
1998年2月19日 後楽園ホール 冬木軍プロモーション
今日も、福岡晶の裸が大好きな木下さんと観戦。彼は女子プロファンだが、 FMW者になりつつあるところ。会場入りすると、売店に並ぶ冬スポ(パンフ)、 そして,サイン入りブリーフ。ついにこのグッズが出てしまったわけか。ふふ ふのふさんから聞いたところ、あっという間に売り切れたらしい。世の中、病 んでいる。ブリーフが欲しかった俺も病んでいる。
第1試合 ミスター・ポーゴ VS 佐々木芳則
大型でもっさりした感じの二人。今日は客質が良くない。普段のFMWの暖
かい観客の前ではそこそこ見れる試合も、こいつらの冷やかしの目つきの前で
はちょっときついかな。ポーゴが以前よりはましになってるとは言っても、あ
くまでましになっただけの話。かつての危なっかしさは見られなくなったもの
の、心に響く気迫や技に迫力がないのは相変わらずのことだ。同期の田中に追
いついてくれなどという途方もない夢はとうに捨てているが、今日は久しぶり
にイライラしてしまった。近くの客が「やっぱりインディーだね。あの体」な
どといっているのを耳にしては。そして、そいつの言葉を認めざるを得ないこ
とを自分も内心感じていたからだ。
佐々木はぶちかましやかんぬきにナチュラルな迫力がある。特に器用ではな
いみたいだが、良い選手に育つかもしれない。牧村がやめなかったら、たぶん
今頃ポーゴを抜いていたろうが、佐々木がポーゴを抜く日もそんなに遠くない。
ポーゴには厳しすぎる意見かもしれないが、FMWは選手の技量に差が有りす
ぎるのだ。ハヤブサや大矢は技でも試合運びでも日本マット界のトップとして
通用する選手。田中や黒田も進境著しい。その反面、ポーゴや非道のように、
さっぱり進歩の見られない選手もいる。そして、彼らは体を見ても、いまひと
つ練習の成果が見えない気がするのだが。
ともかく、体があるのはポーゴにとっての大きな財産のはず。少しずつでも
良くなっているのだから、次はもっともっと凄みを見せてくれ。試合は佐々木
のかんぬきに苦しむ場面もあったものの、終始ポーゴが優位に試合を進め、最
後はジャンボ鶴田ばりの空中胴締め落としで佐々木を葬った。
ブリブラのコント
邪道、ZENとの対決について話す。猪木のマネもあり。
金村はサザエさんネタ。
「はーい! 僕、カツオです。この前中島とピンサロ行ったら、僕だけ性病う
つされちゃった! 来週のサザエさんは、タラちゃんの…(失念)・ワカメの
援助交際・カツオの万引き・波平のアルツハイマーの4本立てでお送りいたし
まーす」

第2試合 小杉夕子、阿部、曽我部 VS 、ザ・ブラディー、龍羅、ファング鈴木
ブリブラのコントのあとに試合をやるのは辛い。それにしても、Jd’って
こんなだっけ? よくGAORAで見ていて、わりと好きだったのだが。
小杉は正規軍の中では頭一つ抜けた風格を感じる。しかし、出番があまり回
ってこない。曽我部と阿部が交代で捕まっていじめられる展開。阿部はいじめ
られる姿がなんともかわいい。ヒールの方は
キャリアが長い(らしい)龍羅が一番体ができている。ファング鈴木も新人と
思えない貫禄。ブラディーはヒールらしからぬかわいらしさでファンになりそ
うだ。
試合は旗揚げした頃よりもずいぶんこなれてきた印象を受けたものの、なぜ
か全然心に響かない。大技がぽんぽん出ていても、ただ流れてゆくだけ。これ
ではJd’にあまり関心もないであろう大多数の観客は乗ってこないだろう。
俺は自らのめり込もうとしたのだが、気持が着いていかない。おまけに近くの嫌
な客。彼女たちが何かやるたびに何かに引っかけて笑いのネタにする。(以下、
「嫌な客」と呼ぶ)頭に来たが、それを許してしまう試合だと思ったのも事実。
印象に残った技はフィニッシュを決めたブラディーのロコモーション・ジャ
ーマンぐらい。思わず、木下さんに救いを求める俺。
「どうでした?」
「これは認めません(きっぱり)」
そんなぁー!
この1試合で判断することはない。いつかJd’の興行を観に行き、確かめ
てこよう。全員、能力の高い選手だということはわかった。今日は空回りであ
る。
第3試合 非道 VS 北原光輝
木下さんは北原を名前も知らないと言う。もちろん、俺は北原は何度も見て
いる。全日にいた頃も見た。若手の頃からあのトガった雰囲気は目立って
おり、菊地などよりははるかに注目されていたものだ。久しぶりに見る北原は
恐ろしくカッコ悪いコスチュームで花道に現れた。
ある意味で、この日一番注目すべき試合である。直系の弟子ながら、天龍の
後継者になれなかった北原と、FMW圏内に生きる非道。団体対抗戦の緊張感
が走る。北原はまったく非道を相手にしていない様子。リラックスしている。
試合が始まると、ブリブラ・ダンスの真似を軽く行い、非道をからかう北原。
WARはご存じのようにいろんな意味で重い。技も重いが、動きも重いので
ある。そういうプロレスを続けて潰れた団体である。しかし、北原はいっこう
に反省するようすもなく、むちゃくちゃ重い蹴りを非道にたたき込み、悶絶さ
せておきながら、ガンガン攻めることもない。非道の反撃を受けても、さして
効いているようでもないが、しばらく立ちつくしている。何か他のことを考え
ながら、試合をしているかのよう。さてはこれが「思想派」ヒールだったか。
しかし、非道とは差が有りすぎ。新日の大会場で新日ファンのブーイングを
一身に浴びながら戦い、天龍との血ヘドを吐く戦いをくぐり抜け、Uインター
の新生の垣原までトッちめた男。公園でクソを拾っていたことを自慢している
奴では勝ちようがない。非道の相変わらず低いニールキックは北原の腹を軽く
かすめた程度。非道は頭突きを数発見舞うも、北原の渾身の頭突き一
発で崩れ落ちる。俺は非道に声援を送る。非道を応援するのはこれが初めてで
ある。(そして、たぶん最後。)まったく期待していない奴をあえて応援しな
ければならないというのもけっこう辛いものだ。北原はゴングを持ち出し、ロ
ープにふった非道の顔に一撃! のはずが非道は「やめて、危ないよ!」と言
わんばかりに手を前に突きだし、顔に当たる前に倒れる。ああっ…。
元U系ファンの木下さん曰く「この北原、すごく強いですよ。ちょっと相手
にならない」乾いた音をたてて北原のソバットが非道の顔面に入る。最後は非
道の両足を自分の足で巻き込んだ変形逆エビ。「冬木、また来るからな」の捨
てぜりふ。こうやって、折原化していくのかな。ちゃんとどっかの団体に就職
した方がいいよ。
FMWに来るなら、そのどんくさいレスリングでは、ちょっと…。今日は「
1番弱い奴が出ていった」だけ。黒田あたりが最初の関門になるんじゃないだ
ろうか。
第4試合 リッキー・フジ VS 外道
今日の試合は外道のみならず、リッキーのうまさに感心してしまった。内容
的にはリッキーが一方的に攻めながら、最後だけ丸め込まれた試合。普通、あ
れだけ攻めれば、攻め手を使い果たして攻めあぐねるところ。しかし、リッキ
ーは滞ることなく、大技に必要以上に頼ることもなく、外道を攻め続けた。外
道の足をマットに押しつけ、上から両膝でゴリゴリ。こういう丁寧なエグさが
いいかげんな観客達を試合に引き込んでゆく。プロレスって難しい。時には大
技連発よりもグラウンドが散漫な観客の注意を引いたりするのだから。先ほど
のJd’と正反対の試合がこの会場では生きた。
場外で、マイクのコードで外道の首を締めながら、マイクで喋るリッキー。
しかも、得意の英語。外道の口にもマイクをあてがうと、外道も英語で叫ぶ。
適度のお笑いの後、試合はいよいよヤマに。リッキーのタイガー・ドライバー、
カミカゼ。しかし、リッキーのジャーマンを回転して立ってしまう外道。
外道のタイガードライバー’91。外道クラッチは決められる前に今度はリッ
キーがジャパニーズ・クラッチ・ホールドで返す。しかし最後は、リッキ
ーが外道の股の間をスライディングで抜けようとしたところを捕まり、必殺外
道クラッチ。完璧に決まり、外道が名もないベルトを見事防衛した。負けたも
のの、試合をぴっちり組み立てたリッキー。今日はいい仕事したね。次は取り
返そう。
第5試合 大矢剛功 VS 邪道
大矢、渋くて強い。会場人気はハヤブサにも匹敵するだろう。邪道との対戦
は好カードである。2人とも3月のトーナメントに出場するとあっては、トー
ナメントの行方を占う上でも、重要な試合であろう。
グラウンドではもう圧倒的に大矢。その流れを変えたのは邪道の急所蹴り。
鉄柱に大矢の足を引っかけ、場外から引っ張って、さらに急所を攻める。場外
でのボディスラムを挟んで、また急所へのニー。さらに大矢をバックドロップ
の体勢で持ち上げ、ロープの上に股から落として、急所を潰してゆく。馬場さ
んは一点を攻めるのが大切だと繰り言、いや、口癖のように言うが、全日登場
を果たした邪道はこれを守っていると言える。しかし、ちょっとズルい。急所
は鍛えられない。鍛えられなくて、良かった。選手が一列になって、急所を鍛
えているところなど、考えたくないからだ。
エプロンに詰めた大矢に邪道の串刺しラリアット。しかし、不意を突いて、
大矢のバックドロップ。さらにもう1発というところ、邪道は空中で体を裏返
して、返す。邪道のラリアット。もう1発。さらにもう1発というところで、
バックを取った大矢。邪道、すかさず急所蹴りを見舞う。邪道はさらにラリア
ット2発。
しかし、今度は取った。大矢のバックドロップ! すくっと立って、根性を
見せる邪道。大矢の延髄切り。大矢、バックドロップ。さらにもう1発。
これは返せなかった。大矢が勝ちました。今さら言うまでもないが、大矢は
本当に頼れる選手です。
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| 伊藤豪、ブレイク |
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| 初対決 |
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| 閃光が走る |
| 流血の果てに |
セミとメインの前近代的な仕掛けには正直閉口した。レフェリー失神、不公
正なランバージャック。しかし、ここでハタと気づいたこと。ここはFMWで
はなく、冬木軍なのだ。こういう味はいかにもそれらしい。昔の全日本プロレ
スでよく見られた光景のレトロなパロディーとして見るのが正解なのだろうか。
何よりもメインは両選手の技量が陳腐な設定を救っていたと言える。ロープ
が外れるというアクシデントも、試合の熱さに即忘れてしまった。最近観た試
合の中では最高に面白かった。これを今年のベストマッチと言ってもいいほど
なのだが、それでは淋しすぎる。完全決着の再戦で、よりすごい試合を見せて
ほしい。
ブリブラなどもあって、何かと風あたりの強い近頃のFMW。ハヤブサの言
葉「時間をあの頃(新生が始まった頃。とにかく、まじめにやってた)まで戻
す」というのとはすっかり違う方向に来ている。俺はブリブラも嫌いではない
が、やはりシリアスなプロレスがあってこそ。3月シリーズのトーナメント。
その全試合で、FMWの真摯な輝きを見せてほしいと思う。1試合たりとて、
乱入決着などあってほしくない。
ストレスのためか、今日は全体的に辛口になった。あしからず。プロレス観
た後、職場に戻って一仕事だなんて…。自分に敢闘賞でもあげたいくらいだが、
本日の大賞。
| ベストマッチ | ハヤブサ VS 冬木弘道 |
| MVP | 冬木弘道 |
| 殊勲賞 | ハヤブサ |
| 敢闘賞 | 大矢剛功 |
| 技能賞 | リッキー・フジ |