1998年5月7日 後楽園ホール  冬木軍プロモーション


 会場に行くと、いつもの見慣れた顔が数人。君たちにはプロレスを見るとい うこと以外に人生の中で果たすべき目的や夢や理想はないのか、と言いたくな るが、お互い様なので、うひゃひゃなどとみんな自信なさそうな笑いを浮かべ、挨 拶を交わす。周りには○ーザン○本や週刊Pの某編集長、週刊Gの○池さん、 某女子プロレス団体の代表の○マモ、フリーライターの○島さん、某サル顔の 記者、二代目ミスター・ポーゴなど不吉な面々がずらり勢揃い。よいこの皆さ ん、プロレスばかり見ていると、将来あんな大人になってしまいますよ。それ でも、彼らはとりあえずプロレスの中から生活費を絞り出しているが、単なる プロレス中毒は決して何も生み出すことがない。実に始末が悪い。って要する に俺のことか。
 客入りはダメ。1500人くらいか。前回の冬木VSハヤブサ戦は満員だっ たからね。雁之助が出ない時点で、このトーナメントのグレードは40%ぐら いに落ちた。一番強くて、魅力的な奴が出ないんだから、当たり前のことだ。 だいたい、冬木軍ってよくわかんないというのが本音。だって、こうやって興 行を打っても、ほとんどの客はハヤブサや田中や雁之助を目当てにやってくる。 冬木軍ならではの独自性というのもそれほど感じられないし、FMWの中でや っていればいいことなんじゃないかと思ったりするわけだ。と、思っていたら、 今日は冬木軍スタイルがかいま見られたような。でも、それがファンに受けい られたかどうかというのはまったく別問題だしね。
 リングはなんとFMWのもの。Jd’と切れたな。女子プロがJd’でなく、 JWPなのもその辺が理由か。某氏に聞くと、○マモが入口付近でいつものご とく炸裂していたとのこと。Jd’の悪口を言いたくて仕方ないらしい。よそ の団体まで来て騒ぐのはやめろ。頼む…。


第1試合 マンモス佐々木 VS 山崎

 佐々木は他団体の興行だけマンモス佐々木なのか。しかし、外見上もファ イトもいつもと変わらず、特にマンモスらしいところはどこにも見あたらなか った。山崎は見るの初めて。昔の新日を思わせるようなオーソドックスな奴で、 まだかなり細い。
 試合は地味なグラウンドが中心。やはり若手はこうであってほしいね。山崎 はフライングボディアタックやフライングクロスチョップなどジュニア的な動 きを披露。身長はあるけれど、まずジュニアを通過するのがいいかもしれない と思う。FMWマットのジュニアヘビーが空洞化しているだけに。ともかく、 山崎は楽しみな逸材である。
 体重のある佐々木の逆エビは必死でロープに逃れた山崎だが、ラクダ固めに 即ギブアップ。現時点では、かなり二人の力は開きがあるようだ。


第2試合 本谷香名子、宮口知子 VS 久住智子、天野理恵子

 JWPを生で見るのは初めて。本谷のトペ、天野のあまりにも鮮やかな飛び つき逆十字、久住の7連続ジャーマン、危険な雪崩式ローリングクラッチなど 見るべきところ多し。久住はドロップキックも実に力強い。足が相手に触れて からぐんと蹴り飛ばすのだ。
 試合展開についてはメモ取らなかったんで、パス。結果も思い出せないので、 パス。週プロで見てください。なかなか面白かったが、あえて言えば、○マモ はいらなかった。


第3試合 金村ゆきひろ VS 外道<B1クライマックス1回戦>

 腕を取ってのホイップ合戦がら試合は始まった。腕を取られたら、足を取り 返すといったグラウンドでの攻防。オーソドックスだ。B1と名づけられたト ーナメントながら、中身はいきなりシリアス。金村はキーロックで外道の腕を 攻めるが、外道は膝へのドロップキックから金村の足に狙いを絞り、膝十字固 め、ドラゴンスクリュー、足4の字固め。場外戦を挟みながらも、膝を気にす る金村。もともと古傷なので、不安なとこだろうか。金村はワキ固めでやり返 し、最近使い始めたストラングルホールド金の字。
 外道の延髄斬りから試合が動き出し、場外の金村にスーパーフライを決める。 ラリアットもよけて、飛びつき十字固め。金村、パワーボム。続けて、コーナ ーポストから飛ぶも、ドロップキックで迎撃されてしまう。外道のジャーマン スープレックス。そして、急所の蹴り合い。
 最後は外道が必殺外道クラッチに来たところ、金村は外道の急所にヘッドバ ットの一撃。そのまま固めて3カウントを奪う。

 


第4試合 邪道 VS 非道<B1クライマックス1回戦>

「優勝候補筆頭、非道ー!」リングアナのコールに本人がちょっと驚きながら、 試合開始。腕の取り合いから。邪道、腕ひしぎ逆十字、チキンウイングフェー スロック。こういうことをやらせたら、やはり邪道に分。非道、渡辺二郎譲り のパンチで逆襲である。邪道、ダウン。9カウントぎりぎりでなんとか立ち上 がる。
 非道の猛攻が始まる。ダイヤモンドカッター、DDT、ニールキック、そし て、またパンチ。と、邪道もやり返し、なんと、クロスカウンターだ! 両者ダ ウン! 隣の席の仕方のない人たちはここぞとば かり「明日のジョー」の話など始めるが、それは無視して試合を追いましょう。 二人とも10カウントぎりぎりで立つ。そして、同時に振りかぶり、ああ、も う1回クロスカウンター。なんとか今度も立つ。
 非道はラリアットを打ち込むも、ムーンサルトプレスはよけられて、失敗。 邪道、ラリアット。なおも抵抗を見せる非道に、さらにラリアットを叩き込み、 最後は必殺、垂直落下式ブレインバスターでケリ。邪道はこの技をフィニッシ ュホールドにするつもりなのか。ディック・マードックを見て育った世代だも んね、君も。


第5試合 金村ゆきひろ VS 邪道<B1クライマックス準決勝戦>

 インターバルなし。これは邪道にはきつい。
 金村はドロップキックで邪道を場外に出すと、トペ。場外にイスを積み重ね始める。 新生W★INGの頃はよくこんなことやってた。イスの山の上に邪道を置くと、 エプロンからダイビングエルボー。
 邪道はラリアットで反撃。反対側の場外にイスを積み重ね、その中へ金村を パワーボムで叩きつける。いつのまにか金村は流血してたりする。
 邪道、猛攻。ラリアット、バックドロップ、ジャーマン、三角締め。金村の 首をロープに引っかけてのギロチン。チョップ合戦となり、金村はロープから 飛んでのダイビングラリアット、トップロープ上に邪道を置いての後頭部ギロ チン。邪道も急所を蹴って主導権を取り返し、雪崩式ブレインバスター。続け てのラリアットはすごい迫力だっ た。金村が回る。金村、スライディングレッグシザーズで邪道の足を止め、最 後は変形のスクールボーイのようなラ・マヒストラルのような技2連発で邪道 を固めてピン。収まりがつかないのか邪道は試合後にも金村にラリアットを叩 き込んでいた。かといって、別に仲間割れはせず。
 内容的には邪道が押していたが、金村の方が存在感があるというか、格上な 感じ。邪外って巧いといわれれば、確かにそうなんだけど、所詮小悪党なんだ よな。全日でも頑張っているけど、体も小さしし、これより上に行くのはちょ っとキツそうかな。


中休み。中休みという習慣を始めたのはおそらくFMWである。それ以前の 全日や新日はぶっ続けで試合をしていたはずだ。さあ、これでも眺めて、あな たも休んでくれ。


第6試合 ハヤブサ、田中将斗 リッキー・フジ VS 中川浩二、黒田哲広、保坂秀樹

 唯一、FMW的な試合。一番盛り上がった。
 田中と黒田からスタート。激しいグラウンドを展開。リッキーと保坂のトペ 合戦、続いてハヤブサと中川になるが、最初から左腕を攻められる中川。その 後も中川はやられまくり、結局、中川が左腕を攻められる展開が試合の中心に なってしまったようだ。
 FMWが後藤式(馬場式?)のアームブリーカーや三角締めで中川をさんざ ん痛ぶった後、両軍、大技でハイスパート。ハヤブサのケブラーダやファイヤ ーバードはいつも通り会場を沸かせ、最後は保坂が大活躍! 保坂の変化につ いてはここ2、3シリーズで気づいていたが、いよいよ本物という感じか。大 きな体を生かしたマウンテンボム、パワーボムなど説得力十分。今日は保坂が 田中に勝つかと思ってしまった。最後は田中のローリングエルボー一発に逆転 フォール負けを許したが、内容では押していた保坂。大熱戦であった。
 FMWが引き上げ、出てきたTNRの面々。伊藤豪はコーナーポストに寝っ 転がって、元ZENの3人を愚弄する。
「お前ら、ZENなんて書いてあるコスチューム着ちゃいけないんだぞ。だい たい、お前らな、負・け・る・なよ。一番下で使ってやるよ」
 一部の客は大喜び。いつものFMWとは客筋がちょっと違うようだ。余裕ぶ っこいていた伊藤豪だが、黒田に蹴り上げられ、ロープで股間を打って、転落。
 非道がマイクを持つ。「黒田、お前そんなことしていいと思ってるのかよ。 お前には浴衣を着せてやる。浴衣といっても、今の俺が着てる上等な奴じゃな いぞ。ひこねステーションホテルの浴衣だ」
 外道も。「お前ら、パシリだ。100円でパン3つ買ってこい」
 一部で「パシリ」コール。黒田が言い返す。「非道。浴衣はお前だけで充分 だよ」
 今度は「寒い」コール。ZENのTシャツを着たファンは悔しかったろうな。 大丈夫だよ。次は大仁田厚が潰す! 大仁田の生命力はこんなものじゃない。 そう、こんなものじゃないからこそ、新生を応援する俺が困ってるんだけど。


第7試合 冬木弘道 VS 金村ゆきひろ<B1クライマックス決勝戦>

 最初はチョップ合戦。そして、頭突き合戦。疲労の残る金村が打ち負けると、 頭にエグいキックを入れる冬木。場外戦でイス攻撃をもらい、またも金村は血 みどろ。冬木、早くも仕上げにかかったようだ。股間を相手の顔に押しつける ヒップアタック、パワーボム、ラリアット、冬木スペシャル、しかし、金村は 耐える。
 金村はドロップキックで反撃。冬木の巨体をコブラツイストで攻める。場外 の机に寝かせ、非道に押さえさせて、そこへコーナーポストからダイブ! 机 がまっぷたつだ。机の切れ端をリングに持ち込み、人間モグラ叩きにいこうと するも、冬木に抵抗される。ならばと、机の切れ端の目がけてのDDT。さら にバク山スペシャル。
 余力ある冬木はイス攻撃で反撃。張り手も思い切り。必殺の裏拳が決まるも、 跳ね返す金村。場内は歓声が起きる。金村はニールキックで最後の抵抗を試み るも、当たりはいまいちだった。カウンターで決まった冬木のラリアットであ っけなくピン。
 見終わった後の印象はなんともWAR。そういや、冬木は元WARか。スピ ードはないけど、思い切り打ち合う。ゴツゴツしていて、今のFMWのファン は好きじゃないだろう。なかなか見応えある試合だと俺は思ったのだが、評判 はどうもよくなかったらしい。
 冬木に関しては、前回のハヤブサ戦もそうだったのだが、若いレスラーに何 かを教えようとする姿勢がはっきり感じ取れる。面倒見のいい人なんではない か。邪外が冬木に着いてゆく理由がよくわかったような気がした。
 最後は黄金のパンツを手に入れたブリーフ・キング冬木が唐突に「コントだ ー」。「予定にないぞ」という顔をした金村達はとまどいながらもサザエさん で締めた。場内大歓声。「come out and play」で終わるパンツな一日だった。


 (ヒロケンさん撮影)
 
 帰りは数人で949で飲んでった。ここにいる面々は今日の試合に満足した みたい。とはいえ、雁之助が出なかったことをみんな深く嘆いていたのだが。 全体的にクラシカルながら力の入った試合が多かったような感じ。俺もまあま あ悪くなかったと思う。特に好きじゃないけど。冬木はいいけど、邪外のプロ レスってやはり面白くない。「巧い」と「面白い」って。全然別のことだ。
 特に新生FMWを中心に見ているファンはつまんなかったかも。新生らしい 展開が見られたのはセミだけ。けれど、これが冬木軍のカラーなのかもしれな い。スピード&パワーよりも巧い試合を目指しているというか…。ちょっとア メリカンで、オールドファッションなプロレス。玄人好みっていうのか? 俺 は15年くらいプロレス見ているけど、未だに一見さんにもわかるような直情 的で生々しいプロレスが好きなので、こういうのはたまでいいんだ、たまで。
 冬木軍の定義とは冬木が若い選手達にちょっと違ったプロレスを教える場所 なんだろうか。特にインディーの若手はベテランに翻弄され、丸め込まれなが ら育つということを経験しにくいので。この数ヶ月でハヤブサ、奥村、金村と いう日本マットの将来を背負える選手達が冬木に挑んで敗れた。誰が一番最初 に冬木を破るのかとても楽しみだ。冬木がFMW制圧を宣言していることもあ り、三冠を取ったハヤブサは早いうちにやらなくてはならない。本当は田中戦 は、その後でいいはずだ。ハヤブサと冬木の二冠をかけた再戦が見たい!


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