1998年6月21日 後楽園ホール  アルシオン


 外は雨。会場は少し空席があるものの、ほぼ満員である。この日は昼にはL LPWがやっていたはずだが、長島美智子の引退試合があったにもかかわらず、 客の入りは芳しくなかったと聞く。新興団体ながら、たいした人気だ、アルシ オン。ここに来て変身を遂げた選手が確かに多いから。はっきり言って、吉田 も二上も大向も府川もこっちに来て本当に良かったろう。奥津も復帰先がJW Pだったら、今の活躍はたぶんなかったし。本部席のロッシーだけは目障りな ので、どこかにしまっておいてほしいものである。でも、ロッシーは俺も嫌い だけど、選手達が慕っていて、実際にこれだけのものを見せてくれるなら、そ れは仕方ない。アジャも同じこと。できるならば、早めに引退してもらいたい のが俺の本音だけど。名実ともに奥津エース路線を確立してほしい。
 フロントのお兄さんが「パンフ、いりませんかー」と駅弁売りのように腹に カゴを下げて客の間を回った後、選手入場式。ビジュアルファイター、続々登 場である。トーナメント優勝の奥津はやはり態度がでかい。この単純さ、図々 しさこそ、プロとして成功する資質なのかもね。奥津って、ジャージ姿でスー パーへ買い物に来るおばさんになるような気がする。違ったら、ごめん。


第1試合 マリー・アパッチェ VS ファビー・アパッチェ

 俺はこの姉妹が好き。なぜなら、ナイスバディだから。
 と、今日はコスチュームが違う。ファビーはいつも足の出るコスチュームだ ったのに、今日はロングタイツ。綺麗な足が見れない。ちょっと、がっかりだ な。オヤジモード、入ってるでしょうか?。
 その代わり、マリーのコスチュームは胸元が危ない。冗談抜きに危ない。試 合をしていて、気にならないんだろうか。こっちには気になるぞ。やはり、入 ってますね。
 評価のよろしくないルチャ・ドーラ達だが、以前よりはこなれてきた感じ。 スピーディーなルチャを展開する。時々、ぎこちないのは、まだ仕方ない。し かし、ルチャというのはつくづく形なんだね。日本のプロレスではまず始めに 気迫が求められ、それがあれば技などなくても試合を作れてしまう。ルチャは かたちがこなせないと何もできない感じ。
 マリーがファビーをロープに振ってのスパインバスター2発。なんか落ち方 が危険。そして、ロープ2段目からのムーンサルトであっけなく勝利。ファビ ーはけっこうダメージがあるようで、マリーが気遣っていた。

すごい姉妹喧嘩メキシカンな攻防姉貴のケブラーダ
 


第2試合 マリー・アパッチェ VS レディー・メタル

 ファビーに勝ったマリーが第2回戦。ところがコスチュームを上だけ変えて きた。やはり胸元が危なかったのだろうか。いったい、どうしてくれる。
 メタルはいつもぱっとしない人。顔も隠しちゃってるし、技もこれというの がないし、何を見ていいのかよくわからない。生で見れば、何かあるかと思っ たのだが、やはり何も印象残らなかった。
 マリーは2試合目ながらよく動き、雪崩式フランケンシュタイナーなど大技 を連発。しかしながら、技の失敗も目立つ。最後は雪崩式ブレインバスターか ら、あぶなっかしいパワーボムで連勝。しかし、勝ったマリーの方がダメージ あったようで、試合後は練習生に担がれ、控え室へ戻っていった。メタルは引 き上げる時に「shit!」。あまりビジュアルにも見えないし、何か身につけない と、今後は厳しいぞ。


第3試合 二上美紀子 VS レジー・ベネット

 髪も含め、全身オレンジの二上。オレンジクラッシュを名乗る小橋にも見習 ってほしいところ。二上がローキックを数発放つと、むかついたレジーはもの すごく重いローキック1発を返す。太股に入ると、二上は足を押さえて悶絶。 キックの第1人者と思っていたのに、なんか哀しいな。
 早々にダメージを負ってしまった二上だが、体重をかけたラリアットでレジ ーを吹っとばし、得意の関節技で相手を追い込んでゆく。レジーの悲鳴はゴジ ラの雄叫びのよう。レジーの巨体に雪崩式フランケンシュタイナーをかけるも、 なんとパワーボムの体勢でコーナーポスト上から放り投げられてしまう。さら にボディプレス。が、よけた二上。冷蔵庫並みの巨体をノーザンライトスープ レックス! まだ決まらない。レジーのキャメルクラッチは、まったく反則だ。 しかし、足関節で極め返していく二上。その意表を突いたムーブはヴォルグ・ ハンのようだ。二上の関節技は実に動的で、見ていて退屈しない。
 体力の差か、やや余裕があるのはレジー。突進していくと、待っていたのは 二上の見事な浴びせ蹴り。レジーがパワーボムを決めたところで、15分時間 切れのゴングが響きわたる。
 良い試合だった。二上はアルシオンの中でも独特の位置を築いていくだろう ね。

重いー!!ストラングルホールド
 


第4試合 吉田万里子 VS アジャ・コング

 休み時間にラモス瑠偉、登場。あのラモスですよ、サッカーの。紛れもない 本物。アジャの応援にやってきたらしい。日本が負けたのに、こんなところに 来てる場合か。って、ラモスに言っても仕方ないのかな。
 アルシオンに来て、一番変わったと言えば、やはり吉田だろう。ほとんど別 人になってしまったんだから。コスチュームが変わり、茶髪になった。しかし、 これだけじゃない。表情が全女時代と全然変わってしまったのだ。明るいイメ ージだった彼女がまったく笑わない人になっていた。
 で、それがマイナスかというと、むちゃくちゃプラスなのだ。クールそのも のである。スパイダーマンのようなコスチュームと相まって、すげーかっこい い。隣のヒロケン君も吉田にシビれてる様子。こいつぁ、すごい。今かっこい いレスラーと言えば、ハヤブサ、カ・シン、サンドマン。そして、吉田万里子。
 例のJudas Priestの曲で入場したアジャの方は何も変わらない様子。当然、 こっちに期待させるものは何もないと言っていい。この試合のテーマ、変身し た吉田がアジャ相手にどれだけできるかってことだ。
 で、結論から言えば、吉田はアジャに全然負けてなかった。試合開始早々、 猪木の寝転びポーズやアマレスのわんわんポーズで吉田を誘うアジャ。相変わ らず勘違いしてるよ、こいつ。吉田はまるで相手にしようとしない。コーナー にもたれて、涼しい顔である。
 「せっかく勝てるチャンスやったのに、お前」とアジャがわめきながら、怒 濤の攻撃開始。アジャのキックは生で見たのは初めてだが、改めて重い。鈍い 音をたてて、吉田の細い体に突き刺さる。コーナーに詰めて、ずしんと響くチ ョップの嵐。前半はアジャの一方的な試合。しか し、吉田は蹴り倒されながらも表情を少しも変えない。こいつは本物だ。倒れ た体勢からアジャの足を取り、サブミッションに引き込む。グラウンドになる と、俄然、吉田有利。
 アキレス腱固めで音を上げさせ、カナディアンバックブリーカーに取られる も、回転してバックを取り、胴締めスリーパー。場内は懐かしき「落とせ」コ ール。しかし、アジャも 決めさせることは許さず、試合終了前には必殺の裏拳も決めた。さらに垂直落 下式ブレインバスター、急角度のバックドロップ。しかし、吉田もそれではま いらず、そのままタイムアップ、引き分け。内容においては、終わってみると むしろ吉田が押していた。
 吉田、かっこいいぞ。奥津という天才をエースに擁するアルシオンだが、そ の1番のライバルとなり得るのが、この吉田だろう。プロレス的な意味での色 気が吉田には溢れているからだ。ちなみにファイト誌あたりではいまだにエー ス扱いされそうなアジャはもういいや。以前、FMWやテレビなどで見た時と 同じ印象である。

かっくいー!!クールに受け流すいてー!!
 


第5試合 府川由美、玉田りえ VS キャンディー奥津、大向美智子

 府川もアルシオンに来てから、顔が変わったような。なんかボーイッシュに なった。そして、小さいのは変わらず。この4人の中でも、一等小さく見える。
 のっぽでキックを使う大向は高山の女子版? 茶髪が進んで、ヤンキー入っ てる。レースの下着を着て登場の奥津は今日もマメタンク。自信が全身から満 ち溢れているのがわかる。さすがエースだ。玉田については特に感想なし。
 「タマフカ卒業試合」として行われたこの試合だが、内容は圧倒的に奥津組 が押した。パワーに溢れて、身も軽く、おそろしく器用な奥津が素晴らしいの は今に始まった話ではない。しかし、パートナーの大向がここまで変身してい るとは、まったく知らなんだ。大きな体を跳ね上げ、長い足を相手に突き刺す ローリング・ソバット。ビジュアル広報直伝か? 小さなタマフカを面白いよ うに吹っ飛ばしてしまう。剥き出しの気迫。場内は大向に対する拍手、声援で 沸いた。満を持して出した大車輪キックでは、周囲の観客がため息をつくほど の華。ジャーマンも高山よろしく豪快。大向が奥津、吉田のレベルまで上がっ てくるのは、もうすぐではないか。
 府川は関節技に活路を見いだすが、いかんせん非力。がんばっていたと思う が、苦戦の印象は拭えなかった。奥津のダイナミックなパワーボム、飛距離あ るムーンサルトプレス、雪崩式フロントスープレックスの大技攻勢に危機の連 続である。セカンドロープからのムーンサルトに行こうとした時は、前回のこ ともあるので、ひやっとしたが、相手に捕まり、思わずほっとした。なんじゃ、そりゃ?
 これは奥津組の完勝だなと思い始めた頃、玉田のパワーボムと府川のネック ブリーカーの合体技、そして、玉田が奥津に放ったドラゴンスープレックスで そのまま3カウント。やや唐突な感じ。試合後も立つことができず、スタッフ の背に負われて引き上げる奥津。ロッシーが血相変えて、控え室へ走る。アク シデントだろうか。ちょっと心配だ。
 一方、勝利した府川と玉田は次の後楽園での対決を約束。府川のマイク。
「玉田さん、今までありがとう。私は今まであなたに一勝もしたことがありま せん。次の後楽園、やろう」
 観客の大半は満足して帰途に着いたんではと思う。どうしてディレクTVは 放映しないのかな。
 ヒロケン君の車で家まで送ってもらう。BGMはヒロケン君が編集してCD −Rに焼いたFMWテーマ曲集。いやー、なかなかわかんなかったぜ。何の曲 順なのか。杉並のガストで飯食って帰る。

 
府川くん雪崩式フロントスープレックス府川の腕ひしぎ。いてー!!
 


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