1998年7月8日 北沢タウンホール 革真浪士団
第1試合 松田慶三 VS 木藤裕二
この狭い会場で見る臨場感は素晴らしい。さぞかし、良い写真が撮れるな。
あれ、カメラが作動しない。そう言えば、この前の冬木軍で、電池を使い果た
したんだっけ。
というわけで、会場から出て近くのコンビニへ電池を買いに行く。帰ってき
たら、試合は終わっていた。松田の方が余裕たっぷりだったので、たぶん松田
が勝ったんだと思う。松田ってそこそこキャリア積んでるんだよね。彼のよう
なインディの生え抜きレスラーがベテランになってきた時代なんだよなあ。F
MWの旗揚げから9年。IWAジャパンもすでに5年目か。インディペンデン
トは確実にプロレスの一翼を担っていると言える。つーか、俺にとっては、昔
からあるメジャーとやらの方が「プロレス界に存在しない」んだけど。(単に、
視界にない。)
第2試合 中野千陽呂 VS 藤原和子
Jd’の藤原を見るのは初めてだが、なかなか魅力的。中野がジャンピング ニーを連発すると、藤原はドロップキック連発。踵で突き放すように蹴り飛ば すとこ、なかなか良い感じ。さらに2回ほどショルダースルーを見せる。しか し、中野の蹴り足を取ったところ、もう一方の足で顔面を蹴られ、膝十字固め を決められて苦しむ。さらにニードロップを膝に落とされ、最後は2度目の膝 十字固めでタップ。対戦相手の少ない革真女子が発展するためには他団体との 交流が不可欠。これからもJd`との絡みに期待したいところ。
第3試合 アジアン・クーガー VS 加藤茂郎
加藤は名前も知らなかった。ひげ面の細っちい奴。目についたのは両者の飛
び技。まずはクーガーのトペ。加藤もトペコンを披露。さらにクーガーはエプ
ロンを使ったギロチン・ドロップの後、コーナーポストからの捻りを加えたト
ペコンを見舞う。この狭い会場では、そのエクストリームがモロに伝わってく
る。
しかし、インディーの空中殺法の名手と言われるクーガー、ちょっとどうか
なあ? 空中殺法を使う選手は多いが、質が問われるところ。飛んでる時の姿
勢と滞空時間である。ウルティモ・ドラゴン、ハヤブサ、サスケ、パロミノと
いったあたり、空中で静止して見えるような瞬間がある。体のバネの問題なん
だろうけど。クーガーの場合、飛行姿勢は悪くないけど、まだちょっと「落ち
ている」感じ。体はすごく小さいんだから、飛んでも見栄えがいまいちだし、
他に何かないと苦しいかな。小さくても、ドラゴンキッドくらいできたら、何
も言えないんだが。
最後はクーガーのジャーマン。場内はなかなか沸いていた。
第4試合 市来貴代子 VS ジャガー横田
今日のカードは全然知らなかったのだが、なんとジャガー様が登場。引退を
発表したばかりだけに、よけい有り難みあり。「お願いします」と頭を下げる
も、びびる様子全くなしの市来、先に突っかけた。場外でジャガーを客席にス
ルーするも、逆に投げられて、腰から客席に突っ込む。さらにジャガーは何も
敷いていない床の上へ市来をボディスラム。さすがジャガーさん、厳しい。リ
ング内に戻し、伝家の宝刀ヒップアタック。叩きつけるようなダブルアームス
ープレックス。市来も器用にロープ上に立っての反転ボディアタックなどで反
撃。しかし、ジャガーの懐、恐ろしく深くて、これで勝てるとは到底思えない。
ブリッジですくっと立ってしまうジャガー。
コブラツイストやスリーパー、胴締め、逆エビ固めでいたぶるも、決して屈
しない市来。遠慮
なくジャガーの顔を張ってゆく。その気の強さ、ハンパじゃなくすごい。フィ
ッシャーマンズスープレックスの掛け合いにも打ち勝ち、とびついてのウラカ
ン・ラナも決める。良い攻撃は出るのだが、どうも単発になってしまう。それ
でもジャガーの大技攻勢を耐えに耐える姿、実に見事なり。この根性、メジャ
ーな舞台にもう一度上げてやりたいと思う。得意のダイビング延髄ニーもジャ
ガーを慌てさせるにはいたらず。アルゼンチンバックブリーカー、卍固めにも
耐え、雪崩式バックドロップもぎりぎり返したが、フィッシャーマンバスター
からそのまま固められてケリ。
うなだれる市来に握手を求めるジャガー。しかし、なんと応じない市来。あ
の恐ろしいジャガー相手になんて奴だろうか。しかし、ジャガーに「がんばれ」
と言われ、頭を撫でられると、後はもうただ涙で握手。ジャガーさんは本当に
すばらしい。明らかな格下とやる時も全力投球。試合中に歌を歌う某女房レス
ラーとは違う。もうすぐ引退なんて、本当にもったいない。
文句なく、今日のベストバウト。泣きながら引き上げる市来にじーんとなっ
てしまった。
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| かっこいいよね | ジャガーの涼しげな表情 |
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| 軽々と決めちゃう | フィニッシュ前の一発 |
第5試合 鶴見五郎 VS 矢口壱郎
試合前から矢口の入場口に立って、うれしそうな女の子一人。うさぎの耳を
つけてる。とりあえず便宜的に矢口女と呼ぶ。矢口、試合前にマイクアピール。
「おい、鶴見。今日はお前を叩きつぶしてなあ、そのアフロヘアを金髪にして
やるよ。そうしたらお前、矢口五郎と名乗れ」
「矢口様!」と叫ぶ矢口女(ウサギの耳つき)の声の中、行われたベタベタな
試合。エキサイティング吉田(あまりに小さいので、素人かと思った。)がし
ばしば介入するも、レフェリーは上手に見逃してくれる。すると、ムキになっ
てヤジを飛ばす客、数名。
「矢口、汚ねえぞ」
「レフェリー、ちゃんと見ろ」
なんだ、お前ら? な、プロレスやろ、プロレス!(アポロ風に)
鶴見が矢口の腕を捻りあげる。矢口女、さぞかし心配そうな様子かと思いき
や、相変わらずにこにこ。そんなんでいいのか! 別にいいのか。吉田が羽交
い締めにした鶴見めがけて矢口がラリアットを放ったところ、鶴見に逃げられ
て、吉田と同士討ち。鶴見、狂乱のあげく、レフェリー暴行。反則負け。試合
後も収まらぬ鶴見。矢口の手を捻りあげ、木の板を垂直にあてがい、上からと
んとんと叩く。なんか知らんけど、これは痛いらしい。矢口、引き上げる時に
ヤジを飛ばしていた客に詰め寄ってゆく。ふんぞり返った客。お前、何様だ。
(矢口)「鶴見、俺はこんなんで負けたとは思ってねえぞ」
(吉田)「矢口さん、勝ったんですよ」
(鶴見)「矢口、負けたと思うとはお前も弱気になったな」
(矢口)「SPWFの次は国際プロレスとやるぞ。お前のとこの怪奇派を仲間
に入れてやる」
(鶴見)「デビルもサタンも今日どこかで見ていて、お前の弱点を見つけたぞ」
「今日は愛はなしだ」と言って引き上げてゆく矢口。矢口女も席を立ち、そそ
くさと帰っていった。
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| これが矢口女(修正済) | やりたいほうだい |
第6試合
| ターザン後藤 | 折原昌夫 | |
| 奥村茂雄 | VS | 新山勝利 |
| 死神 | 江川英知 |
「この爬虫類」後藤の言葉に折原がツバをかける。この試合から迫力は段違
い。プロのレスラー達の凄みがびしびし伝わってくる。ひときわ細い江川、全
日出場で貫禄をつけた奥村を見事なジャーマンスープレックスで叩きつけ、生
きの良さを見せる。評判の良さは知っていたし、すでに何度か見ているが、今
回は格別に良い。しかし、体の大きな奥村は江川の技をすべて受け止めた上で
叩きつぶしに行く。東京ドームの後で北沢タウンホールとは、奥村、なかなか
深い奴である。アナーキーの匂いを全身から漂わせた折原、踊るようなス
テップを踏んで、パワーに優る奥村を力まかせに蹴りつけ、エグく攻めてゆく。
でかい死神にはフットスタンプに雪崩式フランケンシュタイナー。いつもぎり
ぎりの攻め。しかし、その折原とて、後藤相手には何もできないのだ。後藤は
むちゃくちゃ強い。ラリアットで折原が吹き飛ぶ様子などぞくぞくする破壊の
イメージに溢れているようだ。新山には頭突きを連発し、吠える。そして、
意味もなく嬉しそうに笑う。死神も大きさで折原を圧倒。モンゴリアンチョッ
プやネックハンギングなど古典的な技が実に力強い。なかなかすごいキャラク
ターレスラーだ。体も大きいし、不気味な笑顔もすごい。新崎人生に匹敵でき
る選手になれる可能性を秘めている。
後藤へ折原のダイビングボディプレス、新山のダイビングヘッドバットが連
続で決まる場面などもあったが、途中から若い江川が捕まった。後藤のパワー
ボムで叩きつけられ、さらにはビール瓶で殴られて、大流血である。そこへ死
神のクロー。助けに入った新山にも空いている手でクロー。さらに助けに入っ
た折原にはキック。ゴングを持ってこい、と奥村に命令する後藤。しかし、奥
村はそれに従わない。代わりに死神がゴングをリング内に置き、そこへ後藤が
江川をフェースバスターで叩きつけようとすると、奥村がゴングを蹴ってよそ
へどかせてしまう。ここから雰囲気がおかしくなって、仲間割れの始まり。さ
らに同士討ちなどもあって、後藤と死神はやってられないとばかりに引き上げ
てしまう。残された奥村。もちろん1人ではやられるばかりである。
いったん戻ってきた後藤と死神、何をするかと思えば、窮地の奥村をさらに
ゴングで殴りつける。この攻撃で奥村、大流血。場内は「後藤、何やってんだ」
という怒号、罵声の嵐。1VS3のまま進んでゆく試合。新山のニールキック、
ネックチャンスリードロップ、さらに3人連続のコーナー串刺し攻撃。折原は
まったく容赦しない。スパイダージャーマンで叩きつけ、リバーススプラッシ
ュ。もうやられるのを待つだけ。最後は裏投げで新山が取った。
こんな状況でも、問答無用で奥村の髪の毛を切ろうとする折原。その非情さ、
素晴らしい。奥村は自分で髪の毛にバリカンを入れる。ところが全然切れない。
折原が中野にハサミを持ってこさせ、奥村は改めて髪にハサミを入れる。そし
て、マイク。「必ず俺が後藤を倒します」荒れかえっていた場内だが、拍手で
奥村を後押し。しかし、荒んだ雰囲気は容易に変わらない。奥村が帰った後も
野次が飛び交う。「もう来ねえぞ」「後藤、革真ってなんだ」「後藤が出てく
るまで帰らねえぞ」後藤とすればヒールを貫いたというところだろうが、これ
は革真の興行のはず。試合放棄はなんともいただけない。今日集まってくれた
数少ないお客さんも次は来るかどうかわからないよね、これでは。
後藤の考えがよくわからなくなった。俺的には今日はジャガーが市来と真っ
正面から戦ってくれた姿を見ただけで満足できたのだが。
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| 東プロの因縁 | 死神、やるじゃん | 潰しにいく後藤 |