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1997年12月5日 後楽園ホール  FMW


中川浩二 VS フライングキッド市原

 復活戦にもかかわらず、姿を現した中川に対する観客の反応は鈍い。 中川の退団声明・欠場については、いまひとつ釈然としないものが残る。 大仁田厚に復帰要請し、結局はZENに走らせてしまったことが退団の理由だと中川 は言った。 しかし、それならレスラーとしてリング上で答を出すべきだということぐらい、誰 でもすぐに思いつくこと。それが今更になってという感じは拭えない。
 去年、同じように失踪して復活したハヤブサに対する観客の反応が熱狂的だった こととの違いは、単なる人気の差では片づけられないだろう。
 この試合、両者とも良い技を見せるが、淡々とした試合。 最後は中川がカミカゼ、エクスプロイダーとつなぎ、あっさりと市原を倒す。
 市原はFMW旗揚げの頃から見ている選手だけに思い入れはあるが、 今のFMWの中で自己主張するのは難しいという気がしないでもない。 ルチャの選手と当たる機会があれば、彼の本格的ルチャドールとしての魅力も生 きてくるのだろうが。

里美和 VS クラッシャー前泊

 里は身長は小さいものの、長く選手を続けているだけあって、体ができている。 大きな前泊と対峙しても、意外とそれほど体格差を感じない。 しかし、一発の重みでは完全に圧倒される。客と喋 りながら、余裕で試合を作る前泊。リングサイドのモンゴルに叫ぶ。
「モンゴル、お前にもこの弱い女のブスな顔を見せてやらあ」
 前泊は初公開(?)のみちのくドライバーなども見せ、最後はアームボンバー。 楽しかったです。暴れるレザー

ミスター・ポーゴ VS スーパー・レザー

 ポーゴ(二代目)の最大の欠点は、技に入る時にワンテンポ、タイミングが遅れ る傾向にあること。それが試合のリズムを乱し、なんともいえぬ齟齬感となって、 客をいらだたせ、ヤジを浴びていた。
 それがある限り、どんな大技を覚えたところでポーゴは上にいけないだろうと私は思っていた。 それが、この日はなかった。相手がラフ一辺倒のスーパー・レザーだからか?  それとも、本当に改善されたのか? レザーに雪崩式フェースクラッシャーまで 決めたのは良し。レザーの雪崩式ブレインバスターも返した。最後は 垂直落下式ブレインバスターに沈んだものの、大健闘と言える。
 初代ポーゴも復活してしまったことだし、そろそろその新鮮みのない名前と 中途半端なメイク、コスチュームを返上してはいかが? 体も大きいポーゴは 全日あたりに出れば、大ブレイクしそうな気もするのだが。

中山香里 VS シャーク土屋

 今日の中山は赤いコスチューム。開始早々に場外の土屋めがけてラ・ケブラーダ。 中山のケブラーダは弧が小さいものの、回転が速いので見ていて小気味良い。
 しかし、肩の負傷が全然治っていない。これだけ体格差があって、負傷していては、 勝ちようがない。肩を蹴られ、うめくばかりの中山。
 土屋にコーナーに振られた中山は三角飛びで土屋に巻き付き、飛びつきスウ ィングDDT。田中を超えたか? 凄い技だ。体を密着させての バックドロップも出た。頭を押さえる土屋。
 しかし、こういった攻撃もすべて単発のもの。それ以外の時間はほとんど土 屋による中山いじめの試合。最後はパワーボム。終わってみれば、いつも通りの健闘の後 にいつも通りに敗れてしまった試合。
 なかなか先は長そう。わたし的に は、ここまでやってきた以上、中山には安易な勝ち方はしてほしくないと思う。誰が見ても 「勝った!」と喜べるような土屋からの初勝利をいつの日かあげることができれば、それでいいだろう。

中山、殺される1秒前
(「終わりだあ」ただし、この時はウラカン・ラナで返した。)


魂の虐殺〜侮辱、ここに極まれり
 〜新崎人生、リッキー・フジ VS ミスター・雁之助、保坂秀樹〜
 リッキーの入場後、人生の幻想的なテーマが。当然、我々は花道に白い袈裟 と編み笠の姿を探す。
 ところがいつまでたっても、人生が入場しない。曲がフルコーラスかかり、 終わっても、まだ来ない人生。リング上の伊藤レフェリー、リングアナ、里美 和らは明らかに動揺。客が怒り出す。「どうなってんだ!」「説明しろよ!」 リッキーが戻り、人生を呼びに行く。紺の務作衣のまま現れた人生。思い詰め た表情。とても試合ができそうな感じではない。何があったんだ?
 そして、雁之助のテーマがかかる。現れた雁之助の姿に観客は驚愕の叫び。 雁之助が白い袈裟を着込み、杖をつき、編み笠をかぶって現れたからだ。こう いうことだったのか! 雁之助は人生のコスチュームを盗んだのだ!どっちが本物?
 傘を取る儀式も人生そのまま。けっこう、決まっているじゃないか! 一方、 普段着の務作衣を着たまま、何のパフォーマンスもできず立ち尽くす人生。 この男がこんなに辛そうな表情を見せたことがこれまであったろうか。藤波V S長州の頃から相手の得意技を逆にかけることを「掟破りの〜」云々と呼び、 相手のプライドを挑発するものとされている。しかし、これはそれどころの話 ではない。人生のレスラーのアイデンテティとして大切な試合前の儀式を奪い、 自らがちゃかして演じ、踏みにじっている。全日でのストロングな試合の後に も握手の代わりに合掌するほどキャラクターを大切にする人生にとって、こ れ以上の仕打ちが考えられるだろうか。
 うつむく人生に雁之助は鋭い音のビンタ。「人生、怒れ!」と叫ぶ客。しか し、ただ辛そうな人生。もう一発、ビンタ。
 鈍い音が響いた。人生がすさまじい膝蹴りを雁之助に見舞ったのだ。会場は 大歓声。雁之助は場外に逃れた。
 しかし、人生はすぐにリッキーにタッチ。雁之助の暴挙は 予想以上の効果を上げたらしい。精神的に痛烈なダメージを受けた人生は試合の モードに入ることができない。コーナーでロープにもたれ、ブルーのマット を暗い眼で見つめているだけだ。
 リッキーは雁之助にトペ。リング内に戻っても、雁之助を攻める。最近すっ かり人気者のリッキーであるが、残念ながら彼のアメプロな動きはこの観客の 怒りを背負って戦うにはあまりにも軽い。金村が乱入し、コーナー最上段から リッキーにエルボードロップ。保坂がZENの十八番ともいえる金的攻撃。3人がかり の攻撃に、やられっぱなしのリッキー。リッキー・コールがおこる。
 やりたい放題のZEN。人生の怒り についに灯がともる。保坂にスワンダイブからの手刀。余計な金村にキック。 初めて見せたのではないかというような怒りの表情で、保坂に気迫の極楽固めをかける。カッ トに飛び込んでくる雁之助を見るや、すくっと立ち上がり、ソバットで一蹴。 観客、大喜び。リッキーがカミカゼを決めた後、人生が雁之助を討ちにかかる。 ドロップキック、人生スクリュー、拝みパワーボム。うるさい金村にはトペ。 フィニッシュを任されたリッキー。タイガー・ドライバー、DDTとつなぐ。 しかし、雁之助はひょいとリッキーを持ち上げ、マンハッタンドロップ。 股間を押さえて、のたうち回るリッキー。
 雁之助がリッキーを料理するのに、時間はかからなかった。ファルコ ンアロー、そして、拝みパワーボム。スリーカウント入った!
 雁之助、金村、保坂は人生を捕らえ、3人がかりのパワーボム。動けない 人生を後目に雁之助、金村がマイクをつかみ、観客のヒートを買いながら、がなる。
「何が最強タッグや。最下位やないか! お前ら、インディーの恥や」(金村)
(「お前が恥なんだ!」と叫ぶ一部観客。)
「俺らが最強なんだ。勝手にタイトルマッチ決めるな。おい、荒井出てこい。」(雁之助)
 ここで荒井社長、沈痛な面持ちで花道に現る。
「駒沢でハヤブサ、人生とやるぞ。いいな。インディー最強と最強タッグ最下 位とどっちが強いか見せてやるからな」(雁之助)
「来年、最強タッグ出るぞ!」(金村)
 やっと起き上がった人生の目の前で袈裟を引き裂く雁之助。その途端、月面 で舞うような人生の「輪廻」。雁之助の延髄に食い込む。雁之助、ダウン。
 やっと回復した雁之助はリングに椅子に投げ込み、怒りを表すも、人生はす でにリングを引き上げていた。
 無意味な乱入を繰り返す金村の姿を見て、極私的に思う。金村はすっかり開 き直り、あえて自ら客に憎まれようとしている。だったら、 何も言うまい。ともかく今日に関しては、金村のヒールとしての働きは合格点 を出せるものだったのではないかと私は思っている。ただ、最強タッグの結 果のことを言うのはやめてくれ。人生以上に俺が傷つくから。(しょうもない。) 奴が「最強タッグのどこが最強や! てめえらのところだけで一番決めるな!」 とでも言ってくれれば、俺は熱狂的な金村ファンになるかもしれないが。
 あと、「お前らが最強タッグに出れるわけねえだろ!」と熱くなって叫ぶ方も いたが、私は雁之助、金村組なら充分資格あると思う。今までを考えれば、もっ としょっぱい方がいっぱい出てますから。


超こってり系、わりと美味。ただし、アク強し
 〜ザ・グレート・ニタ、金村ゆきひろ、非道 VS 冬木弘道、邪道、外道〜
 大仁田を見るのはすごく久しぶり。ニタに至っては、ドーム以来か? まあ、 基本的に同じもんだとワシは思っとるが。
 金村が今日2試合目のような気がしてしまうのは、仕方ない。あんたの姿は 前の試合でさんざん見たからね。非道や冬木軍については特に感想なし。
俺の大仁田に関する気持は極めてアンビヴァレント(両義的)だ。大好 きでもあるし、大嫌いでもある。(深いね。人間だろ。文学だろ。)かつての 全面的な支持と、復活時の失望。去年の駒沢で観客の熱狂の中で、一人身を硬 くしていた自分の姿が蘇ってくる。毒を喰らわば、皿まで。半ばヤケで大仁田 の姿を最後まで見届けようと思っていた俺。最近の開き直りは嬉しいが、まだ 少しファンへの媚びが見られないこともない。自分を正当化するような言葉が 端々に現れるのは人気商売だから、仕方ないってことか? 残念だな。人の眼 を気にせず、本当に自分のしたいことができるような人間が俺は好きなんだよ。
 ニタが後楽園でどういう扱いを受けるか興味津々だったが、なんと入場時に 歓声が起きる。(大歓声とまではいかないが。)金村にはブーイング、非道、 無反応。この黒いニタはおそらく偽物。敵の冬木軍には今まで聞いたこと のない大歓声。やはり大仁田アレルギーはここに現れるか。サンダーファイヤー
 試合が始まって、すぐに本物の赤いニタが滑り込んで来る。まずは、邪外の どちらかに挨拶代わりの毒霧。ニタの動きは妙に気持いい。メリハリがあって、 表情もイッてる。引退前より表現力が増したな。これはトレーニングの成果か、 それとも、芸能界で役者の勉強を積んだせいか。(たぶん、後者)いいねえ。 夢ファク怨霊とか、この系統は好きだ。冬木と面つき合わせてユラユラ踊って る。冬木のビンタを軽妙にかわす。この圧倒的な存在感に他の5人が霞む。俺 は金村をじっくり見るつもりだったのだが、ニタに見惚れ、金村などいること さえ忘れた状態でいた。すごいよ、これ! この独特の存在感を見ると、技云々 でなく、やはり大仁田が非凡なレスラーであることを認めざるを得ない。金村 はベビーをやっても、ヒールをやっても、この大仁田の存在感に追いつくには かなり修行が必要なんじゃないか。
 途中でニタは冬木軍の3人に毒霧吹きまくり。ここらへんはZENの一方的 なペース。邪外のダブルラリアットなどもあったが、流れを変えるには至らず。 ZENは外道に標的を絞り、金村のセントーン、偽ニタの毒霧、ニタの椅子攻 撃、DDT、フェースクラッシャー、とどめはサンダーファイヤー! しかし、 カットが入る。場外乱闘が始まり、リング上は非道と冬木。冬木のパワーボム、 ラリアットで非道がピンされる。
 いつものように冬木軍はノビた非道を勧誘。怪しげな耳打ち。しかし、非道 が冬木の腹に膝蹴りを叩き込むと、怒った3人は非道をめった打ち。ニタはさ っさと帰ってしまい、金村がリングに椅子を投げ込んだりしていた。
 私は大仁田復帰後、大仁田擁護と批判の二つの気持の間を揺れ動いていたが、 この試合でかなり大仁田支持に傾いたことを明記しておく。かといって、これ をメインで見たいかというと、それも違う。このあとに素晴らしいメインディ シュ(魚と肉?)が出てくることがわかっていたからこそ、余裕を持って楽し めた、こってり系の前菜だったのだ。


後半戦

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