1998年8月16日 青森県民体育館  みちのくプロレス


 旅館での朝食を済ませると、秋田の農村をMOTORHEADを聴きながら走る。金属 を削るようなガリガリのメタル。風景に合わない。通行人すらほとんど眼にし ないようなのどかな場所なのだ。
「なんだったらここに一番合ってるだろ? CARPENTERSか?」
「いやー、ハマりすぎててちょっと。」
 高速に入り、秋田から青森へ。これがえらく遠い。途中のパーキングエリア になんと温泉付きのところを発見した。K☆INGと小田原君とパーキングエ リアで一風呂。半露天風呂(壁が一部だけ開いてる)もあって、ステキ。旅の 醍醐味ね。俺はわりとカラスの行水なんで、1人先に出て、UCCコーヒーを 飲みながら、奴らが出るのを待っていた。ビールの自販機もある。高速の途中 とはいえ、温泉出た後のこの誘惑を振り切るのはみんな大変だろうな。
 厭世仲間の某氏の言った言葉。「大仁田の良いところを継いだのがハヤブサ。 イカレたところを継いだのがサスケ」すごく的を得た表現だね。サスケがやば いというのはよく話に聞く。かつては一枚板だったみちのくからKAIENT AI、TAKA、獅龍らが離反。サスケと彼らの溝はもう埋まんないんだろう。 今日もリング上で「マリア様が…」とか言い出したら、最初で最後のみちのく 観戦になってしまいそうだ。(^_^;
 道に迷いながら体育館に到着。土足禁止。やはりイスがない。ヒロケンさん、 発見。彼は場所を取っておいてくれた。最前列である。4人で膝を折り畳んで、 青いシートの上に固まって座る。


第1試合 瀬野 優 VS 藤田 穣

 白熱した試合。しかし、第1試合から大技連発の2.9カウントプロレスは どうか? こういうこと書くと、長州チックかな。両者とも素晴らしい素質を 持った選手だということは知っているけど、体つきからしても、まだこういう プロレスをするには早いと思われるのだが。
 1進1退の攻防。最後はパワーボムからダイビングヘッドバットで瀬野がプ ロ初勝利。客も大いに湧いた。


第2試合 タイガーマスク、獅龍2号 VS ヨネ原人、ザ・コンビクト

 今回のコンビクトは小さいな。などと思っていると、「コンビクト♪」とい う声。昨日どこかで聞いたような。あれ、誰だろう。(^_^)ま、それはいいと して、実に生き生きしてます。ザ・コンビクト。みちプロの中では普通の体格 になってしまうのだ。
 タイガーマスクはさすがって感じ。小気味よくソバットやサマーソルトキッ クを繰り出し、コーナー最上段から場外へプランチャ。獅龍2号も少々技のミ スも目立ったが、できるルチャドールのようで、ヨネ相手に見せた場外へのト ペ・アトミコは圧巻。コンビクトはどこかで見たようなケブラーダを放つも、 最後はタイガーにタイガー・スープレックスを決められて、フォール負けを喫 した。負けはしたけれど、退場時、お客さんにバナナをもらってヨネは喜んで ました。

ヨネとコンビクト獅龍とタイガー


第3試合 新崎人生 VS ザ・マジックマン

 最近マジックマンを眼にすること多し。14日の秋田ではハヤブサ戦もあっ たそうで、見たかったなー。ヒロケンさんの報告によると、その時は大声で驚 かせてから丸め込んでハヤブサの勝ちだと。
 マジックマンが手品の最中に出てきた人生のハチマキを踏みにじっていると、 テーマ曲もなく、怒って出てきた人生。あわててマジックマンはハチマキを締 め、手を合わせて、許しを乞うたようだ。
 ようやく試合が始まった途端、人生が拝み渡りへいく時に腕を逆に取られ、 そのままギブアップ。お客さん、爆笑。

人生のハチマキこれがフィニッシュ


第4試合 スペル・デルフィン、G・浜田 VS 愚乱・浪花、薬師寺正人

 みちのくファンにはアンチ・デルフィンも多い。やることやらないで、ちゃ らけているということか。デルフィンが出るたび、ブーイングが飛ぶ。
 腕をとって、じっくりデルフィンを攻める浪花。場外ではデルフィンが女性 に抱きつくと、浪花も負けじと女性にしがみつく。ちゃんと綺麗どころを選ん でいるんだね。
 見事な飛びつきスウィングDDTや場外へのコルバタで活躍した薬師寺だが、 最後は元祖スウィングDDTからデルクラでピン負け。

マスカラスバージョン師弟
美人に抱きつく浪花まだやってんのか


セミファイナル ハヤブサ VS 星川尚浩

 ハヤブサの入場が告げられると、入場口に長蛇の列ができる。ヒロケンさん から聞いたところ、13日、14日のみちプロの会場でもほとんど一番人気だったそうだ。 この試合は星川の7番勝負のひとつ。対戦相手はハヤブサを始め、ライガー、 人生、石川雄規など、蒼々たるメンバーである。GAORAでしか見たことの なかった星川であるが、彼にかけられている期待の大きさがわかるではないか。
 両者の格の違いは元より、体格でも身長も横幅もハヤブサの方が大きい。自 分より下の相手と戦う時にこそレスラーとしてのセンスが問われるもの。まし て、その相手がストロングスタイルではみちプロで随一と評判の星川とあって は、ビッグマッチ以外ではハヤブサのシングルマッチは滅多に見られないこと も相まって、まさにプレミアムカード。星川をみちプロの1人の若手としか認識しな いのなら、この試合がセミファイナルに組まれた意味がわからないだろう。
 握手を求めたハヤブサを星川は無視。コンタクトすると、モードはグラウン ドへ。ハヤブサのグラウンドがじっくり見られるのは嬉しい。バトラーツで鍛 えられた星川だけにすばしっこくハヤブサの首や腕をとっていくが、ハヤブサ も星川の腕を固め、動きを殺してゆく。星川はハヤブサをコーナーに逆さ吊り にして、顔面にドロップキック。さらに足攻めに出た星川。しかし、 中途半端でいるうちに、ハヤブサから痛烈なしっぺ返しを喰らう。膝へのドロ ップキックで星川は1回転。後はハヤブサの一方的なペース。膝十字固めに始 まる各種デスロックで絞られ、星川の顔が苦痛に歪む。足を取られたまま延髄 斬りを見舞おうとするが、ひょいとよけられる。ならばと、ごつんと重い音の 響く頭突きで脱出しようとする。その激しさに驚いたが、ハヤブサは涼しい顔。 星川に思い切りビンタを喰らわせる。なおもドラゴンスクリューや足へのギロ チンドロップで星川の足を破壊寸前のところ。
 再度の延髄斬りで足攻め地獄から脱出の星川。ハヤブサの胸板に重いキック を打ち込み、トペ。コーナーから飛んだハヤブサをドロップキックで撃墜し、 流星キック、ジャーマンスープレックス、クロスアームス ープレックスと大攻勢をかける。キックが主武器なようだが、それが単調にな った瞬間を見透かされて、逆にハヤブサに頭部へのキックをもらう。スローモ ーションのように前のめりに倒れる星川。ハヤブサ の美しいケブラーダが宙を舞い、ロープ越えのギロチンドロップ、魔神風車固 め。これで終わりか。ハヤブサがコーナーを上がり、ファイヤーバードスプラ ッシュ! と、3カウントぎりぎり、自力でこれを返した星川に場内は爆発。 ハヤブサの驚いた表情が今日のハイライトである。さすが、おいしいぞ、ハヤ ブサ。
 その後も、投げっぱなしドラゴンスープレックス、タイガードライバー、フ ィッシャーマンバスターと続いたハヤブサの重い技をすべて2カウントで返す 星川。大盛り上がりとなった試合だが、最後は「落とすぞ」と見得を切ってか らのハヤブサのファルコン アローでピン。ハヤブサは星川を自力で立ち上がらせてから、握手。星川は土 下座。ハヤブサも深々とお辞儀。ハヤブサが星川を引き出した上で完勝した試 合。しかし、それに応えて見せた星川も実に見事である。
 両者のレスラー生活の歴史の中に残る一戦となったに違いない。そして、観 客にとっても。対TNRとは違うハヤブサを見ることができた青森のお客さん は本当に幸せである。
 そして、暖かいお客さんの前で、ハヤブサやライガーといった他団体のトッ プスターと戦わせてもらえる星川はサスケとみちプロのフロントの方々、そし て対戦相手に感謝しなければならないであろう。それはサスケやハヤブサやT AKAといったインディー出身の大スター達がかつて辿った道程を星川もまた 歩き、自身がレスラーとして全国区のファンに認知されることによってかたち になるものだ。精進せよ、星川!

足攻めにいったが…やりかえされて
果敢に攻めるこの高さからタイガードライバー


メインイベント

ザ・グレート・サスケサスケ・ザ・グレート
 VS 
サ・グレート・サスケ・ティガマスクド・タイガー

 サスケ・ザ・グレートとマスクド・タイガーの登場の後、流れた 「come out and play」。サスケのマスクをかぶって伊藤豪が登場。3人でブリ ブラ・ダンスを踊る。そして、サスケのマスクを踏みにじり、マイク。
「田舎もん、お前らなまってて、何言ってるかわからねえんだ」
 そうだー!とばかりに拍手する俺達。ここで拍手しちゃまずいですよと小田 原君に止められる。場内はかなりマジなヒートなのだ。
 サスケ組登場。サスケ・ティガはサスケそっくりだが、顔のところが黄色く、 帯が緑色。体格がいいようだが、いったい誰なんだ? このいんちきサスケは …。いきなり大乱闘。今日は場外乱闘が多い。そのたび、荷物を持って逃げま どう我ら。けっこう忙しいぞ。サスケとグレートは2階席まで行っちゃう。
 前半はラフでグレート組が押す。伊藤豪もリング内を闊歩。タイガーが押さ えつけたティガの股間めがけてグレートのギロチン。ティガは膝十字固めなど で応戦。関節技が得意な選手のようだ。サスケがトペコン。グレートのケブラ ーダはサスケにかわされ、逆にサスケのケブラーダを食らう。
 途中からハヤブサが出てきてリング下から試合を見つめている。伊藤豪がテ ィガを羽交い締めにするが、避けられて、タイガーと同士討ち。ティガ、すか さず伊藤豪に一撃。お客さん大喜び。タイガーに延髄斬りのティガ。「まるで 猪木じゃないか!」と思わずヤジ飛ばす。最後もしっかり卍固めで決めた。
 セミとともに期待していた試合だったが、けっこう淡泊な味。悪くはなかっ たんだけど。ヒール側が試合の中で伊藤豪のマイク以上の毒を出せなかったと いうか。最後はサスケが一度控え室に戻ってしまったハヤブサをリング内に招 く。ハヤブサ、みちプロで見ると実に体がでかい。近くの女性が思わず「かっ こいい」と叫ぶ。2人のマイクでこの興行を締めた。今日のお客さんはほとん どみんな満足したことだろう。

みちのくでもブリブラダンス2階で落としっこ


 明日は仕事。躊躇せずに高速に入る。せっかく来たんだし、観光したかった。
 こんなに車を運転したのはもちろん初めてのこと。高速に入ったのが18時 で、パーキングエリアで飯食ったり休んだりしながら、国立に着いたのが朝の 5時。最後の方は疲労のあまり、幻覚が見えそうな気がした。自分が運転して いるというリアリティーが脳に伝わってこなくて、他人の運転を端で見ている よう。かなり怖かった。
 小田原君を家に送って、小金井の自宅に戻り、即爆睡。で、8時に起きて出 勤。この疲労は当分取れないぞ。しばらく厭世やめ。


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