1998年7月4日 名古屋市体育館  冬木軍プロモーション


 朝の5時過ぎに武蔵小金井駅北口に集結した奴ら。俺の他にヒロケンさん、 大逆仏契(兄ィ)さん、薬殺士ドリ杉さん。2台の車で移動を始め、国分寺駅 でともよしさんを拾う。中央高速では事故があったようで、一部通行止め。よ けい時間がかかって、名古屋には昼過ぎに着いた。むちゃくちゃ暑いぞ、名古 屋。
 ヒロケンさんの車とはぐれて、さんざん迷った後で再会。ヒロケンさんの馴 染みの店で味噌煮込みうどんを食べる。おいしい。ご飯にかけても、いける。 親子うどんなので、卵も鶏肉も入っていて、とても豪勢である。
「名古屋の人って、味噌煮込みうどんばかり食べてるのかなー?」
「そんなことないでしょ。天むすも食べるよ」
「きしめんも時々おやつ代わりに食べるし」
「ういろうも食べる。なんだ。けっこう、いろいろ食べてんじゃん」
 会場の近くに車を駐め、兄ィとドリ杉さんと割引券探しへ。熱田のあたりっ て不思議だ。普通の商店街の中、文房具屋とかの隣に突然風俗店があったり。 ランジェリーを履いたプラスチック製のお尻が壁から出っ張っているのがなか なか強烈である。暑い中を歩き回った結果、人数分の割引券をやっと手に入れ る。2500円の席が1000円。がんばった甲斐があったと思いながら、ク ーラーの効いた車の中で寝てやがった2名を叩き起こし、会場へ向かう。
 会場近くで一人の女性が話しかけてくる。チケットがたくさん余ったので買 ってほしいとのこと。見ると、なんと1万円の6列目の席だ。ヒロケンさんが すでに会場前にいる兄ィに連絡を取り、○フ屋の販売価格を確認。1万円の席 がたったの5千円。すげー、ダンピング。せっかく手に入れた割引券など、何 の意味もない。というわけで、同じ値段で彼女から購入させてもらう。「1万 円で買ったのに損しちゃった」がっかりしている彼女。いつも思うことながら、 冬木軍の営業のやり方はまったく最低だ。しかし、かわいい子だなぁー。電話 番号を訊くという基本を押さえられなかったのは痛恨の極み。
 会場前で大阪から来たネグロさんに会う。関係者の立ち話から聞いたところ、 今日は早く終わるだろうとのこと。会場が9時に完全撤収なのだ。経費節約の 冬木軍らしい。「会場に冷房が入ってなかったら死ぬよね」そんな冗談を交わ していた俺たち。冗談にならなかった。クーラーのない館内はサウナのように 暑い。TNRの面々がサインを入れながらグッズを売る売店。ブリーフの絵入 りうちわが飛ぶように売れる。たまらずロビーでビールを買った俺。それを手 に持ったまま入場しようとすると、係員に止められた。
「会場には持ち込みできません」
 そういう会場で売るなよ! 買った時には何も言ってなかったではないか。 冬木軍の水商売ライクなビジネスに気分よろしくなかった。売ってるパンフ( 冬スポ)はこの前のパンフの再コピー。画質が一段と悪い。そういうことのす べてが冬木軍らしいと言えば言えないこともない。かと言って、俺は到底それ を肯定する気などない。冬木軍の関係者に訊きたいな。プロレスという商売に 夢を持っているか、と。FMWやJWPの人気選手を借りて客を集め、最低限 のハードで行われるその場凌ぎの興行。はっきり言って、こんな団体でハヤブ サや金村を浪費してほしくないのだ。良いソフトをよそから借りてその魅力で ファンを呼ぶのなら、ファンが気持よく見られる環境を整えるのはプロモーシ ョン側の責任。FMWとほぼ同じメンバーであっても、冬木軍にはあまり行き たくないと思った。よほど惹かれるカードがない限り。


 客席は8割くらい。よく入ったな。TNRが入場し、黒田、保坂を正座させ て、「1」「2」と番号を言わせる。しかし、この会場は音響が最悪で、選手 が喋っても、何を言ってるんだかさっぱりわからない。何やっとるんだ?とい う感じの俺の後のおじさん。ちょっときついから、次行こう。次。


第1試合 マンモス佐々木 VS 山崎直彦

 いつも通り、フライングクロスチョップやフライングボディアタックなどの マスカラス殺法を駆使して奮闘の山崎。彼は技が綺麗だ。しかし、パワーに優 る佐々木が逆片エビ固めからキャメルクラッチで決めた。体格の差もあり、山 崎は当分佐々木には勝てそうにない。市原に勝つ方が先だったりして。


第2試合 ボリショイ、宮口知子 VS 天野理恵子、大隅沙理

 目立ったのはボリショイのロープ渡りと天野の飛びつき腕ひしぎ。あと、大 隅は黒いコスチュームと白い足のコントラストががなかなか艶めかしい。最後 は宮口が大隅の足の上に乗って決める延髄斬りから雪崩式ブラックバスター。 ブロックバスターではなく、ブラックバスターだそうだ。


第3試合 大矢剛功、リッキー・フジ VS 邪道、非道

 大矢さんとリッキー、名コンビである。見た目は全然違うんだけど、組むと いいんだなあ。2人とも新日の道場でトレーニングを受け、それぞれ新日や海 外でデビューして早10年か。鬼人組の意地、リーサル・ウェーポンの魂を今 日も見せてほしいところ。
 邪道の入場テーマ曲は、「サンライズ」。しかし、今日は「We are 邪道、 外道」の声が入ったのではなく、最初にカントリーの入ったやつの方だった。 ハンセンが使ってるやつそのままね。何で?
 今日はなんと大矢のドロップキックが見られた。見たの初めてか? 綺麗に 非道のあごを捕らえた一発である。さらにリッキーのドロップキックと大矢の バックドロップの合体殺法。リーサル・ウェポン時代、さんざんハヤブサを苦 しめたやつだ。大矢と非道の場面、非道がラリアットで反撃するも、大矢、延 髄斬りからバックドロップ。仕上げは卍固め。非道がタップし、ベテランコン ビ快勝。まだまだがんばれ、元タッグ王者。


第4試合 保坂秀樹 VS 中川浩二<チェーンデスマッチ>

 荒井社長が出るとも言われたこのカードの「X」はなんのことはない保坂。 何で?って感じ。荒井社長が出るよかもちろん良かったんだけど。「炎のファ イター」のB面ではなく、昔のテーマ曲で入場した保坂。一方、チェーンを はめたまま入場の中川。両者の手首がチェーンでつながれる。
 最初はチョップ合戦。中川はチェーンを持って、保坂の額を一撃。保坂、た ちまち流血。場外戦で保坂を机に叩きつけ、中に入れては、ひたすら蹴りつけ る中川。保坂はラリアットで反撃し、マウンテンボム。エプロンの中川をロー プ越しのスリーパーで追いつめる保坂。2度目の場外戦を挟み、保坂、ラッシ ュをかける。ギロチンドロップ、みちのくドライバー2、しかし、勝負をかけ たパワーボムはパンチを顔に受けて失敗。さらに急所をチェーンで叩かれ、悶 絶する保坂。
 フィニッシュはコーナーポストを使って、保坂を首吊りにした中川。さらに フォークで保坂の頭を何度も串刺しである。保坂、失神KO。試合が終わった 後も保坂を攻め続ける中川に、たまらず飛び出してきた黒田。中川に蹴られる も、保坂を救出した。
 中川、相変わらず何がやりたいのという感じ。意味不明な凶器攻撃を続ける 中川に客もすっかり引いてた。今日のここまでの試合内容ははっきり言って、 かなりつまらない。FMWと同じメンバーでも、冬木軍パックになった途端、 こうなってしまう。こんなものを見にわざわざ名古屋まで来たのかという気持 だ。冬木軍の興行は今日も含め3回見ているが、試合内容が全体的に外れが多 い気がする。(もちろん2月の後楽園のハヤブサVS冬木など、いい試合もあ ったが。)試合のコンセプトがFMWとは基本的に違うということなのか。そ うとも思えんのだが、冬木軍を見ていると、FMWというよりWARを見てい るような気になる。

保坂の勝機もあったが…これがフィニッシュの場面


セミファイナル 外道 VS 黒田哲広<ロッキー・マウンテン・ミッドヘビー級選手権>

まさにいっちゃう瞬間

 よくわからないカード。田中の二冠に挑戦した黒田が外道のジュニアベルト に挑戦する意味は? だいたい、黒田ってっジュニアヘビーなのか? よくわ からないまま試合が始まった。
 先に突っかけた黒田。エルボーで外道を場外に叩き出し、長距離走ラリアッ ト。リング内で、やめてポーズの外道。黒田はキックを見舞い、かわず落とし で叩きつけ、さらに場外戦。ラリアットを打ち込もうとするも、よけられて、 鉄柱に誤爆。これで右腕を痛めたものらしい。
 外道、折りたたんだイスに黒田の右手を挟み、上から踏みつける残忍ぶり。 伊藤豪も介入し、イスで黒田の右手をぶっ叩く。外道、腕ひしぎ。黒田がやっ とのことで足をロープにかけると、それを払う伊藤豪。さらに突進する外道だ が、黒田はスライディングレッグシザーズ。つんのめった外道はコーナーマッ トへ顔を打ち付けた。
   黒田の反撃。投げっぱなしジャーマン、ダイビングエルボー、外道のバック ドロップを喰らうも、スーパーフライはロープを揺らして阻止。踏み外した外 道は股間をロープにしたたか打ってしまう。黒田、ジャーマン連発。外道、延 髄斬り。黒田、ラリアット。外道、ジャーマン2発。黒田、ラリアット。リン グ上はダブルノックダウン状態。沸き返る館内。黒田、ラリアット連発。フォ ールに行くも、伊藤豪が姉崎レフェリーの注意を引き、幻の3カウント。続けての ジャーマン狙いは急所攻撃で切り返され、外道クラッチで丸め込まれて、その まま3カウントの声を聞いた。黒田、ベルト奪取ならず。外道の省エネプロレス、うまいの 一言だ。
 今日初めての良い試合だった。観客も沸いた。しかし、外道に負けてるよう では、当分黒田には二冠再挑戦のチャンスはないだろう。田中が帰ってくるま でに、もっと上に上がっていかないと。とりあえずは今のTNRの準・準構成 員の位置から抜けることが第一か。これからも黒田には要注目である。


メインイベント 冬木弘道、金村ゆきひろ VS ハヤブサ、池田大輔<世界ブラスナックル・タッグ選手権>

 ハヤブサと池田のタッグチームがいよいよ正式にスタート。ハヤブサ、新崎 人生組に続く団体の垣根を越えた大物同士のタッグチームである。今日はその 試金石といったところ。今後の活躍にダッシュをかける意味でも、今日は勝っ ておきたい試合である。
 一方、王者組。冬木と金村はすでに何度もタッグを組んでいるが、今日は再 出発の日。新生フットルースとして復活するのである。フットルースと言えば、 かつて全日マットに存在したタッグチーム。言わずとしれた冬木と川田のコン ビ。エアロビ仕込みのキックを得意としたアイドルタッグである。カンナム相 手の試合で相手への大声援にふてくされていたのが、なんとも懐かしい。
 最近使っている「Fight with dream U」ではなく、昔の「Fight with dream」 で入場のハヤブサ組。保坂といい、ハヤブサといい、要するに、この団体は新 しいテープを用意しなかったんでは? フットルースはちゃんとケニー・ロギ ンズで入場。が、音が悪すぎて何がなんだかわからない。これでは懐かしさに 浸る余地もない。ヒョウ柄とバンダナを期待していたが、出てきたフットルー スは井上京子のよう。JJ・ジャックスとも言う。タイツから垂れ下がるひら ひらがまぶしい。フットルースにJJジャックスという歴史に残る2大タッグ チームを押さえるあたり、さすが冬木である。
 池田と金村でスタート。金村が相手の腹を突き上げるトーキック。ばしっと いう音に場内がどよめく。蹴り返す池田。同じキックでも、腰が入っているあ たり、リアル。ハヤブサに代わる。金村に巻き投げ連発。その速さ、鮮やかさ に館内が湧く。さらに金村をドロップキックで吹き飛ばし、場外に落ちた金村 にフェイントのバック転。もう大歓声。セミまでと会場の雰囲気がまるで違う のである。改めてハヤブサは地方興行のスター。散漫な観客の目を一気に引き つけ、集中させることができる希有な選手である。
 池田と冬木が組み合う。と、金村が後から忍び寄り、池田の膝を後から蹴り つけてサポート。しかし、池田は冬木を蹴りまくる。その猛攻に膝を突いた冬 木。そのまま池田の足を取りに行ったところ、池田のキックと出会い頭になっ た。強烈な蹴りが思い切りアゴに入ってしまう。顔をしかめる冬木。冬木が大 きなダメージを受けたのは遠目にもはっきりとわかる。急所攻撃で緊急避難の 冬木。金村が飛び込み、池田を場外に連れ出して、机の上に寝かす。しかし、 金村がコーナーを上る最中に起きあがってしまう池田。セコンドの中川が襲い かかり、池田を再び机上に設置。いつもより手間がかかったものの、金村、ダ イビングボディプレスonデスクを敢行。その後もリング内で机の切れ端やイ スで池田をめった打ちに。
 俺にやらせろという感じで入ってきた冬木。キック連発で徹底的に池田をい たぶってゆく。よほど頭にきているようである。場外に放り出し、金村のトペ。 リング内では、逆片エビ固めでしぼる。金村が池田を肩車で持ち上げ、そこへ 冬木がダイビングボディアタックを放つ、懐かしき合体殺法。ネグロさん、叫 ぶ。「フットルースだあ〜」冬木のヒップアタック。金村のダイビングボディ プレス。ひたすら、やられる一方の池田。怒らせてはいけない相手だったのか。 コーナーに投げられた池田に連続串刺しラリアット。「フットルースだあ〜」 冬木、池田をパワーボムで叩きつけ、冬木スペシャル。カットに入ろうとした ハヤブサを捕らえ、金村も冬木スペシャル(ストレッチプラム?)の競演。し かし、突進してくる冬木に大ちゃんボンバーを叩きつけた池田、やっとハヤブ サにタッチ。ハヤブサ、冬木をフランケンシュタイナーで吹っ飛ばし、ラ・ケ ブラーダ。ただでさえ暑い館内、盛り上がりも最高潮である。
 トペ・アトミコ、ブファドーラを見せた後、体重のある冬木を持ち上げて、 魔神風車固め。冬木も雪崩式ブレインバスターで反撃するも、ハヤブサはキッ クを打ち込み、池田にタッチ。池田、冬木と金村に続けて大ちゃんボンバー。 冬木に16文キック、かわず落としの王道殺法である。ならばこれだとばかり に冬木、懐かしすぎるスピンキック。これはマニアたちには大受け! ノーザ ンライトスープレックス、パワーボムで潰してから、金村が爆YAMAで飛ぶ。 ハヤブサ、金村を投げっぱなしドラゴンスープレックスで叩きつけ、池田と2 人でサンドイッチニールキック。ハヤブサ、ラッシュをかける。フィッシャー マンバスターを見舞い、コーナーへ。名古屋の観客の期待が一気に高まる。秘 技フェニックスセントーン! 続けてファイヤーバードスプラッシュ。タイガ ースープレックス。しかし、金村が仙台で見せたリバースファルコンアローで 顔から落とされたハヤブサ。冬木のラリアットを腕でブロックするも、途端に 裏拳を食う。イスを持って宙を舞った金村。ハヤブサの頭に叩きつけると、座 面がぶち抜けた。すかさず走る冬木。ラリアット! マットに崩れたハヤブサ。 そのまま、3カウント。二冠王者ハヤブサ、フォール負けである。
 一部のTNRファンを除き、場内は茫然。勝者宣言のためにリングに上がっ た荒井社長に対戦を迫る冬木。やはり8月の大仁田厚興行で何かあるんだろう か。しかし、冬木を倒さねばならないのは大仁田厚よりも、誰よりも、ハヤブ サ。冬木は二冠の挑戦者として不足はないはずだ。この一騎打ち、今度はベル トを懸けての早期実現が待たれる。混乱のFMWマットを制する者となるのは、 ハヤブサか、それともやはり冬木なんだろうか。

若きエースコンビ池田と冬木がヒート「デンジャラスK」、絶好調


 途中まではどうなることかと思ったが、セミとメインで満足。名古屋まで来 た甲斐はあったというべきか。味噌煮込みうどんもおいしいのを食べることが できたし。
 試合後は名古屋の街で6人で豚カツを食い、東名高速で東京に向かう。眠く なった俺は運転をネグロさんにまかせて、後部座席で寝てた。(ネグロさんは 明日の後楽園のJd’を見に行く。)途中のパーキングエリアで無事ういろう も購入。東京に着いた時には夜が明けていた。一刻も早くベッドで寝たい俺。 ヒロケンさん達はこの足で正午からの全日を見に後楽園へ行くとか。後楽園の 階段で睡眠とるらしい。どこまでもいっちゃてくれ。別に止めんから。
 ぐっすり眠り、起きたのは午後3時頃。現像してみると、写真失敗多し。国 立のテキサスでステーキ食べて、ようやくいつもの自分に戻った感じ。この辺 が俺の故郷なんだよね。


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