舞うが、後が続かない。少し流血しながら、レザーの裏投 げ、雪崩式ブレインバスター、パワーボムを受けても2カウントで返して拍手 をもらい、スモールパッケージで最後の抵抗も見せた。しかし、レザーのスプ ラッシュバスターから危険なツームストンパイルドライバーでピンフォール負 け。
 悪くない試合だったんでは。しかし、同期の田中、黒田の活躍を考えれば、 到底満足などできるものではない。決して期待せずに見守りたいと思う。

今日は人皮マスクで裏投げ?


第3試合 南条隼人 VS フライングキッド市原

 濃い顔の2人が夢の対決だ。しかし、南条の腹はいったい何なんだ。妊娠3 か月。
 最近グラウンドを大切にしているFMWの選手。エンターテイメントである と同時にレスリングなんだよということか。しばしの間、グラウンド。はっき り言って、こういう展開こそ、レスラーの善し悪しがはっきりわかってしまう。 この2人、まあまあってとこか。南条の首を固め、足へのドロップキックから アキレス腱固め、足四の字固めに取る市原。グラウンドでは市原のペースだ。
 立ち技の展開になり、南条もフェースクラッシャーを見せる。市原は場外で のコルバタ、得意のケブラーダ。ムーンサルトで追い込むが、南条もバックド ロップで反撃。コーナーから飛んだ市原をドロップキックで迎撃し、みちドラ で落とす。市原の2回目のムーンサルトを剣山で受けると、ハリケーンドライ バーで一気に勝負を決めた。勝ったのは南条だが、良かったのは市原。という より、南条、ダメすぎ。以前から好きな選手ではなかったが、新日に行って以 前の良かった部分まで影を潜めてしまった感じ。体が小さくて、動きも重くて は。精進を要す。


第4試合 池田大輔、リッキー・フジ VS 外道、非道

「お前、ストーカーみたいにつきまとうんじゃねえよ。俺のこと好きなんだろ」
 伊藤豪がセコンドの中山に叫ぶ。ま、試合開始。(^_^;
 所沢方面からロックンロールコール。すると、外道がマイクを取って「いつ もロックンロール言ってんじゃねえよ。時代遅れなんだよ」ますます騒ぐ所沢 方面。声でけえな、○もよしさん。
 リッキーと外道の手慣れたアメリカンプロレスでスタート。代わった非道は 腰を落とした池田に蹴りの嵐。池田が外道にニールキックを打ち込み、やり返 したリッキーと池田、よくわからない不思議なウォークを見せる。そして、話 題沸騰中の池田のキーロック。
 中盤から池田が捕まる展開に。場外で非道にイスで叩かれ、外道のパワース ラム、2人がかりのショルダーアタック、外道のキャメルクラッチ、DDT、 非道のパイルドライバー、ロッキーパンチ、ニールキック。16文キックで逃 れた池田はリッキーへスイッチ。ディスカスパンチ、DDT、カミカゼ。池田 は外道、非道にキック乱発である。キックをよけた非道のパンチから、外道の イス攻撃が池田の頭に命中。外道が飛ぶ合体式フライングボディアタック、非 道のムーンサルトプレス、外道のスーパーフライ。危ないところでぎりぎりリ ッキーがカットに入る。
 池田の足を引っ張った伊藤豪に怒った中山、場外で大乱闘。外道にイスへ叩 きつけられる。しかし、めげない中山、リング内でパウダーを投げようとして いた伊藤豪の足を引っぱり、池田の窮地を救う。その間に池田、急所蹴りから 大ちゃんボンバーで非道をピンフォール。中山は素晴らしい動きを見せ、伊藤 豪にストンピング、急所蹴り、スウィングDDT。伊藤豪をKOしてみせた。
 中山がマイクで叫ぶ。「女をなめんじゃねえぞ、このチビスケが」
 フェニックスが引き上げた後、なんと、ここで薫子さん、登場。ノビた伊藤 豪に煙草をくわえさせる。倒れたまま煙を吐く伊藤豪、安っぽいドラマの1シ ーンのようである。薫子さんに肩を借り、帰っていった伊藤豪だった。

合体攻撃が大ちゃんに決まる。今日も中山VS伊藤豪薫子さん


第5試合 大矢剛功 VS 冬木弘道

 冬木が握手のために手を差し出すと、チョキで返す大矢。決して笑わない大 矢さんのキャラだからこそ取れる笑いです。
 前半はグラウンドで大矢優勢である。ま、これも全日VS新日って感じ。ね ちっこいことさせたら、やはり新日の方が強いのかしら。足を取り、ヘッドロ ックで固める大矢@無我。チキンウイングアームロック、脇固め。対抗できな い冬木は頭突きを打ち込み、首4の字で固める。これも大矢に足首をねじられ、 絶叫。大矢が冬木の腕を取りながらのヘッドロック。さらに右腕の固いところ を冬木の頬にぐりぐり押しつけるいやらしい攻めだ。
 相手の両足を取り、急所攻撃を伺う冬木。来いとばかりに大矢が挑発すると、 まあ、やめておいた。手四つから冬木はブリッジ。さっき、やられたことにむ かついていたようで、冬木が大矢の頬にぐりぐりやり返す。今度は大矢が冬木 の両足を取る。で、さすが紳士の大矢さん、冬木の急所にがつんとストンピン グ。素晴らしい。
 大矢、さらにもう一回急所蹴り。猪木ばりのニードロップ、逆片エビ固め、 弓矢固め。大矢の急所を叩いてから、冬木はラリアットを入れる。しかし、大 矢は延髄切りからエグいバックドロップ、卍固め、さらに延髄切りを連発。( 大矢さんの延髄斬りは精度がいまいちである。改善されたし。)続いてのバッ クドロップは冬木が空中で切り返す。ラリアットを打ち込み、大矢がバックド ロップに来たところを懐かしいサムソンクラッチに丸め込むと、あっけなく3 カウント。ベテラン同士の安心して見られる良い試合でした。

大矢さんの背中は美しい弓矢固め。ちょっと重過ぎです。


 中休み。空きのあった会場も、この頃には、ほとんど満席である。はっきり 言って、後ろの客、腹立つ。試合中ずっと関係ないような話をしているんだか ら。プロレス会場は映画館ではないから、一言も話すなとは言わない。しかし、 FMWに来て、K1や高田VSヒクソンについて話し込むことはないだろう。 たまにリング上のことを話すかと思えば、「ハヤブサも三沢みたいになればい いのにな」とか、他の団体行けよって感じ。全日新日ばかり見ているようなフ ァンがたまにインディーの会場に来て、知ったかぶりしているのって何なんだ って思う。
 ロビーをぶらつくと、塩崎_春樹さんや佐藤さん、魔鳥さんなど知った顔に ばったり。しばらく立ち話。会場に知り合いが増えるのは良いのか悪いのか。 (もちろん、これらの方々を悪いと言っているのではない。)ま、とりあえず FMWの会場で変なことはできない。「純情J太郎」という紙を振り回したり とかね。いや、失礼。>某


セミファイナル 黒田哲広 VS 金村ゆきひろ

チャンバラコーナー上の攻防

 バグパイプの音色から「come out and play」。なにがスコットランドなの か、よくわからん。ブリブラ時代と踊りは変わらない。一方の黒田。女性ファ ン、増える一方である。
 金村のマイク。「黒田、なにが雁ちゃんと組みたいや。俺達と組んだら、汚 れる? とっくに汚れとんのや」
 いつのまにか大きく進化した指パッチンポーズを決める金村。すると、黒田 もそっくりそのまま返す。金村、客席に向かってのふくれっ面がかわいい。
 素早いグラウンドムーヴを見せる両者。意外なことに金村がやや優勢か。場 外戦になり、黒田、場外で走ってのニーパット。リングに戻ると、イスチャン バラに打ち勝った金村、黒田の頭をパッコーン! 底が抜けたが、黒田はすぐ に立ち上がり、ラリアットに行かんとすると、金村はバックを取って投げっぱ なしジャーマン。さらにもう1発。なかなかペースを取れない黒田である。今 までFMWのトップを張ってきた金村の実力、下から上がってきたばかりの黒 田あたりには侮りがたいものがあるということか。机で殴られ、北側のステー ジ上から机の上に叩き落とされる。折れた板を擦りつけられ、殴られて黒田は 大流血。金村が黒田の額をロープに擦りつけると、黄色いロープが赤い色に染 まる。
 雁之助クラッチで金村を丸め込んだ黒田。雁之助へのアピールだろうが、3 カウントを取るには至らず、またも机の破片で殴られ、ラリアットも脇固めに 封じられてしまう。黒田、机の破片で殴り返し、危険な角度のジャーマン。コ ーナー上での攻防では金村の首をロープに叩きつけるスタナーに取って返す黒 田。会場の温度がいよいよ上がってゆく。金村はバク山。黒田はロープを固定 する金具へのスタナー。黒田は金村の体が1回転するラリアットを打ち込み、 ラ・マヒストラルに焦らされたものの、もう1回渾身のラリアット。そのまま 黒田がピンフォール勝ち。
 ここで鐘の音が会場内に響く。大・大雁之助コール発生。念仏から雁之助の テーマ「鬼神道」。袈裟に身を包んだ雁之助の登場だ! 会場はもう大騒ぎで ある。リングに上がり、黒田と向かい合う。黒田が手を差し出すと、拝んで返 礼の雁之助。この意味はいったい? 謎を残して、雁之助は消えた。
 黒田のアピール。「雁之助、俺はお前を信じる。必ずお前と組むぞ」ともか く、なかなかの試合であった。

やってきた雁之助黒田と向かい合い…


メインイベント ハヤブサ VS 中川浩二<FMW認定ニ冠統一選手権試合>

今日は白だった地味な立ち上がり

 このところ急激に評価を上げている中川。フォークを使い始めた頃は意味不 明の感もあったが、単なる悪党ではなく、その抜群のインサイドワークを見せ られては、文句のつけようがない。有明では凶器も使わず、モハメド・ヨネ を完封してみせるなど、強いの一言である。ハヤブサにしてみれば、スタジオ マッチでの復讐というテーマがあるわけで、さらには横浜での冬木との2冠戦 も内定している以上、今日はきっとハヤブサが勝つだろうという読みもファン の間にはあった。となれば、これを単なる消化試合に終わらないものにするこ とが2人の今日の観客に対する誠意ではないか。言ってみれば、試合結果だけ で語れないプロレスを客に披露すること。結論を言うと、2人は見事それだけ のものを作り上げてみせた。
 試合開始。オーソドックスにがっちり組み合った両者。ロープワークからハ ヤブサのソバット。いきなり対角線トペ・コンヒーロ。これが危ない。ハ ヤブサ、モロにフロアに腰を打ったよう。腰を気にしながらも、ハヤブサはス ワンダイブのギロチンからフロントヘッドロック、チンロック、三角締め、フ ェイスロックなどで静かに攻めていく。それに対しやられるままの中川。怪し すぎ。前半5分は一方的なハヤブサのペースだった。
 コーナーから飛んだハヤブサを膝で受けて、中川は反撃開始。まずはパンチ、 キックで腰攻め。場外でも鉄柱にハヤブサの腰を持っていく。これも腰狙いの サイドスープレックス、バックブリーカー、そして、まだ忘れていなかったシ ャープシューター。ちょっと嬉しいね。さらには腰へのイス。本当に中川はう まいなあと思う。膝にドロップキックを入れてから、キャメルクラッチ。今ま での腰攻めが効いているだろう。
 ハヤブサは中川の突進をよけ、キックを見舞ってから、ラ・ケブラーダ。ト ペ・アトミコ、ラ・ブファドーラ、フィッシャーマンバスター、タイガードラ イバー、ファイヤーバードスプラッシュ、そしてファルコンアローの必殺フル コース。これで終わっちゃうの?という感じだったが、フォールを返した中川。 ハヤブサのファルコンアローが返されるのはいつ以来だろうか。これ1発で仕 留めんと大切に使ってきた技であり、それほど必殺技として定着していたのだ。 返されて困ったハヤブサ、コーナーに上る。すると、むくっと顔を上げた中川。 眼でハヤブサを牽制しているのだ。ハヤブサは飛ばないで、そのままコーナー を降りた。後のわかってない客は「タイミングが悪い」などとほざいていたが、 この間合いの絶妙さがわからない奴は○日でも見てろ。ハヤブサは中途半端に みちドラに行く。ここで類似の技を使うのはあまり感心しない。もう一度中川 をコーナー付近に設置し、久しぶりのシューティングスタープレス! が、読 まれて、かわされた…。
 外道によってフォークが投げ入れられる。中川にとってはここから本番って とこ。ハヤブサの急所攻撃でフォークを落とした中川。フォークを奪い合うが、 結局、手にした中川がハヤブサの右腕を狙ってフォーク攻撃。上腕がみるみる 血に染まる。「凶器使うな。つまらねえよ」と後のボケ。バカか。最初から凶 器振り回すよその誰かと中川の違いがわからねえのか。中川、さらに右腕攻め。 腕にパンチを集中する。ハヤブサのフランケンもパワーボムに切り替えし、急 所への頭突きからジャックナイフ。3カウントぎりぎり。ハヤブサ、危うし!
 ハヤブサ、ショルダーアームブリーカーに入った中川の隙をつき、ドラゴン スープレックスを見舞う。バックを取り返した中川も同じ技で返す。これが形 が綺麗! さらにエクスプロイダー2発。凶器を振り回したかと思えば、美し いスープレックスも使う。この中川、恐るべきインサイドワークも含め、レス リングセンスの塊。ここで極めようとキャメルクラッチだ。ファンのハヤブサ コールに怒って、手を離す中川。
 中川がタイガースープレックスを狙う。と、ハヤブサの急所蹴り。ハヤブサ は強引なタイガードライバー。中川も急所蹴りから、ラリアット。フォークを 振りかざす中川にハヤブサはキック、さらに張り手。中川はフォークを落とす。 フォークを取れよ、とハヤブサ。ファンの心に響く雄叫びから、さらに張り手。 心を折られた中川。もう敵じゃない。ファルコンアロー。3カウントが入る。
 リング内に現れた冬木にハヤブサのマイク。「冬木、 約束通りベルトは守 った。次はお前だ。必ずベルトは守る。俺は絶対お前には負けない」
 冬木がビールをかけてハヤブサを祝福した。
 素晴らしい試合だった。個人的には4月の雁之助戦、5月の田中戦に匹敵す る内容と言っていい。田中戦のようなストイックなタフマッチとは趣が異なる ものの、前半の通常のハヤブサの試合に、後半の正体を現した中川のデスマッ チ、さらに凶器の奥に潜むそのレスリングの実力、ついにはその中川をすべて 受け止めて、愛をもって潰して見せたハヤブサ。ハヤブサの2冠戦にハズレな し。こんなプロフェッショナルな試合を見せてくれるなら、ファンは会場に足 を運ばなければならないはずである。

キャメルクラッチ夢の翼


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