
1998年1月18日 後楽園ホール 新東京プロレス
雨の日のドインディー。どうせ、がらがらだろう。そう思って、横になって
のんびり見るつもりで出かけたのだが、なんとほぼ満員。どうして、このカー
ドで? 新東プロの後楽園は初めてだし、プロレスファンは珍しいもの好きだ
から、わからないでもないが。それにしても、こんなにいっぱいになるものか?
これがアルファジャパン・プロモーションの営業力なのだろうか。第1試合 小林源之助 VS 本間朋晃
両方とも初めて見る選手。本間はまだ線が細いものの、盛り上がった筋肉と
均整の取れた体つきでいかにも良さそうな感じ。ふざけたテーマで入場の小林
は薄い胸板とだぶついた腰回りでいかにもダメそうな感じ。
本間のドロップキックは打点が高くて、伸びを感じさせ、素晴らしい。場外
の小林にトペ・コンヒーロ。これもハヤブサを彷彿とさせる一発。できる選手
である。
小林はちょっとかたちの悪い旋回式ボディプレスを放つもあっさり交わされ
る。この分では、
間違いなく本間が勝つと思っていたら、小林はフィッシャーマンズ・スープ
レックス、ジャーマンスープレックスとつなぎ、ドラゴンスープレックスを狙
ったところ、本間に踏ん張られる。ならばと、フルネルソンに固めたままロー
リングして固め、そのまま3カウント。小林が勝った。
第2試合 シャドウ・ウインガー VS 藤田穣
WINGまで登場である。岡野を見るのは力道山追悼興行でのVSターザン
後藤戦以来。あれはダメだったな。対する藤田はデビュー戦で、ロープを飛び
越え、自分の頭を床に垂直に打ち付けるという危険そのものの荒技を披露し、
一躍有名になった選手。
岡野のキャリアももう相当なものだ。にもかかわらず、体はまだ細い。一見、
空中殺法中心の選手のようだが、それほど飛ばないし、目指すカラーがよくわ
からない。余裕の試合運びも、この相手では当然か。エグいボディスラム3連
発で藤田をのけぞらせる。
藤田は綺麗なドロップキック3連発で反撃。ウインガーのオキャノンボムも
返すが、最後は頭上高く抱え上げてのライガーボムでピン。遊びっぱなしの私
は正直ちょっと眠かったです。
第3試合 ザ・グレート・タケル VS 木藤裕次
タケルに関して知っているのは、ファイヤーバードスプラッシュを使うハヤ
ブサもどきということ。実際に見ると、かなり小さいな。正体は誰だ?
木藤という選手は名前も知らなかった。インディーには結構詳しい俺が知ら
ないとは、どこの選手だろう? 帰ってから週プロの選手名鑑で調べると、I
WAジャパンのようだ。ここ数年行ってないからね。
ニセブサは空中殺法にノビとかバネのようなものがあまり感じられない。重
く見えてしまう。ハヤブサばりのニールキック、ギロチンドロップ、フェイス
クラッシャーなども見せるが…。トップロープにすくっと立つと、
スワンダイブ式ニールキック! これはお見事。ダイナミックでした。
最後はファイヤーバードが見られるかと期待したのだが、普通のムーンサル
トプレス。タケルが勝ちました。
第4試合 維新力 VS ふーちゃん
![]() |
| 紙テープが花火のよう。 |
第5試合 上田勝次 VS ジョージ高野(上田勝次引退試合:キックボクシングルール)
かつて上田は無敵に強かった。
大仁田厚を戦闘不能寸前まで追い込み、後藤を流血させ、江崎や雁之助は軽
くぶちのめした。FMWで上田に勝ったのは5年間で大仁田、後藤、新山、松
永(反則勝ち)、ベリチェフ、タイトン、ルーサー、これだけである。逆に上
田が倒した相手はスピンクス、ルーサー、ジミー・バックランド、江崎、雁之
助、非道など数え切れないほど。AWAジュニアのベルトも巻き、レスラーと
して1つの頂点を極めたのである。FMWとWINGが揉めて、松永がFMW
に乗り込んでくるという話が持ち上がったときも、名乗りを上げたのは上田勝
次であった。松永は「上田あたりが出てくるんじゃ話にならない」として、前
言を撤回しているが、これは上田のリアルバウトでの強さを物語っているだろ
う。
その上田がFMWと離れた場所で引退試合を行う。見に行くしかないだろう。
これが私の心のメインである。
上田はFMW時代の「Riding on the wind」(Judas Priest)ではなく、Y
MOの「ライディーン」で入場。この曲はリッキー・スティムボートも使って
いたんでは。ジョージはザ・コブラの覆面をかぶり、UFOの「Rock bottom」
で入場。マイケル・シェンカーだね。このギターソロは練習していて、なかな
か楽しいよ。ジョージはリングに上がる前に覆面を脱いでしまう。それにして
も、ジョージ高野ってこんなに太っていたっけ?
始まってすぐ、この試合がセメントのキックボクシングではないことに気づ
く。ま、当たり前か。グローブをはめたプロレスなのである。当たらなかった
が、ジョージはドロップキックまで披露。
上田にかつてのラッシュが見られない。上野やアミーゴ・ウルトラを歩行不
能にしたローキックも単発。ぴしっと鋭い音を立ててローが入るたびに客は沸
くのだが…。逆にジョージの大振りパンチを食ってしまう上田。ダウンを繰り
返す。これが現在の実力なら、引退もやむを得まい。
最終ラウンド終了寸前に上田がKO負け。続けて、こじんまりとした引退セ
レモニーが行われる。寡黙な上田がマイクを握り、話す。このリングではこれ
からも若い奴ががんばる、みなさんもプロレスを、この団体を好きになってく
ださい、と。そして、10カウントゴング。ちょっと、じーんとなった。
ミス・シードッグ・コンテスト
プロレス会場でミス・コンである。司会のおねーさんは「とても珍しい試み」
「業界初」をやたら強調する。そりゃあそうだろう。この品のない人間どもの
真ん中で延々とミス・コンをやろうという発想の奇抜さと図々しさには感心せ
ざるを得ない。
14人の女の子が私服でリングに登場。優勝した子がこの団体でレスラーと
してデビューするとか、俺とデートしてくれるとかならば(…。)、もう少し
関心がもてるだろうに。でなくとも、せめて、せめて水着なら。しかし、そん
な俺の思いを取り残し、意図のよくわからないミス・コンは続く。司会のおね
ーさんは投票を呼びかけるが、俺は協力しないことに決めた。リングの上では
顔がよく見えないし、ポスターも白黒コピーでよくわからないからだ。しかし、
心の中ではE番、鈴木カナコさんを応援することに決めていた。何故なら、俺
の昔の恋人に同じ名前の子がいたからだ。はーぁ。
第6試合 邪道 VS 外道
外道はチーム・ノーリスペクトのテーマで入場。例のZENダンスのやつだ。
踊りたくなる俺。
邪道も同じテーマ。と思ったら、邪道の後に続いて、雁之助、金村が! 今
日初めて、荒っぽい罵声が飛び交う。「金村、帰れ!」「出てくんじゃねえ、
お前らボケ!」インディーファンのヤジの中で一部には金村、雁之助への声援
も。俺はもちろん「が・ん・の・す・けー!」と絶叫。
試合はさすがにうまい。ただし、同門対決(兄弟対決?)であり、今日のフ
ァン層のニーズとも離れていたためか、あまり盛り上がらず。
最初は軽く静かに試合を回していた2人。しかし、外道が邪道の左膝にドロ
ップキックを2連発。邪道はやられるたびに前方一回転で吹っ飛ぶ。以降、徹
底して左膝を攻める。邪道の左膝を蹴り上げ、踏んづける外道。パワースラム、
フィッシャーマンズスープレックスも決める。
しかし、外道がバックを取ったところ、邪道は急所攻撃。形勢を逆転させて、
雪崩式ブレインバスター、ラリアットと攻める。ところが、バックを取ったと
ころで、お返しの急所攻撃。悶絶する邪道を外道がすかさず外道クラッチに丸
め込んだ。
試合後の邪道のマイク。
「さすがだな、兄弟。今日は負けたよ。兄弟がWCW行っている間、俺はブリ
ーフブラザーズっていうのを作ったんだ。(金村と雁之助はコマネチポーズ。
邪道はブリーフを取り出す)兄弟のだよ。履いてくれ」
ブリーフをしばらく眺めていた外道。邪道の顔にそれを投げつけ、リングを
下りてしまう。金村がマイクを握る。
「(ヤジる観客に)お前ら、この2人の純情物語がわからんのか? 外道!
邪道はな、40度の熱でお前と戦うために出てきたんだぞ」
(邪道)「兄弟。晴海で答、待ってるぞ」
難しいところだな。外道が今のブリブラに入っても存在感を示せるかどうか。
個人的にはTAKAが勝手に返上したベルトをこの外道に巻いてほしいと思う。
雁之助と金村は他団体も荒らし回り、大御所ヒールとなってほしいものだ。ブ
リブラが大日本やIWAジャパンも制圧。いいねー。メジャーなどというもの
に価値を認めない俺は最強タッグ出場よりこちらの方にグッと来るものがある。
第7試合 松崎駿馬、レザーフェース VS カナディアンロッキーズ(ジェイ&アダム)
カナディアンロッキーズはそっくりさん2人のタッグチーム。兄弟か? 2
人ともサラサラヘアの金髪。スリムで背が高い。片っぽの方がちょっと大きい
が、どっちがアダムでどっちがイヴ…じゃなくてジェイなのかはわからん。
対するレザーフェースはスーパーではない方。IWAジャパンの川崎球場大
会に出ていた人だろう。俺はスーパー・レザーはあんまり好きじゃないが、こ
っちのレザーはもっと好きじゃないことがすぐに判明する。もさっとしためり
はりのない動き。C・Rの動きの良さがよけい際だった。
C・R(大)はレザーのうなじに片足をかける。そのままバック転するのか
と思いきや、なんと両足で首に巻き付いてフランケンシュタイナー。これは
すごい! 場外に逃れた
レザーにトップロープを掴んでのトペ・コンヒーロ。さらにエプロンのC・R
(小)がプランチャで追い打ち。
この2人は掘り出し物だ。(言うまでもないが、C・Rの方。)その後も、
C・Rはコンビネーション良くかんぬきスープレックスなどを決め、最後は
合体式のプレス技で松崎を葬った。ちなみにバルコニーからはCCWコールが起こっていた。ECWコールの要
領。
ミス・シードッグ・コンテスト(発表)
俺の応援の甲斐あって鈴木カナコさんが今年の栄えあるミス・シールロック・
コンテストに選ばれた。良かったね、カナちゃん。ヤジの飛ぶ館内でバカども
相手に仕切らなきゃならない司会のお姉さんもご苦労様でした。
俺は金村が優勝者を誘拐するという展開を考えていたのだが、はたして、
チーム・ノーリスペクトが出場者全員を拉致するというスケールの大きい誘拐
事件が起きる。ただし、これは翌日のデイリーで明らかになったことであり、
会場の観客には知り得ないことだった。こんな美人軍団に来られては、ミス・
モンゴルの立場はいったいどうなるのだ。FMW女子が危機に瀕している折で
もあり、この子達全員をレスラーとしてFMWに上げてしまうことを冬木に期
待する。レスラーとしてできているかどうかなんてのは2の次でいい、とりあ
えず女子がいれば。(暴論)
第8試合 石川孝志、川畑輝鎮 VS バッドニュース・アレン、ジェリー・モロー
なんとも懐かしい顔ぶれである。柔道メダリストであり、猪木の好敵手だっ
たアレン。実力的には新日外人のトップ中のトップだったらしいが、性格が優
しすぎて大成できなかったと聞く。国際や全日で活躍したジェリー・モロー。
全日の一員として新春のテレビ隠し芸大会みたいな番組に出演したこともあっ
た。デストロイヤーとくだらないゲームで闘っていた様子など思い出す。
アレンは柔道着で登場。両者へ声援が飛び交う。「柔道!」「すもう!」
「柔道よりすもうの方が強いぞ!」「柔道の方が強い!」後でカナディアンロ
ッキーズがカナダの旗を振る。
先発は石川とアレン。すぐには組み合わず、様子を伺う両者。双方の競技の
プライドを賭けている緊張感だろうか。張りつめた時間が流れる。
なんとなく、という感じでロープに走った石川をアレンは脇固めに取る。そ
れ以降、外人組は石川の左腕狙い。アレンは一本背負いで石川を投げ捨てると、
三角締め。エプロンに控えるモローはなぜかレフェリーにやたら食ってかかる。
アレンがねじり上げた石川の左腕めがけてモローがイスを持ってコーナーポス
トからダイブ。再びアレンが石川の腕を固定、モロ
ーは今度はコーナーポストから腕へのダイブ頭突きを見舞う。腕に頭突きとい
うのはいかなるもんだろうか。昔、大木金太郎も馬場の腿に頭突きをやってい
たっけ。子供心にも、合理的な攻撃だとは思えなかったのだが。
しかし、石川のすもう魂が燃える。痛む腕でモローにすもうラリアット!
続いてすもうレスラーの十八番であるのど輪落とし、スモーピオンデスロック
でフィニッシュのところ、アレンがぎりぎりカット。代わった川畑はモローに
コーナーポストからのセントーン、再び石川の必殺フルコースが爆発! すも
うラリアット、のど輪落とし、そして、スモーピオンデスロック。沸き上がる
「フィーバー!」モロ
ーはたまらずギブアップ。
石川のマイク。面倒くさいから、詳細は省く。要するに、20年もプロレス
をやってきたので引退し後進に道を譲る、これからも新東京プロレスをよ
ろしく、ということ。青柳館長が石川に花を贈る。続いて、片手に大きな花束
を持って、剛竜馬登場。予想したとおり、マイクを手に取った。
最初は和やかな様子だったのだが、突然がなり出す剛。しかし早口なので、
何を騒いでいるのかよくわからない。そのまま10分近くも剛の意味不明の独
演会が続く。切れ切れに聞こえてくる単語から判断するに、どうやら剛はこう
いうことをいろいろ言葉を変えて述べているらしい。
辞めるな。
持ってきた花束も渡さず、客席に投げてしまう剛。最初から渡さないつもり で買ったの? それとも、マイクを握った途端、考えが変わったのだろうか? 石川は無言。
第9試合 冬木弘道 VS 奥村茂雄
奥村がインディーの超有望選手だというのは知っているが、実際に観るのは
初めて。オーソドックスな雰囲気のレスラーである。CCWの外人4人がセコ
ンドについた。一方、見慣れた冬木は邪道、金村、雁之助、外道を引き連れ、
チーム・ノーレスペクトのテーマで入場。外道は一番最後、距離を取ってしょ
んぼり入ってくる。リング上で4人は(元)ZENダンス。一部の観客も踊る。
リング下から1人、それを見つめる外道。セコンドについても距離を開けている。
試合は静かに立ち上がり、緩やかなペースの取り合い。もちろん冬木が優勢
である。しかし、奥村もしっかり着いてゆく。ロープに飛んで、体当たり。冬
木は倒れない。もう一回。受け止める冬木。3度目はラリアット! 冬木の巨
体がマットに倒れ込んだ。
しかし、不用意にヘッドロックに来た奥村に冬木は恐ろしい角度のバックド
ロップ! 奥村は場外に逃れたものの、なかなか上がってこれない。この一撃
が試合を決めてしまったとも言える。冬木は場外の奥村にイスを振り下ろす。
ようやく奥村が上がっていた時は頭から真っ赤に流血していた。
雁之助がコーナーマットを外し、冬木はむき出しになったターンバックルに
奥村の額を叩きつける。冬木の重量感あるコーナポストからの前面ヒップアタ
ック(股間アタック?)、冬木スペシャル。奥村も時々技を返すものの、単発
でダメージを与えられない。ロープ2段目からのムーンサルトもかたちは綺麗
だが、それ一発では冬木を慌てさせるに至らず。
頭からマットに食い込む投げっぱなしジャーマンを受け、最後はラリアット。
わりとあっさり3カウントを取られた。冬木は何のアピールもなくリングを降
り、チーム・ノーリスペクトは即座に帰ってゆく。チーム・ノーリスペクトの
テーマがかかる中、CCW軍は4人で奥村を袋叩き。川畑、松崎が救出に飛び
込み、CCWを蹴散らす。川畑はマイクを取り、一緒にやろうと奥村に呼びか
けた。しかし、黙ってリングを降りる奥村…。
松崎とともにリングに取り残された川畑は、バカは相手にしなければいいの
に、剛竜馬に怒る。ごー、てめえ、言いたいこと言いやがってー、とかそんな
調子。これがいけなかった。川畑らが引き上げた後、またもやマイクを握る剛。
最近目立つ機会が少ないせいか、よほど喋りたいらしい。長々と演説。今度も
何を言っているのかよくわからない。切れ切れと聞こえてくる単語から判断す
るに、どうやらこういうことを言っているようだ。
お前らはガキだ。
最後に、極私的な本日の大賞である。
| ベストマッチ | 維新力 VS ふーちゃん |
| MVP | チーム・ノーリスペクト |
| 殊勲賞 | 剛竜馬(試合後の余韻までぶち壊した執拗なマイク) |
| 敢闘賞 | ふーちゃん |
| 技能賞 | 外道 |