1998年1月6日 後楽園ホール  FMW


 まずは新年恒例の入場式。入場口を間違えて、戻る中山。間違えたのに無理 に入ってくるポーゴ。ハヤブサの挨拶。
「去年はいろいろと嫌な思いさせてしまったと思うんですけど、今年も胸いっ ぱいのプロレスを続けていきます」
 続けて、荒井社長がリングに上がり、マイクを握る。話の要点は以下の通り である。
1、土屋が退団を申し出ている。(土屋の手紙を読む。)慰留に勤めたが、本 人の意思が堅い。
2、前泊は連絡が取れず、ミス・モンゴルは試合出場を拒否している。
3、中山1人なので、女子の試合が組めない。女子部の休止もありうる。
4、ZENの引き抜きを防止するために、コミッション制度を確立する。
 FMWから女子部がなくなるという噂は早くから聞いていたが…。今ひとつ、 納得することができん。この伝統ある(?)FMW女子が本当になくなったり するだろうか。ともかく危機であることには違いないだろう。多い時は13人 も選手がいたのにな…。

第1試合 大矢剛功 VS ミスター・ポーゴ

 グラウンド中心の試合。もちろん大矢が優勢だが、ポーゴもよくついていっ ている。立ち技になっても、首をぐるっと回してのネックブリーカーなど、大 矢はことごとく渋い。ポーゴも吾作落としを見せたが、不用意なヘッドロック にいったところでバックドロップを受けてしまい、フェイスロックでたまらず ギブアップ。まだまだ大矢の牙城に届きそうにない。

第2試合 リッキー・フジ VS フライングキッ道

 いったいこの試合に何を期待すればいいのか、と言いたくなるカードだ。
 いいや、期待できるのである。なぜなら、今日は市原の出戻り記念日だから だ。雁之助とともにFMWに乱入したのがもう1年前のこと。何か起きるはず だ。起きないはずがない! 案の定、何かが起きたのだ。
 試合はあまりにも普通に始まった。フライングキッ道のラ・ケブラーダ、リ ッキーのカミカゼ(「A happy new year!」付き)、タイガードライバーなど いつもの技が出る。逆さ押さえ込み、ラ・マヒストラルなどの固め技で抵抗し たフライングキッ道をリッキーが回転式垂直落下ブレインバスターで葬った。
 本当のヤマはここから。試合後、邪道、外道が乱入。
「市原、お前も冬木軍団だろう。自分の足で立て」
 なんとか立ち上がったキッ道に邪道がラリアット。「You're fired」と書か れた紙を腹に張り付ける。
「市原。お前、ハヤブサと一緒にメキシコ行ってたんだろう? ずいぶん違う じゃねえか。お前はクビだ。金村、雁之助、約束は果たしたぞ。市原、ごくろ うさん」
 市原の心を踏みにじる邪外にハヤブサがリングに登場。邪外は帰ってゆく。 「市原はいらない!」と心ないことを叫ぶ客もいる。けれど、ハヤブサは言っ た。
「市原さん、もういいでしょう。一緒にやりましょう」
 市原はハヤブサ、リッキーと握手を交わし、抱き合う。ここに市原約3年ぶ りの正規軍カムバックが決定的となった。市原は1年かけて禊ぎを果たしたの だ。おめでとう、市原選手。

第3試合 保坂秀樹 VS 冬木弘道

 ZENカラーの黒とピンクのコスチュームで入場の保坂。山男みたいな泥臭 い髭面に全然似合っていない。
 雪崩式フランケンシュタイナーなどいつもの技を出した保坂だが、特に抵抗 もせず、冬木のラリアットにフォール負け。体はいいのに、もったいないと思 う。

第4試合 ザ・グラジエーター、中川浩二、黒田哲広 VS 邪道、外道、スーパーレザー

 中川と黒田は黒とピンクのZENコスチューム。グラジだけ普通。サラサラ ヘアの中川はすごくかっこいい。黒田は韓国人のチンピラみたいである。
 レザーがグラジを机の上にパワーボムで投げ捨てようとしたところ、グラジ は背筋力で持ち上げ、レザーの足をつかんで逆に叩きつけた。わりとあっさり ピン。

  第5試合 ハヤブサ、新崎人生 VS 金村ゆきひろ、非道

サンダーファイヤー
 謝っているように見える2人
 
   ミス・モンゴルを肩車して現れた金村組。良かった。少なくとも、モンゴル はFMWで続けてくれると見た。リング上で、金村、非道と熱い接吻を交わす。 金村のせんずりポーズ。これは昔外人選手がよく見せたものだったが…。
 なめられたハヤブサは当然怒る。ソバットなどキック技の嵐。金村にトペコ ンを突き刺す。ところが金村、非道組はラフで挽回。非道は以前からちょくち ょく使っている弓矢固め、金村は回転式バックブリーカーで脇腹を痛めてい るハヤブサを攻める。そして、急所攻撃。非道などは、ハヤブサの急所に足を 入れた後で、自分の急所を押さえて自ら痛がってみせる。痛いこと知ってるく せに、ひどい。
 ハヤブサは金村にスクリューキックを見舞うと、人生にタッチ。人生は念仏 パワーボム、極楽固め。また、金村組の非道な攻撃で窮地に立たされるが、フ ランケンシュタイナーで挽回。ハヤブサのトペ・アトミコ→人生のダイビング ヘッドバット→ハヤブサのムーンサルトの華麗な3連打に会場が沸く。
 ラッシュをかけるハヤブサは非道にローリングセントーン、ファルコンアロ ー、最後は人生が念仏パワーボムを決めてから、ハヤブサのファイヤーバード スプラッシュでピン。

 


 家出息子・出戻り記念日
 〜田中将斗 VS ミスター雁之助(インディペンデント・ワールドヘビー&世界ブラスナックルヘビー選手権)
サンダーファイヤー
 場外で叩きつける
 
サンダーファイヤー
 TFPB
 
 「鳥!」
 
   今日は雁之助の出戻り記念日である。
 師の後藤とともにFMWを離脱した雁之助が再びFMWに姿を現したのが去 年の1月8日、新春第1戦の後楽園だった。あれからほぼ1年たったわけであ る。出戻り当初は危ぶむ声の方が多かったのも事実。金村など、「あいつらは すぐにクビでしょ」と言い放っていた。
 その後の雁之助の活躍は周知の通りである。もともとハヤブサと並んで大 仁田引退後の後継者と目されていた雁之助がそんな簡単に沈むはずがない。そ して、出戻り1周年のこの日にトップタイトルへの挑戦権をつかんだ。ヒール として生きる雁之助だが、内心期するものがあったのではないか。
 一方、田中も川崎でグラジを破って以来、保坂、黒田、金村と強敵を退けてきた。 駒沢で大仁田に負けたのは汚点かもしれないが、良い試合だったし、レスラーとして大仁 田を超えつつあることはあらためて確認できたはず。王者のたたずまいが全身 から立ち上っている。これはもう期待するしかない。
 金村、モンゴルとともに入場の雁之助。前の試合を引きずって、金村に罵声 が飛ぶ。試合開始。まずは田中がヘッドロックに取る。雁之助は田中をロープ に振って、ぶちかまし合い。これは互角。チョップ合戦はエキサイトした両者 がいつしか張り手合戦に。ばちばち、高い音が響く。雁之助は顔面かきむしり でアドバンテージを取ると、さらに田中の急所を蹴り上げ、勢いよくロープに 飛んだ。待っていた田中はパワースラム。エプロンに逃れた雁之助に横殴りの ラリアット、さらにトペ。場外でイスチャンバラが始まる。これは互角。リン グに戻り、対角線に雁之助をスルーした田中は体を踊らせてのイスアタック!  さらにスウィングDDTを決めようとしたが、雁之助はマンハッタンドロッ プでクリアー。雁之助はラリアット2連発。これがすごい迫力。田中のラリア ットも説得力あるが、この日は雁之助の重さが際だっていたようだ。
 雁之助は徹底したラフに走る。場外でパイルドライバー。田中はすでに流血。 机でモグラ叩き。戻ってきた棒をへし折り、鋭く尖った方で田中の腕を刺す。 額だけでなく、腕からも赤い血が流れる。これほどの流血戦は新生のリングで はちょっと珍しい。さらにミサイルキック。後藤そっくりのアームブリーカー。 角度の鋭さに定評のあったジャー マン。ところが、タフな田中は頭から叩きつけられながらも、すくっと立って、 ラリアット! 今度はスウィングDDTも成功。そして、サンダーファイヤー。 2カウントでクリアーした雁之助は意表を突いた脇固め。試合の流れをこっち に引き戻す。
 ここから、雁之助の猛攻。ファルコンアロー、ラリアット、サンダーファイ ヤー、田中をトップロープに引っかけたエースクラッシャー、ファイヤーサン ダー。さらにコーナーポストに上るが、田中に雪崩式ブレインバスターで返さ れる。いよいよ試合はヤマへ。田中のデスバレーボム、サンダーファイヤー。 しかし雁之助はしのぐと、サンダーファイヤー2発、田中はローリングエルボ ー。3カウント入ったと思うような1発だったが、雁之助は辛くもクリアー。 さらにローリングエルボーを繰り出さんと、回る田中を雁之助懐かしい雁之助 クラッチ。田中が動けないまま…、3カウント入った!
 雁之助のアピール。「俺達でタッグもシングルも取ったぞ。田中、また挑戦 してこいよ。鳥、出てこい!」
 茶色のプライベートマスクをかぶったハヤブサが応じて姿を現す。雁之助と もみ合う。キックで金村などもなぎ倒すハヤブサ。そして、マイクを握る。俺 にとっては最高の展開。エースは田中に任せてお気楽にやっていくのかと思わ れたハヤブサだが、今日は紛れもないエースに見えたのである。やはりハヤブ サと雁之助が主役にならなくては。今のFMWの中でも初期の生え抜きである 2人が。
 田中に関して言えば、ローリングエルボーという技について考えた方がいい。 この一月の間に、この技を繰り出す隙をつかれて黒田、大仁田、雁之助と、3 回もフォールを許している。使うな、と言う意味ではない。この技で多くの敵 に勝ってきた田中である。より研究したかたちで、改めてこの技を見せてもら いたいと思う。


総評・後記

 あいかわらず、客の入りが今ひとつ。空席が目立つ。ついにFMWも後楽園 ホールをいっぱいにできない団体になったのか? 以前はどんなカードでも、 常に満員だったが。
 団体に努力が見られないのならともかく、最高のカードを用意し、最高の試 合内容でこれでは、どうしたらいいのか。翌日にZENの興行が同所であるこ とも理由のひとつだろうが。近頃FMWは東京での興行が多すぎるのである。
 それから、試合後、ぼーと突っ立ていると、練習生の山崎君に軽く突き飛ば され、「邪魔だ。早く帰れ」と言われた。そっちの都合もわからないでもない が、別に悪いことをしたわけでもないのに、そりゃない。俺だって客だ。腹も 立たなかったが、一応注意を喚起しておこう。
 最後に、極私的な本日の大賞である。

ベストマッチ 田中将斗 VS ミスター雁之助
MVPミスター雁之助
殊勲賞田中将斗
敢闘賞ハヤブサ
技能賞ハヤブサ


HOME


[PR]看護師の好条件求人なら:看護師の転職完全サポート!安心お任せ♪