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 仕事のために遅れ、着いた時は土屋とアジャの試合がちょうど終わったところ。奴らの姿は見えなかったが、 アジャのテーマがかかっていたので、わかったのである。見逃して惜しいという気はほとんどしなかった。

第3試合 リッキー・フジ VS Dボン・ダッドリー

 Dボン、兄貴分のババ・レイ・ダッドリーと一緒に、AC・DCの「地獄のハイウェイ」で登場。 ババさんは何かと注文をつけ、うるさい。
 リッキーはズバッと入ったニールキックで逆転すると、トペ。その後も フライング・ボディアタックやタイガードライバーを出して、試合を優勢に運ぶ。 はっきり言って、リッキーはコーナーに上ったりするのが遅くて、そういうところが泥臭く見えて しまう。良い選手だと思うのだが。今日は垂直落下式ブレインバスターも1回目は失敗。 2回目はうまく決めたものの、Dボンのよくわからない技一発で、フォール負け。でも、決して悪い 試合ではなかった。明るく、楽しい、良い雰囲気の試合だったのです。

第4試合 ザ・グラジエーター VS トミー・ドリーマー

 He is hardcore登場。むちゃくちゃ楽しみでした。しかし、 外人エースのグラジに負けは許されない。
 ドリーマーの登場シーンでそのカッコ良さに感動。ラフな普段着からハードコアの空気が伝わってくる。 ビューラがいなかったが、この瞬間はそんなこともすっかり忘れていた。 グラジ登場。こっちはこっちでいい。外人レスラーというのはやはりカッコいい。 というより、日本のレスラーがカッコ悪いのか? ハヤブサや人生を除いて。全日の選手など、 強いかもしれないが、あのなまっちろいズンドーだけはちょっと。
 試合はわりと淡泊。グラジのラリアット、ドリーマーのパワースラム、互いに意地を 張り合って、技を受けてもすくっと立ってみせる。場外戦。しかし、やがてグラジのパワーがドリーマ ーを圧倒し出す。スワンダイブ式プランチャ、場外に置いた机めがけてのアッサ ムボム、ドリーマーも必殺のDDTを繰り出そうとするが、ことごとくカットされ、 最後はスーパーアッサムボム。ドリーマーは肩を負傷したようで、身を傾けたまま苦しそうにリング を去っていった。
 日本のファンの感覚でいれば、ドリーマーは食わせ物だろうか。鮮やかな大技を次々に繰り出す 選手がいい選手なのか?
 ドリーマーはまったく俺の期待を裏切らなかった。大技はなくとも試合を作ることができる。 雰囲気も素晴らしい。負けるときはあっさりと負ける。ドリーマーがタイガードライバーなんか使ったら、俺は きっとがっかりしただろうな。

 ここでECWのテーマともいえる「地獄のハイウェイ」がかかり、フロントマンのポール・E・デンジャラスリー登場。 通訳はリッキー。生半可に英語をやっていたので、思わず耳を澄ます俺。 ポールさん、とてもわかりやすくお話ししてくれる。最初の発言は「まず、始めに、リッキーはとても素晴らしいレスラ ーだ」。それをリッキーが訳すと、ちょっと、ウケていた。話の主な内容はFMWとECWの提携が決まったというもの。 荒井社長も登場し、がっちりと握手。

第5試合 テリー・ファンク VS サンドマン VS ババ・レイ・ダッドリー
(3ウェイ・ダンス・バトル)

サンドマン  またもや「地獄のハイウェイ」でババさん登場。テーマが変わり、サンドマン。
 ここがこの興行のハイライトだった。誰がなんと言おうと。竹刀を肩に担いだサンドマンが東側から姿を見せる。 その場に立ち止まり、視線を微塵も動かさず、煙草に火を付ける。むっちゃくちゃ、クールだ!  奴は西側に座っている俺の方まで回ってきて、机の上に立つ。すごい貫禄。レスラーというのは、ムーンサルトプレスでも、 ハイブリッドボディでもなく、これなんだよ、これ!
 「スピニング・トー・ホールド」を待っていると、かかったのは名曲「デスペラード」。ピアノだけが伴奏のバージョン。 今のテリーにすごくぴったりしてる。ちょっとうるうるしそうなくらいだった。
 試合はまさにECW。まずはサンドマンとババさんが結託して、2人でテリーを攻める。サンドマンがババさんをバックドロップ の体勢で抱え上げ、ノビたテリーの上に放る。合体のギロチンドロップである。ババさんは体重があるので効くだろう。 気を良くしたババさん、「ワンモア!」。もう一度サンドマンはババさんをバックドロップの体勢で抱え上げ…、そのままバ ックドロップ。なんとなくオチはわかっているのだが、あくまでもクールなサンドマンと天然ボケのババさんのキャラクター がやるとものすごくおかしい。
 サンドマンが持ち出したはしごをテリーが振り回し、サンドマンとババさんにぼこぼこ当たる。ここも素晴らしい。 ババさんがサンドマンを梯子に叩きつけ、テリーがあっさりフォール。テリーとババさんの普通のシングルマッチとなった。 最後はテリーが締めた。何の技で勝ったのかよくわからなかったが。
 戻ってきたサンドマンがテリーにバドワイザーのプレゼント。テリーはビールを飲み、よれよれしながら帰っていきました。

 


飛べない日だってあるさ
  〜ミスター雁之助、金村ゆきひろ VS ハヤブサ、新崎人生(世界ブラスナックルタッグ選手権)

ファルコンアロー
 金村の頭を砕く
 
ハヤブサ、飛ぶが・・
 ここが勝負の別れ目
 
退場
 人生に肩を借りて・・
 
 ハヤブサの腹には大きな白い包帯。いったい、どうしたんだろうか。この前の川崎クラブチッタの試合を 思い出す。グラジのスーパー・アッサムボム。あれを受けたところで突然動けなくなっていたので、きっと あの技でイッてしまったのだろう。こんなビッグマッチの直前に。ちょっと、ついてない。
 試合前の金村は実にお行儀悪い。認定書を読む荒井社長にちょっかいを出し、終わった途端、認定書を引 きちぎって、荒井社長の顔に投げつける。ハヤブサ達には右手を動かしてせんずりポーズ。そういうことは 夜一人でやるもんだ。まったく、この猿には教育が必要だ。
 先発はハヤブサと雁之助。意表を突いて、地味な腕の取り合いから入る。若手の頃の江崎VS本田の姿と だぶる。ハヤブサは雁之助の腕を決めたところで土手っ腹に後ろ蹴り。うずくまる雁之助。どうやら、ハヤ ブサの脇腹は大丈夫そう。この時はまだ俺は安心していた。
 人生と金村に代わる。金村、いきなり人生の急所にドロップキック。人生の「おおっ!」という顔が素晴ら しい。しかし、人生は輪廻。金村の背中に当たったようなのだが、これが入ってしまった。動けない金村。 雁之助が入って金村に呼びかけるが、ぴくりともしない。やむを得ず、金村の手を引っ張ってコーナーへ運 び、強引にタッチする雁之助。金村は倒れたまま。2対1の場面にすかさず非道がエプロンのハヤブサに襲 いかかる。場外でめった打ち。逆に金村は蘇生し、雁之助と二人掛かりで人生をいたぶる。場外に机を設置 し、エプロンから2人がかりのパワーボムで人生を叩きつけた! 人生、戦線離脱。
 場外で暴れる金村にヤジが飛ぶ。「白ブタ!」我がサイトにたれ込みのあった例の発言である。だから似てない っていうのに。金村が叫 ぶ。「やかましいわ!」しかし金村を応援する声も意外と多い。俺の隣の不作法な奴も金村の名前を叫び 続けている。体の縦横にでかい奴で、なんだか俺の方へせり出してくる。はっきり言って、FMWと違いW INGやIWAジャパンの客はガラの悪い奴が多かった。そういう奴らの一人のようである。
 非道に試合を妨害され、よれよれになって戻ってきたハヤブサも2人掛かり攻撃の餌食。金雁は2人でハ ヤブサにボディスラムを連発。痛めた体にはこの技が重い。途端に脇腹を押さえて苦しみ出すハヤブサ。全 然、試合できる体じゃないやんか!  もう、やられるがまま。2人に背中、腹をさんざん踏みつけられる。場外の机に寝かされ、コーナーポス トから金村がダイブ。机と一緒に体が折れ曲がる。金村の片エビで絞られ、雁之助の珍しいストレッチプラ ムで首を絞め上げられた。2人でハヤブサを持ち上げて、そのまま尻餅を着く技も説得力十分。さらには、 ハヤブサ、人生組のお株を奪う2人がかりのフェースクラッシャー。シュッ、シュッとハヤブサ、人生の 例のポーズも決める。金村、すごく嬉しそう。
 人生がようやくエプロンに戻ってきた頃、ハヤブサは強烈な延髄斬りを雁之助に見舞い、人生にタッチ。 人生はダイブしての手刀。飛び込んできた金村にもソバット。一人でのフェースクラッシャー。ハヤブサに 見劣りしない見事なフランケンシュタイナーも披露。そして、これで決めだとばかりに金村に極楽固め。人 生の内面の怒りが伝わってくる。しかし、これは雁之助がカット。
 雁之助に関しては、今日も面白いシーンがあった。ハヤブサのトペ・コンヒーロを受けて、エプロンに戻 ってきた雁之助。手刀を放とうとしたハヤブサの手を取り、なんと掟破りもいいとこの拝みロープ渡りを敢 行。しかし、人生の怒りのキックを受けてロープから墜落する。金村の振り上げた机の破片をハヤブサは手 で受け止め、奪い合い。人生のキックの助けを借りて板を手に入れたハヤブサは珍しいモグラ叩き! 金村 の頭で机の板が木っ端みじんになる。ハヤブサ、人生がペースを握ったようだ。ハヤブサは金村にフィッシ ャーマンバスター、投げ捨てのドラゴンスープレックス。そして、いよいよフィニッシュにかかる。
 人生が拝みパワーボムで金村を叩きつけ、ハヤブサがコーナーに上る。ファイヤーバードスプラッシュ!  普通だったら、これで決まっていただろう。
 しかし、ここでハヤブサの脇腹の負傷が響く。
 ファイヤーバードスプラッシュをまともに受けた金村は胸を押さえて苦しがるが、放ったハヤブサもまた 苦しみ、フォールの体勢に行けない。自分の技で負傷箇所に決定的なダメージを負ってしまったらしい。そ れでも立ち上がり、ファルコンアロー2発。ここで金村を仕留められなかったハヤブサはエプロンからス ワンダイブで飛んだ…。  このような状態で出す技が通じるはずがない。金村は簡単に除けて、ハヤブサをマットに叩きつけ、そ のまま固めてしまう。あっさり3カウント! 雁之助、金村組の防衛。  ハヤブサはもはや一人では歩くこともできず、非常に珍しいことだが、人生に肩を借りて2人で帰ってい った。  


聖と俗   〜大仁田厚 VS 田中将斗

チャンバラ
 かつての師とチャンバラ
 
サンダーファイヤー
 大仁田のTFPB
 
サンダーファイヤー
 田中のTFPB
 
   間違いなく田中は全力を出した。グラジや黒田を退けた時と代わらぬスピード、パワーで大仁田厚にぶつ かり、今までにないほどの気迫で何度も立ち上がった。それでも、勝てなかった。この事実をFMWファンは どう受け止めればよいか。
 大仁田厚は強い。その事実を受け入れるしかない。少なくとも、こういう言い方はできる。FMWの論理 の中では大仁田厚は最強なのである。
 単に、3カウントを取ったという問題ではない。フィニッシュこそスモールパッケージホールドだったが、 説得力のある大仁田厚の強さを見せられてしまった。前半はほとんど大仁田厚のペース。後半、大技で田中 が盛り返してからも、大仁田が本当に危ないと思えるシーンはほとんどなかったのだから。
 試合経過を追おう。入場シーンでは気合いあふれる田中となぜか疲れて見える大仁田。しかし、大仁田の くたびれ方はより長く生き抜いてきた者のしぶとさのようなものを感じさせる。試合が始まり、まずはがっ ちり組み合った両者。大仁田の張り手。すると、田中が張り返す。会場が沸く。
 大仁田は天龍との試合などでも、トーキックなどの原始的な技で点数を稼いでいた。相手の腹に食い込む トーキックは隠れた大仁田の得意技である。それがエグく、音をたてて決まる。田中、防戦一方。戦いは場 外へ。大仁田は田中を机上パイル。かつて常に観客を沸かしていた技だが、反応は鈍い。私の周りに座って いる人たちはなぜか大仁田を応援する声ばかりだが、会場全体では、田中を押しているように思える。しか し、大仁田は観客なんて関係ねーやというような冷たい表情で場外パワーボム。田中を机上に投げ捨てる。 観客を威圧するように、椅子で机を叩く。床の上に放ったパイルドライバーではずしんと言う音が会場中に 響いた。田中がリングに戻った時はすでに流血していた。
 大仁田は足四の字固め。後藤との試合を思い出してしまう。田中は声を出して、苦しむ。ロープに逃れる のに、かなり時間を費やしてしまう。大仁田は机の破片でモグラ叩き。しかし、田中は怯むことなく、ラリ アット! 場外に逃れた大仁田にトペを敢行するも、待っていたのは椅子。しかし場外戦でも、大仁田の弱 点の膝に椅子攻撃。これは沸きまくった! エプロンの大仁田に三角飛びラリアット。ロープを背にした大 仁田に弾丸エルボー炸裂! さらにラリアット。
 しかし、大仁田もバックドロップで反撃。全日ジュニア時代の得意技のリバーススプラッシュ。投げ捨て ジャーマン。早くもパワーボム(あまり、持ち上がら ず)。DDT。もう一発、パワーボム。それでも跳ね返す田中にとどめのパワーボムの体勢に入った大仁田 だが、田中は大仁田を抱え上げ、そのままデスバレーボムへ。田中の技は比べものにならないくらい重い。 一気に逆転の期待がかかる。 代表的な「新生」の技であるスウィングDDTの後、田中はもはや自分の必殺技としたサンダーファイヤー へ。きっちり肩の上へ持ち上げ、垂直に突き刺す。もはやサンダーファイヤーは大仁田でなく、田中が本 家である。この充実ぶりを見ると、そう言ってかまわないだろう。しかし、大仁田はクリアー。もう一発、 サンダーファイヤー。これでも決まらない。さらにサンダーファイヤーをかけようと大仁田を抱え上げる田 中。しかし、大仁田はするっと抜けて、田中の背後に着地したところ、ならば、と田中はローリングエルボ ーに入る。だが、この技は隙が多い。大仁田は一瞬のうちに絡みつき、くるっとスモールパッケージに固め る。クリアーした田中だが、焦りができたようだ。結果的にこのスモールパッケージがその後の展開に大き く効いていた。
 大仁田を追いつめ、とどめのローリングエルボーに入った田中を大仁田は再びスモールパッケージ。決ま ったと思った。本当に決まった。
 大仁田に観客の罵声が飛ぶ。マイクをつかんだ大仁田は「お前がどうこう言われないようにしろや。お前 じゃ」開き直ったアピール。有無を言わせない態度だ。実際、この勝利には文句の付けようがない。
 大仁田が引き上げた頃立ち上がった田中は四方に礼をして、アピールなしで帰る。観客の暖かい拍手。恥 じることはない。大仁田にとっても、田中にとっても、それぞれの歴史の中に残る良い試合だった。プロレ スとは、場によって成立するもの。単純に各団体の選手のデータだけを比較し、論じることはできない。F MWの論理の中では、大仁田は最強なのである。この試合に関しては、単に勝っただけではなく、充分な 説得力があったと言わざるを得ない。川崎での金村戦とは違う。
 この男をいったい誰が越えていくのだろうか。もちろん田中にもまたチャンスがある。しかし俺個人としては、 「聖」を身に纏ったハヤブサが「俗」の全身に詰まった大仁田厚を打ち抜く姿が見たい。宙ぶらりんなエースの 位置から一歩先へ進むためには大仁田越えは必要なのではないか。ハヤブサにとっても。


総評・後記

 客は6、7分の入りか。もちろん、今まで3回行われた駒沢大会の中では圧倒的に一番悪い。前の2回とも 超満員だったのだから。カード的にも工夫が見られなかった。大仁田が出ても、観客動員が見込めな いとなれば、後は時代の空気を読んでいくしかない。ECWなどは、単なる大物というのではなしに インディーファンの心をくすぐる魅力的な味付けである。だが、それがどれだけ観客動員に貢献した か考えると、ちょっとなんとも言えない。小橋や秋山でも来れば、満員になったのだろうか? 俺のような ファンにとっては、小橋や三沢や川田が束になってくるより、サンドマン一人の方がありがたいのだ が。
 帰る時、出入口の近くでサンドマンが勝手にサイン会を開いていた。にこにこ笑っている。もしかしたら、いい人なのかもしれない。
 最後に、極私的な本日の大賞である。

ベストマッチ 大仁田厚 VS 田中将斗
MVPECW
殊勲賞大仁田厚
敢闘賞田中将斗
技能賞ババ・レイ・ダッドリー

 


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